気候の影響もあり、体調不良に陥る人も少なくないようです。体力が消耗しやすい本格的な暑さがやってくる前に、今こそしっかり体調を整えておきたいところですね。
餃子やニラレバなど中華料理でよくみかけ、その特徴的な香りと鮮やかな緑が料理を引き立てるニラ。
実は多くの栄養素を含んでおり、体にうれしいさまざまな健康、美容効果が期待できる食材です。
独特のにおいの正体はアリシン
ニラの独特なニオイは、アリシンと呼ばれる成分です。アリシンは、ニンニクやネギなどにも含まれます。
アリシンは、糖質の代謝に必要なビタミンB1の吸収を促す効果に期待が持てます。ビタミンB1は、疲労回復を助けるうえで欠かせない成分で、不足すると疲れやすくなります。アリシンがビタミンB1と結びつくと体内に長くとどまることができ、疲労回復やスタミナ増強につながるというわけです。
また、アリシンは血行促進効果にすぐれ、体を温め、冷え性や肩こりを改善する効果にも期待が持てます。血液の流れを正常にする効果にもすぐれ、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも役立つといわれています。
アリシンを効果的に摂るには?
アリシンを効果的に摂る調理法をご紹介します。
アリシンは、細胞を壊すことで発生するため、刻んだり、つぶしたりするのがおすすめ。
また、油で調理すると、アリシンの成分が壊れにくくなると考えられています。アリシンはビタミンB1の体内吸収率を高める効果があるため、ビタミンB1を多く含む食品、豚肉と摂ると効果的です。つまり、ニラ料理の代表格でもある餃子やニラレバは、理にかなった料理といえます。
ちなみに、ニラの根元には葉先の約4倍のアリシンが含まれています。根元も捨てずに調理しましょう。
緑黄色野菜トップのβ-カロテン
免疫力向上:ウイルスや細菌への抵抗力を高め、健康維持に役立ちます。
肌のターンオーバーを促進し、肌荒れや乾燥を防ぎます。
ニラはたくさんの栄養素をもっている野菜です。
その中でもニラを代表的な栄養がβカロテンです。
βカロテンはにんじんやホウレンソウなどの緑黄色野菜に多くふくまれていますが、ニラはそれよりも高い含有量をほこる野菜です。
100gあたり3500μgものβカロテンがあり、これは野菜のなかでもトップクラスの量です。
βカロテンは体内でビタミンAに変換される栄養素で、主に目や皮膚などの健康維持に欠かせません。
ほかにも抗酸化作用に優れているため、アンチエイジングにも役立ちます。
ビタミンC
活性酸素から体を守り、老化や生活習慣病予防に役立ちます。
貧血予防に役立つ葉酸
ニラは貧血対策につながる葉酸(ようさん)も多く含んでいる野菜です。
葉酸は赤血球を成熟させるために欠かせない栄養素。
葉酸が不足していると葉酸欠乏症になってしまい、貧血をおこす原因につながります。
この葉酸不足による貧血を「巨赤芽球性貧血 」とよび、特に多くの血液を必要とする妊婦にはたっぷりの葉酸がかかせません。
ビタミンE
ビタミンCと同様に、活性酸素から体を守ります。
血流を改善し、冷え性や肩こりの改善に役立ちます。
アリシン
ビタミンB1の吸収を促進し疲労回復効果を高めます。
高血圧の予防に役立つ可能性が指摘されています。
食物繊維
腸内環境を整え、便秘の解消に役立ちます。
血糖値の上昇を抑制します。
ニラは、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、アリシン、食物繊維など、様々な栄養素が豊富に含まれており、免疫力向上、抗酸化作用、疲労回復、便秘解消など、多くの健康効果が期待できる食材です。ぜひ、毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
栄養を逃がさないニラの食べ方
ニラの栄養をできるだけ効率よくとるには、次の食べ方がおすすめです。
ニラに含まれる疲労回復に役立つアリシンは、熱に弱いため食べ方にちょっとしたコツが必要です。
できるだけニラの栄養を壊さずに食べるための、3つの方法を見ていきましょう。
生のまま食べる
ニラの栄養を丸ごととるには、生のまま食べる方法がおすすめです。
ニラは生のままだと噛み応えがあり、低カロリーなので満腹感がえられるダイエット食品になります。
特に血糖値の上昇率をあらわすGI値も26と低く、糖質が多いごはんなどの炭水化物をとる前に食べると、急激な血糖値の上昇を防げます。
ただし、不溶性食物繊維が豊富なので、一食で一束を食べるなど大量に接種することは控えましょう。
かえって便秘の原因になったり消化不良をおこしたりする可能性があります。
ニラを加えたサラダや薬味として生で食べる方法がおすすめです。
ニラを使ったタレを作る
ニラを細かくカットして手作りのタレにするのも、栄養をしっかりとるおすすめの食べ方です。
たとえば醤油やラー油などの調味料にきざんだニラを入れて、一日漬け込めば野菜やお肉にかけるだけでおいしい料理になるタレができます。
しかも、ニラはしょうがやにんにくなどのほかの薬味と組み合わせれば、冷え性の予防にも役立ちます。
また、油といっしょにとるとアリシンが失われにくいため、ラー油やごま油などの中華風のタレがおすすめです。
鍋や炒め物に入れる
ニラに火をとおすなら、油を使った鍋や炒め物がおすすめです。
貧血対策に定番の料理、レバニラはニラの栄養をしっかりととりつつレバーによって鉄分もとれる女性にうれしいメニューです。
また、鍋でも香りづけにごま油やオリーブオイルをかけたり、鍋のつけダレにラー油を使うと、失う栄養を抑えておいしくいただけます。
ニラの正しい保存方法
ニラは保存方法を工夫すれば、シャキシャキしたみずみずしい食感を数日キープできます。
ここでは使うタイミングや保存方法別に、ニラをおいしく長持ちさせるためのコツをご説明します。
すぐ使うなら野菜室に2~3日保存OK
ニラを購入してから2~3日以内に使い切るのなら、野菜室に保存するだけでOKです。
ニラの旬は3~4月の春ですが、今はハウス栽培が発達していて季節問わずいつでもおいしいニラを購入できます。
ニラはハリがあって、根元の部分をもっても葉先までまっすぐ立つものが新鮮な証です。
葉が緑色から黄色に変色しているものや、表面が乾燥しているものは鮮度がおちているサインです。
新鮮なニラであれば野菜室で2~3日保存できるため、購入の際は鮮度をきちんとチェックしましょう。
カットして水に浸したまま野菜室に保存
3日以上ニラを保存するなら、乾燥しないようにカットして水につけましょう。
使いやすく3~5cmの長さにカットしたら、タッパーの中にきれいな水をいれてそこにニラをひたします。
野菜室で冷蔵保存すれば、およそ10日間シャキシャキした状態をキープできます。
できれば水は毎日とりかえると、菌が繁殖しづらく安全にニラを保存可能です。
カットして冷凍保存
大量にニラがあって食べきれないときは、冷凍保存しましょう。
方法は冷凍保存に対応したビニール保存袋を用意して、使いやすい長さにカットしたニラをいれるだけです。
冷凍した状態のまま使う分だけを袋からとりだして、調理できます。
ニラはおよそ1か月間、冷凍保存が可能です。