まず、「お寺」と「神社」は似ているようでいて、信仰の対象や参拝の目的が異なります。
それぞれに適したお参りの作法を知っておくと、より丁寧で心のこもった参拝ができます。

神社(しんじゃ)

信仰対象:八百万の神(自然や祖先の神)
目的:感謝・願い事・報告など
神社でのお参りの流れ
- 鳥居の前で一礼
- 境内に入る前に軽くお辞儀をしてからくぐります。
- 真ん中(「正中」)は神様の通り道なので、左右どちらかを歩きましょう。
- 手水舎(てみずや)で清める
- 柄杓を右手で持ち、左手 → 右手 → 口(すすぐ)→ 柄杓の柄を洗う順で。
- 清めることで心身を整えます。
- 拝殿で参拝
- 賽銭を静かに入れます。
- 鈴があれば鳴らして、神様にご挨拶。
- 「二礼二拍手一礼」 が基本作法。
- 深く2回お辞儀
- 2回手を打つ(願いを込めて)
- 最後にもう一度深くお辞儀
お寺(てら)

信仰対象:仏・菩薩・ご先祖様
目的:供養・感謝・祈願など
お寺でのお参りの流れ
- 山門の前で一礼
- 神社同様、中央は避けて通るのが丁寧です。
- 手水舎で清める
- 神社と同様に手と口を清めます。
- 本堂で参拝
- 賽銭を入れ、静かに手を合わせます。
- 鈴を鳴らす場合もありますが、「拍手」はしません。
- 合掌して、心の中で祈ります。
- 例:「日々のご加護に感謝いたします」など。
NG行為(共通のマナー違反)
| NG行為 | 理由 |
|---|---|
| 大声で話す・笑う | 神仏に対して失礼。静寂が基本。 |
| 写真撮影禁止の場所で撮る | 聖域を守るための規則。 |
| 鳥居や仏像に触れる | 神聖なものなので控える。 |
| お賽銭を投げる | 「投げる」は不敬。そっと入れる。 |
| 礼拝時に帽子・サングラス着用 | 無礼とされる。 |
| ペットを連れて入る(多くの寺社で禁止) | 汚れとみなされる場合がある。 |
| 順路を逆に歩く | 神様・仏様の流れに逆らうとされる。 |
参拝の心構え
参拝とは「お願い」だけでなく、「感謝」と「報告」をする場でもあります。
「いつも見守ってくださりありがとうございます」と心を込めることが何よりも大切です。
お賽銭(おさいせん)とは

お賽銭とは、神様や仏様に感謝の気持ちを捧げるお金のことです。
「お願い料」ではなく、「日々の感謝」を表すものが本来の意味です。
お賽銭の目的
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 感謝の気持ち | 「日々無事に過ごせています」「ご加護をありがとうございます」 |
| 祈願の心 | 「家族が健康でありますように」「努力が実を結びますように」 |
| 供養や報恩 | ご先祖や仏様へのお礼・お供えの意味もあります |
つまり、お賽銭は「祈りの形」なのです。
お賽銭の金額について

実は「いくらが正しい」という決まりはありません。
大切なのは金額よりも心ですが、縁起の良い数字として選ばれることが多いです
| 金額 | 語呂合わせ・意味 |
|---|---|
| 5円 | 「ご縁がありますように」※最もポピュラー |
| 15円 | 「十分なご縁」 |
| 25円 | 「二重にご縁」 |
| 45円 | 「始終ご縁」 |
| 115円 | 「いいご縁」 |
| 295円 | 「福来い(ふくこい)」 |
| 500円 | 「ご縁が多くありますように」などの願いを込める人も |
逆に、「4円(死縁)」「9円(苦縁)」などは縁起が悪いとされています。
お賽銭の入れ方

神社の場合
- 賽銭箱の前で軽くお辞儀。
- 静かにお賽銭を入れる。
- 「投げる」のはNGです。音を立てないのが丁寧。
- 鈴を鳴らし、「二礼二拍手一礼」で参拝。
お寺の場合
- 合掌の前にお賽銭を静かに置くように入れる。
- 鈴を鳴らす場合は一度だけ軽く鳴らす。
- 拍手はせず、静かに合掌して心を整える。
NG行為
| 行為 | 理由 |
|---|---|
| お札を投げ入れる | 不敬。箱の上にそっと置くのが正しい。 |
| お賽銭を「願掛け料」と思う | 「お願い料」ではなく「感謝の心」が本質。 |
| ふざけて硬貨を選ぶ | 金額よりも真心が大切。 |
| お賽銭箱にゴミや紙を入れる | 神仏を穢す行為に当たる。 |
お賽銭は「取引」ではなく、「感謝と誓い」の気持ちを表すものです。
「これからもよろしくお願いします」という心の挨拶が本来の姿です。
参拝時に「よく見るけど実は間違い」な行動集
神社やお寺でよく見かけるけれど、
実は「マナーとしてはちょっと…?」という行動を紹介します。
神社編

| 行動 | 解説 |
|---|---|
| 鳥居の前でスマホを構えて記念撮影 | 鳥居は“神域の入り口”なので、立ち止まって一礼が先。写真は通過後に。 |
| 鳥居の真ん中を堂々と歩く | 真ん中は神様の通り道。「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、左右の端を歩くのが礼儀。 |
| お賽銭を勢いよく投げ入れる | 「投げる」は不敬とされます。そっと入れるのが基本。 |
| 拍手の回数を間違える | 神社は「二礼二拍手一礼」。ただし、出雲大社など例外もあるので要確認。 |
| 願いごとを唱えながらペコペコ何度もお辞儀 | 一礼は最後に1回だけでOK。何度もすると慌ただしい印象に。 |
お寺編

| 行動 | 解説 |
|---|---|
| 神社と同じように「パンパン」と拍手する | お寺では拍手はしません。静かに合掌するのが正しい。 |
| 賽銭箱に勢いよくお金を入れる | 仏様へのお供えなので、音を立てずにそっと置くように。 |
| 本堂でお願い事をする | 「お願い」より「感謝・供養」が中心。神社とは目的が少し違います。 |
| ご本尊の正面で大声で話す・スマホを操作する | 聖域です。静寂を保つのが礼儀。 |
共通してよくある「ちょっとNG」行動

| 行動 | 理由・マナー |
|---|---|
| 手水舎で口を直接すすぐ | 柄杓に直接口をつけるのは不衛生。手に水を受けてすすぐのが正しい。 |
| おみくじを木の枝にぐるぐる巻きつける | 「結ぶ場所」が設けられています。木を傷めるので避けましょう。 |
| 参道の真ん中を歩く | 神仏の通り道。左右を歩くのが礼儀。 |
| ペットや飲食物を境内に持ち込む | 清浄な場所なので控えるのが一般的。 |
| 参拝中に帽子やサングラスを外さない | 敬意を欠くとされる。参拝時だけ外すのが丁寧。 |
ワンポイント豆知識

- 「お願い」より「感謝」から始めると心が整いやすいです。
例:「いつも見守っていただきありがとうございます。どうか〇〇も叶いますように。」 - 写真を撮る際は、人が写っていないタイミング・祈りの邪魔にならない場所で。

