英国のことわざで、1日1個のりんごは医者を遠ざける」または「「風邪にはりんご」といわれ、TVや雑誌などで病気の方へお見舞いの際に、花やりんごを渡す場面を目にしたこともあると思います。
一日一個のりんごで医者がいらなくなるほど、りんごは健康にとってよい食べ物だという意味です。ことほど左様に実感されている方も多いのではないでしょうか。
このように、りんごは民間療法の一つとして、お腹の調子が悪いときには、すりおろしたりんごを食べるなど生命力を与えるフルーツという印象があり、りんごには様々な健康への効果効能があります。
- りんご1個の力を最大化する
- 風邪にりんごは効果あるの?
- ではなぜこんなことが言われる?
- りんごと風邪
- りんごのベストな食べ方
- リンゴ加熱すると効果あり
- りんごは皮ごと食べた方がよいのか
- 皮ごと食べるといっても、農薬やワックスが心配?
- りんごの食べ合わせの悪いものは?
- りんごとバナナの相性は
りんご1個の力を最大化する
りんごは保存性も高く、一年中購入できる果物です。この保存性の高さと通年安定した供給があるので、比較的おお手頃価格で手に入ります。お店の棚から消えることもないようです。1個のりんごでも、そのまま生で食べたりコンポートにしたり、すりおろしたりとりんごには様々な食べ方やそれぞれにメリットがあります。
すりおろしりんごの場合は、離乳食初期のお子さん用に冷凍保存ができ、すり下ろしている分、丸かじりするよりも消化が良いというメリットがあります。
また、すりおろしりんごは料理にも使えます。豚肉との相性も良いので、ソテーした生姜焼きにりんごのすりおろしを加えると、りんごの酵素でお肉も柔らかくなるのでとてもお勧めです。
風邪にりんごは効果あるの?
今回は「風邪にりんごは効果があるのか」という事について。
こどもの頃に風邪をひくとすりおろしたリンゴやりんごジュースを飲んだ方は私だけではないと思います。今時のお母さんはいかがでしょうか。
西洋では古くから民間療法として「1日1個のトマトは医者を遠ざける」、日本では「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われてきました。りんごではあまり聞きませんが、日本でも古くからおばあちゃんの知恵として「風邪にりんご」といわれています。
りんごがお薬として出されることはありません。もしお医者さんが風邪に対して医学的効果があると言ってりんごを処方していることがあっては、ちょっとまずいかもしれません。また効果があったという実験では、1日に「食べきれないほどの量のりんごを食べると」という前提だったりすることもあります。
ではなぜこんなことが言われる?
まずりんごの栄養成分について考えてみましょう。りんごのそのほとんどは水分です。りんご1個に含まれる糖分はどうでしょうか、りんご1個で茶碗に1杯程度の糖質を含みます。これは角砂糖14個分、コーラ1本分です。
カロリーとしては150キロカロリー程度でしょうか。糖質の種類は果糖、ショ糖、ブドウ糖などでしょう。りんご1個の摂取で多くの水分と約30〜35g程度の糖質を摂ることができます。特にブドウ糖はすぐにエネルギーに変換することもできて低血糖状態にはとても有効です。
風邪をひいて発熱している時には食欲が低下してしていることが多く、こどもでは特に低血糖の状態になりやすいので、その際の水分とエネルギーの補給としてはかなり有効な食物と言えます。
他にどのような栄養が含まれているでしょうか、食物繊維、ミネラルのカリウム、リン、カルシウム、マグネシウム、ビタミンC等があります。風邪に効くとされるビタミンCの含有量はそれほど多くはありません。
食物繊維は皮の部分に多く、腸の動きを活発にして、消化や吸収、整腸を促し、下痢などの症状には緩徐ではありますが有効です。
その他のミネラル、ビタミンについては特に多いというわけではありませんが、これらは摂れば良いと言うものではなくバランスが大事です。その他にりんごはクエン酸やリンゴ酸を含んでおり、疲労の回復にも効果はありそうです。ポリフェノールに至っては100種以上を含むようです。
このようなことより、風邪の時にりんごは効くの?と問われれば、風邪に直接効果はありません。
しかし風邪の時に起こる、体の不調を補ったり、整えたりする効果はありそうです。ただしこれは「りんご」であって多くの市販りんごジュースでは効果は限定的です。
効果を期待するならばやはり、りんごは丸ごと皮まで摂取し、足りない成分は他の食品を加えて摂るとより効果的であると言えます。
そのためにもりんごはすりおろしたり、ジューサーのようなもので摂取するのがさらに良いと思います。
りんごと風邪
りんごは、直接風邪ウィルスに働きかける栄養素こそ入っていないものの、風邪の時に食べるとよい果物として知られています。
その理由は、りんごは全体の8割が水分で程よく糖分も含まれていることにあります。風邪をひいて熱があるときには、食欲が低下していることが多く、子どもでは特に低血糖状態になりがちです。りんごは、糖分が含まれているため美味しく抵抗なく水分とエネルギー補給ができます。
また、吐き気や下痢などの症状の際には脱水症状を防ぐためにも水分補給が必要です。ある程度症状が落ち着いてから、体力回復や栄養補給のために食事が必要で、回復食として「りんご」は効果的です。食物繊維効果で腸の働きを活発にし、消化吸収を助け整腸作用を促してくれます。りんごは水分と共に整腸作用もあるため症状の軽減が期待できます。
これらのことより、りんごは風邪に直接的な効果はありませんが、風邪の時に起こる体の不調を補ったり、整えたりする効果はあると言えます。
りんごのベストな食べ方
りんご1個(200~250g)は、約140キロカロリーで、糖質は約35〜40gです。つまり、りんご1個でお茶碗1杯分に匹敵する糖質を含むので、糖分をエネルギーとしてすぐに消費できる「朝〜15時」くらいがりんごを食べるベストタイミングといえるようです。
出来れば栄養価値の高い皮ごと食べるとなおさら、大きな効果が期待できます。意外に皮ごとは食べずらいので薄くカットするなどの方法などを工夫しましょう。
リンゴ加熱すると効果あり
リンゴには食物繊維ペクチンがたくさん含まれています。お腹の調子を整える整腸作用などがあるといわれます。
りんごの実と皮には多くのペクチンが含まれていますので皮ごと食べることによってペクチンを大量に摂取出来ます。このペクチンは天然の整腸剤といわれるほど、下痢にも便秘にも良く働く優れものといわれます。
注目したいのはりんごを100℃以上で加熱することによって、ペクチンが6-9倍にもなるという研究結果です。
りんごは皮ごと食べた方がよいのか
皮と実の間に前述した栄養素が、りんごの実の部分以上の栄養が豊富なため、胃腸が悪い、歯が悪い、吐き気があるなどの場合を除き、健康な方であれば、皮ごと食べることをお勧めします。
皮ごと食べるといっても、農薬やワックスが心配?
◎農薬
りんごは、無農薬で作るのが難しい果物です。
しかし、日本の残留農薬基準は世界一厳しいので、通常なら人体に影響でない量に抑えられています。また、日本では、収穫後の農薬散布は禁止されていますので、その点でも安全性は高めです。普段の1日1~2個程度を食べるくらいでは、問題ありません。
★ただし、輸入品には日本で禁止されている農薬が使われていることもあります。
検疫所で日本の基準を満たしているかのチェックはあるようですが、皮ごと食べるなら、やはり安全性の高い国産のものを選ぶ方が無難です。
◎ワックス
りんご表面のテカテカは、ワックスがついているように思えますが、日本ではリンゴへの人工的なワックスの使用は認められていません。これは、リンゴ自身が出した油の膜です。リンゴが熟してくると、リノール酸やオレイン酸などの脂肪酸が増加し、これがリンゴの皮に含まれているロウ物質を溶かしていき、徐々に表面に出てきて膜を作ります。これが、りんごの水分が蒸発して乾燥してしまうのを防いでくれます。
以上の事から、国産リンゴは農薬基準が厳しいこと、人工的なワックスが使われていないため、安心して皮ごと食べられます。
ただ、それでも気になるなら、農薬も落とせる野菜・果物用洗剤を利用して洗うのも一つの方法です。
りんごの食べ合わせの悪いものは?
りんごにはほかの食品のビタミンCを破壊してしまう酵素が含まれています。そのため、ビタミンCの多いフルーツ(柑橘類、キウイなど)で作るミックスジュースは栄養効果を減らしてしまうという意味で食べ合わせが悪いといえます。
ただ、食材の細胞を破砕して混ぜるようなものでなく、食材同士の触れる面積が少ないのであれば、(カットフルーツとして食べるなど)そこまで、神経質になる必要はないと考えます。
りんごとバナナの相性は
さらにダイエット効果を期待するなら、朝にりんごと一緒に、栄養バランスに優れたバナナを食べるのもお勧めです。バナナも食物繊維が豊富でとてもりんご同様に良い食品として知られています。
バナナにはフラクトオリゴ糖が含まれているため、腸内菌の餌となります。また腹持ちも良いためダイエットを意識している方にも向いていますし、むくみ解消にも効果的な南国の果物です。
バナナは低カロリーと言われ1本でご飯茶椀半分の約86キロカロリーなうえ、糖質の吸収が緩やかなので、血糖値の上昇が少ないりんごと組み合わせて食べるとよいでしょう。相乗効果も期待出来るようです。