飲食店経営の現場を長年見ていると、不思議な共通点があります。
売上が低迷している店舗や離職率が高い店舗ほど、やたらとルールが多いのです。
「挨拶は必ず〇〇と言うこと」
「スマホはロッカーに入れること」
「休憩時間は〇分厳守」
「報告はこの用紙に記入すること」
「レジ締め後は写真を撮ること」
「閉店作業はチェックシートを提出すること」
もちろんルールそのものが悪いわけではありません。
しかし、人間関係が良好な店舗では最低限のルールしか存在しないのに対し、人間関係が悪い店舗ほど次々と新しいルールが増えていく傾向があります。
なぜこのような現象が起きるのでしょうか。
今回は飲食店コンサルの視点から、その理由を深掘りしていきます。

- ルールが増える原因は問題解決ではなく不信感
- 信頼関係がある職場は細かいルールが不要
- ルールが増えると自主性が消える
- 店長がルール依存になる危険性
- 売上改善が進まない店舗の共通点
- 原価管理よりも先に見るべきこと
- 店舗改善の本当のスタート地点
- 人間関係が悪い店ほどルールが増えるのはなぜか
ルールが増える原因は問題解決ではなく不信感
多くの店長や経営者は、何か問題が起きるとルールを作ります。
遅刻が発生した。
だから遅刻防止ルールを作る。
報告漏れが起きた。
だから報告書を増やす。
掃除ができていない。
だからチェックシートを追加する。
一見すると合理的な対応に見えます。
しかし実際には、問題の本質が解決されていないことがほとんどです。
例えば遅刻が増えている原因が人間関係の悪化だった場合を考えてみましょう。
出勤しても嫌な上司がいる。
相談できる仲間がいない。
職場に行くのが憂鬱。
そんな状態であれば、遅刻の原因は時間管理ではありません。
職場環境です。
それなのに遅刻禁止ルールを増やしても根本的な解決にはなりません。
むしろ従業員はさらに窮屈さを感じます。
結果として職場への不満が大きくなり、また別の問題が発生します。
そして新たなルールが作られる。
この悪循環が始まるのです。
信頼関係がある職場は細かいルールが不要
逆に人間関係が良い店舗を見てみると驚くほどルールが少ないものです。
なぜなら、お互いを信頼しているからです。
忙しい時は自然に助け合う。
困った時は相談する。
ミスを隠さず報告する。
新人が困っていれば声をかける。
これらはルールではありません。
人間関係から生まれる行動です。
例えば家族の中で、
「おはようと言いなさい」
「ありがとうと言いなさい」
というルールを紙に貼り出している家庭は少ないでしょう。
普通は自然に行われます。
信頼関係があるからです。
職場も同じです。
人間関係が良好な店舗は、ルールがなくても組織が回ります。
むしろルールよりも空気や文化が機能しています。
ルールが増えると自主性が消える
飲食店経営において非常にもったいないのが、自主性を失わせることです。
ルールが増えると従業員は考えなくなります。
「言われたことだけやればいい」
という思考になるからです。
例えばお客様が困っている場面があったとします。
自主性のあるスタッフなら、
「何かお手伝いしましょうか」
と声をかけます。
しかしルールだらけの職場では、
「マニュアルに書いてない」
「店長に確認しよう」
となります。
結果としてサービス品質が低下します。
飲食店は人が作る商売です。
マニュアルだけで感動は生まれません。
リピート率を上げる店舗ほど、スタッフが自ら考えて行動しています。
それは信頼されているからできることなのです。
店長がルール依存になる危険性
人間関係が悪化すると店長も苦しくなります。
スタッフを信じられなくなるからです。
「あの人はサボる」
「あの人は言わないとやらない」
「あの人はミスが多い」
そんな考えが強くなると、管理で何とかしようとします。
そこでルールが増えます。
しかし実際には逆効果です。
管理を強めれば強めるほどスタッフは受け身になります。
受け身になればさらにミスが増えます。
ミスが増えればさらに管理が厳しくなります。
こうして職場は監視社会になっていくのです。
店長自身も疲弊します。
常にチェックしなければならないからです。
結果として店長が最も苦しむことになります。
売上改善が進まない店舗の共通点
売上改善の相談を受ける際、私はまず人間関係を確認します。
なぜなら多くの問題は数字ではなく人にあるからです。
売上が低い。
客単価向上ができない。
集客施策が続かない。
リピート率が上がらない。
こうした悩みを抱える店舗でも、現場を見るとスタッフ同士の関係が悪いケースが少なくありません。
会話がない。
笑顔がない。
助け合いがない。
その状態でどんな施策を導入しても成果は限定的です。
なぜなら、お客様は空気を感じ取るからです。
スタッフ同士がギスギスしている店舗に長居したいと思うお客様は少ないでしょう。
逆に多少設備が古くても、人間関係の良い店舗には温かさがあります。
また来たいと思わせる力があります。
売上改善の第一歩は、意外にも人間関係の改善だったりするのです。
原価管理よりも先に見るべきこと
飲食店コンサルとして現場を見ていると、経営者が数字ばかり気にしているケースがあります。
原価管理。
人件費管理。
利益率。
もちろん大切です。
しかし職場の空気が悪ければ、それらの数字も改善しません。
スタッフが辞める。
採用費がかかる。
教育コストが増える。
サービス品質が落ちる。
クレームが増える。
売上が下がる。
最終的には数字に跳ね返ってきます。
つまり人間関係は感情論ではなく経営数字そのものなのです。
店舗改善の本当のスタート地点
店舗改善というと設備投資やメニュー変更をイメージする方が多いかもしれません。
しかし本当に改善すべきは人間関係かもしれません。
スタッフ同士が気軽に話せる。
店長が相談を聞く。
失敗しても責めない。
感謝を伝える。
たったそれだけで職場の空気は変わります。
すると不思議なことにルールが減っていきます。
なぜなら信頼関係が生まれるからです。
信頼関係が生まれると監視が不要になります。
監視が不要になると自主性が育ちます。
自主性が育つとサービスが向上します。
結果として売上も上がります。
これが健全な組織の流れです。
人間関係が悪い店ほどルールが増えるのはなぜか
結論として、人間関係が悪い店ほどルールが増える理由は簡単です。
信頼がないからです。
信頼がない組織はルールで縛ろうとします。
しかしルールは信頼の代わりにはなれません。
一時的に問題を抑えることはできても、人の気持ちまでは動かせません。
本当に強い店舗はルールが多い店舗ではありません。
信頼が多い店舗です。
飲食店経営において、売上改善や集客施策、客単価向上、原価管理、リピート率向上、店舗改善など様々なテーマがあります。
しかしその土台となるのは人間関係です。
もしあなたの職場でルールが年々増えているのであれば、一度立ち止まって考えてみてください。
問題はルール不足なのでしょうか。
それとも信頼不足なのでしょうか。
その答えが見つかった時、店舗は大きく変わり始めるかもしれません。
最後に質問です。
あなたの職場では最近ルールが増えていますか?
それとも減っていますか?
その背景にはどんな出来事がありましたか?
ぜひコメントで教えてください。

