料理に野菜を使う時、どのような下処理をしていますか?サッと洗って調理しているという方が多いと思いますが、どの野菜を洗うのか、またどのように洗うのかあまり意識していない方がほとんどではないでしょうか。
野菜は洗う?洗わない?
スーパーなどで売られている野菜は、一見とてもきれいに見えますが、調理する際は基本的に洗うのがルールです。にんじんや大根、玉ねぎなど皮を剥く野菜に関しては洗う必要はありませんが、皮を剥かずに食べる場合はきちんと洗う必要があります。
キャベツやレタス、白菜などは外側の葉を除けば洗わなくても食べられますが、芯の近くに小さな虫や土などの汚れが付着していることがあるため、やはり洗うのがベターです。
残留農薬の危険性は?
安全性の観点から言うと、残留農薬の危険性は心配しなくても大丈夫です。野菜の残留農薬基準値は、1日に食べる野菜や果物に含まれる農薬の合計が、その薬品の一日摂取許容量(生涯にわたり毎日摂取しても健康に害を与えることがないと推定される化学物質の最大摂取量のこと)の80%以内におさまるように定められています。
つまり、使用法が守られていれば、農薬が残っていても健康被害が出ることはありません。とはいえ、土などの汚れや残っている農薬はきちんと洗って取り除いた上で食べた方が良いでしょう。
野菜は下ごしらえで洗うのが原則
しかし、農薬の安全性のみをフォーカスするならば、洗わなくても安全だといえます。
なぜなら、野菜や果物に使われる農薬の安全性は、2つの法律で守られているからです。
農薬取締法
この法律では、農薬の種類や量、使用方法や使用期間などを農作物ごとに定めています。
残留農薬基準
残留農薬基準は、販売する段階での農作物の安全性を確保するための法律です。
この基準量ならば、一生涯に渡って毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響は無いと推定される一日あたりの摂取量を設定しています。
残留農薬基準を検査する際には抜き取り検査(サンプリング検査)をおこないますが、対象となる農作物を洗うことなく、皮もむかない状態で使用します。
つまり、残留農薬に関しては、野菜や果物を洗わないままで丸ごと食べても、健康への影響は考えられないレベルだということになります。
とはいえ、キレイに見えても土やホコリなどの汚れは付いている場合があるので、野菜は基本的に正しく洗ってから食べるのがいいのですね。
果菜類
トマトやピーマン、ナスなどの果菜類は、はじめに水につけてから流水で一つ一つ洗います。ヘタやイボの周りには土や汚れがたまりやすいので、指先を使って丁寧に洗いましょう。
葉野菜
キャベツやレタスなどのように葉が重なり合っている葉野菜は、葉を1枚ずつはがして洗います。一見きれいに見えても、特に芯に近い部分の内側に小さな虫や虫の卵、土などが付着していることがあるので、1枚ずつしっかり流水で洗います。
ほうれん草や水菜、小松菜といった根元部分が密集した葉野菜は、根元部分に汚れがついていることが多いので、ボールに水を入れて根元がつかるように入れて数分間放置した後、根元部分を広げながら流水で丁寧に洗いましょう。
発芽野菜
豆苗やカイワレ大根のような発芽野菜は、土台から切り離すか、土台をつけたまま食べる部分を下にして振り洗いします。もやしは袋詰めの際にきちんと衛生管理されているので洗わなくても食べられますが、購入してから日にちが経っている場合は軽く洗った方が安心です。
根菜類
じゃがいもやさつまいも、大根、ごぼう、にんじんなどの根菜類は、土が付いていることが多いので手でしっかり洗います。くぼんだ部分に土がたまりやすいので、たわしやブラシを使うのもおすすめです。皮に近い部分にも栄養が多く含まれているので、きちんと汚れを落として皮ごといただくと栄養素を有効に摂取できますよ。
花菜類
ブロッコリーやカリフラワーなどの花菜類は、花蕾の中の汚れを落とすために水につけて洗います。ボールに水を張り、茎の部分を持って逆さにして花蕾部分を浸けながら振り洗いします。水を替えてもう一度繰り返したら、流水で全体を洗って仕上げます。
たけのことトウモロコシはどうやって洗うの?
たけのこは土の中に埋まっているので、土が付着している場合がほとんどです。最初に流水でよく洗い、土を洗い流しましょう。
トウモロコシは、一番外側の皮には汚れが付いていることもありますが、外側の皮を剥いてから調理する場合は洗う必要はありません。
しかし、汚れが気になるのならば、水洗いしてもいいでしょう。
きのこ類は基本的に洗わない
なめこ以外のきのこ類は、洗わないのが基本です。きのこ類を水で洗うと水分を吸って風味が飛んでしまうため、水洗いは避けましょう。
汚れが気になる時は、湿らせたキッチンペーパーやふきんで優しく拭いて汚れを落とします。ぬめりのあるなめこは濡れたふきんでは対応できないため、ザルにあけて流水で洗いましょう。
【50℃洗い】ってなに?どうやって?
野菜の50℃洗いは、ヒートショック現象を利用して野菜を蘇らせる洗い方です。
野菜は畑から収穫されると、水分が蒸発するのを抑えようとして表面にある気孔が閉じた状態になります。
ところが、50°前後のお湯で洗うとヒートショック現象の作用で表面の気孔が開きます。
そこから細胞が水分を吸収することができ、野菜がみずみずしくなるという原理です。
レタスを例に取り上げて、50℃洗いの方法を説明します。
まず、ボールに50℃前後(48~52℃)のお湯を張ります。
1枚ずつ剥がしておいたレタスを重ねてボールに入れ、30秒~1分浸しましょう。
お湯から引き上げたら、そのまますぐに冷水に浸して冷やすだけなので簡単です。
50℃洗いでの大切なルールは温度と時間を守ること。
温度が高すぎると栄養分が損なわれますし、逆に低すぎると雑菌が繁殖するリスクが生じます。
時間と温度を守り、正しい50℃洗いをおこないましょう。