ある事象について矛盾がないように順序立てて考えることや、体系的に整理して考えることなどを指します。一方、シンキング(Thinking)には、「思考」や「考える」などの意味があり、意見や判断といった意味も含まれています。
ロジカルシンキングの定義
ロジカルシンキングは、「論理的思考」や「論理的な考え方」などを意味します。直感や感覚的に物事を捉えるのではなく、筋道を立てて矛盾・破綻がないように論理的に考え、結論を出す思考法です。
ロジカルシンキングを構成する要素
以下で、それぞれの要素を解説します。
物事に筋道が通っている
ロジカルシンキングは、意見や主張に筋道が通っていることがポイントです。コミュニケーションや意思決定の場において重要な意味をもつ要素で、「演繹的思考」と「帰納的思考」が基本となります。バイアスにとらわれず白紙の状態で物事を捉える
バイアスとは偏りと訳されるもので、思考の歪みを表します。たとえば、ほかの印象に影響されるハロー効果や、最後のイメージに影響される終末効果などが挙げられます。これらのバイアスを避け、全体をバランスよく捉えることが重要です。合理的思考をもつ
合理的思考とは、「何が重要で何が重要ではないのか」を見分けるために必要な能力です。合理的思考は、費用対効果の高さとも結びつく要素でもあります。問題解決策を立案した際、誰がどのように対応すれば効率的かを考えることが重要です。物事を適切に分解できる
問題解決において非常に重要な要素です。分解することで、問題点や、問題が起きた原因、適切な解決策などを把握しやすくなります。分析する際には、漏れなく重複なくという考えである「MECE」を用いるとよいでしょう。因果関係を正しく把握できる
分解と同様に、問題解決において重要な意味をもつ要素です。因果関係とは、原因と結果を結びつけるもので、問題の本質の把握に役立ちます。問題の本質的原因でない場所にこだわっても効果はないため、本当の原因を把握することが重要です。言葉や数字を適切に扱えるロジカルシンキングに限りませんが、言葉の定義や数字の意味を知って定量的に思考することが重要です。
日本でロジカルシンキングが広まった背景
メリット
コミュニケーション能力の向上が期待できることもメリットといえるでしょう。自分の意見を正確に説明できるだけでなく、相手の意見を理解できるようになるため、コミュニケーションが円滑化します。
デメリット
ロジカルシンキングはあくまで論理的に考え分析する手法であるため、前提条件にある間違いをみつけたり、論理の前提をみつけたりすることには向いていません。また、前提が間違っている場合には、正確な結論にたどり着けない可能性もあります。間違った結論に至ってしまうこともあるため、前提条件は慎重に選択する必要があります。
クリティカルシンキングやラテラルシンキングとの違い
思考法には、クリティカルシンキングやラテラルシンキングというものもあります。
クリティカルシンキングとの違い
クリティカルシンキングには、「批判的思考」という意味があります。物事を考える際に、批判的な目線で問いかけを行います。ロジカルシンキングと相反するものではなく、補完的関係にあることも特徴です。たとえば、ロジカルシンキングでたどり着いた結論に対しても、「本当に正しいのか」と問いかけをすることができ、客観的視点で見極められるようになります。
ラテラルシンキングとの違い
ラテラルシンキングは「水平思考」という意味があります。常識や既存の方法にとらわれずに、新しい手法を模索する考え方です。
ロジカルシンキングは論理的に物事を考え積み重ねていく思考プロセスですが、ラテラルシンキングは柔軟でユニークな発想や広がりのある思考を求めます。
ロジカルシンキングの3種類の代表的な手法
ロジカルシンキングには代表的な手法が3つあります。
帰納法
帰納法は多くの実例の中から共通点をみつけて結論を導き出す考え方で、統計分析にも用いられます。たとえば、「ウイルスA・ウイルスB・ウイルスCは人に感染する」という実例から、ウイルスはタイプに限らず人に感染する可能性が高いという結論を導き出します。演繹法
演繹法はアリストテレスが提唱した手法で、三段論法とも呼ばれています。一般論やルールと観察事項を結び付けて結論付ける方法です。例えば、「一般論:犬は動物である」「観察事項:ポチは犬である」を結び付けて「結論:ポチは動物」となります。弁証法
肯定されている事柄に対して否定する案を提示する考え方で、解決に向けた統合案を導き出します。例えば、「肯定:コーヒーを飲みたい」「否定:カフェインの摂りすぎは身体によくない」「合:カフェインレスのコーヒーを飲む」というような考え方です。