煮物、サラダ、炒め物などなど幅広い料理で活躍してくれる万能な大根。
水分が多く含まれているイメージですが、栄養面ではどんな効能が期待できるのでしょうか。
- 大根に含まれている栄養素と効能・効果
- 実は大根の葉にも栄養はたくさん含まれている
- 大根の栄養を効率的に摂るには?
- 大根の消化酵素や辛味成分の働き
- 辛味成分イソチオシアネート
- 大根の栄養を逃さない食べ方
大根に含まれている栄養素と効能・効果
昔から「大根どきの医者いらず」ということわざにある通り、大根は昔から体に良いものとされています。
大根を食べることによって摂取できる栄養素や、期待できる効能・効果について代表的なものを3つご紹介します。
イソチオシアネート
大根の細胞が破壊されることで発生し、大根の辛味の原因であるイソチオシアネートには優れた抗菌作用や血栓の予防効果があり、がんの抑制効果も期待できるといわれています。
消化酵素
大根に含まれている消化酵素でデンプンを分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)は、食べ物の消化を促進し胸やけや胃もたれを防ぎます。二日酔いの緩和などにもおすすめです。
ビタミンC
大根には老化や免疫機能の低下を抑える、抗酸化作用が期待できるビタミンCが含まれています。ビタミンCは、美肌を保つために必要なコラーゲンの合成にも欠かせない成分です。
実は大根の葉にも栄養はたくさん含まれている
大根の根の部分は料理に使うものの、葉っぱは捨ててしまう!といった方も多いのではないでしょうか。実は大根の葉は緑黄色野菜に分類されるほどカロテンの含有量が多く、またカロテン以外の栄養素もたっぷり含んでいます。
つまり、大根の葉は効率的な栄養摂取に役立つ、捨ててしまうにはもったいない部分なのです。大根の葉に含まれる栄養素と、期待できる効能・効果についても少し触れておきましょう。
β-カロテン(ビタミンA)・ビタミンC
大根の葉の部分には、根に含まれていないβ-カロテン(ビタミンA)や、根と比較して約5倍のビタミンCが含まれており、両者ともに抗酸化作用が期待できます。またβ-カロテンには、皮膚や粘膜の健康を維持する働きもあります。
食物繊維
大根には食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は腸内細菌の働きを助け、おなかの調子を整えるのに役立つ成分です。
食物繊維には、食後の血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を低下させたりと、さまざまな働きがあります。
便秘や生活習慣病の予防のために、食物繊維は欠かせません。
カルシウム
骨や歯の形成に重要なカルシウムが豊富に含まれており、大根の葉は野菜の中でもトップクラスといわれています。根の部分と比較して、葉には10倍以上多くのカルシウムが含まれています。
カリウム
塩分の取りすぎを調節し、高血圧やむくみの解消に効果があるとされるカリウムも含まれています。こちらも根の部分と比べて、約2倍近くの量が含まれています。
葉酸
ビタミンB群のひとつである葉酸は「造血のビタミン」ともいわれる栄養素で、大根にも多く含まれています。
葉酸は細胞分裂を助ける働きもあります。妊娠を希望する人や妊娠中の人は、とくに積極的にとりたい栄養素です。
貧血や動脈硬化の予防効果も期待できるため、健康維持のためにもしっかりと摂取する必要があります。
大根の栄養を効率的に摂るには?
たとえば
大根の消化酵素や辛味成分の働き
大根は豊富な栄養素のほかにも、体に有益な成分を多く含んでいます。ここでは、大根の持つ消化酵素と辛味成分の働きについて詳しく見ていきましょう。
消化酵素
大根は、消化酵素が豊富に含まれており、食事に取り入れると消化を助けてくれます。消化酵素とは、でんぷん・タンパク質・脂質などを分解する働きを持つ酵素で、食べ物を消化吸収するために欠かせません。消化酵素は、基本的には体内(消化器)で十分な量が分泌されます。しかし、大根のように消化酵素が多い野菜では、含まれる酵素が補助的に働いて、消化を助けてくれることもあるのです。ただし、加熱すると働きが失われるため、大根おろしやサラダなどでの生食が必要です。
アミラーゼ(ジアスターゼ)
大根に含まれるアミラーゼ(旧名はジアスターゼ)は、でんぷんを分解する作用があり、胃もたれや胸焼けの予防に役立ちます。大根おろしをうどんやそばに乗せたり、お餅にからめて食べたりするのは、消化を助ける意味でも理にかなった組み合わせです。
プロテアーゼ
プロテアーゼはたんぱく質を分解する働きがあり、さまざまな料理の下ごしらえにも役立ちます。肉や魚を大根おろしに漬けておくと、加熱してもやわらかく調理できます。これは、大根に含まれるプロテアーゼが、肉や魚のたんぱく質を分解してくれるおかげです。
リパーゼ
消化酵素のリパーゼは、脂肪を分解する働きがあります。ステーキや天ぷらなどの脂っこい料理に大根おろしを添えると、胃もたれや胸焼けの予防に役立ちます。
辛味成分イソチオシアネート
大根おろしの辛味は主に「イソチオシアネート」と呼ばれる成分に由来します。
大根の上部より下部の方が辛いのは、先端に近いほどイソチオシアネートが多く含まれるためです。
イソチオシアネートは、体内の抗酸化酵素などを活性化する作用が見つかっており、がんや動脈硬化の予防効果が期待され、数多くの研究の対象となっています。
イソチオシアネートは、消化酵素と同じく加熱により分解されやすいため、効果を期待する場合は生食が望ましいでしょう。
大根の栄養を逃さない食べ方
これまで述べてきたように、大根には複数の栄養素や、体に役立つ機能が期待される成分が含まれます。
こうした大根の栄養や成分を効率よく摂るには、食べ方にも工夫が必要です。
皮まで食べる
大根の栄養は中身よりも皮の部分に多く含まれています。
大根の栄養を効率的に摂取するには、よく洗い、皮ごと調理するのがおすすめです。
煮物などは、大根の皮をむくと味が染みこみやすくなるので、皮をむいて調理しましょう。
むいた皮は干したり、きんぴらにしたりすることで、大根の栄養を逃さずに摂取できます。
生で食べる
大根に含まれる成分は生で食べることで、より効果が発揮されやすくなります。
たとえば、大根に豊富なビタミンCやイソチオシアネートは、加熱で分解されやすい成分です。
大根の栄養を逃さず摂るにはサラダなど、生で食べられる調理法を選びましょう。
大根の消化酵素も加熱すると効果を失ってしまうため、消化を助けてほしいときにも生食がおすすめです。
とくに大根おろしにすると、消化酵素は壊れた細胞から流れ出て、より働きやすくなります。
消化酵素は時間経過に伴い減少していくので、食べる直前に調理すると効果を損なわずに摂取可能です。
干して食べる
大根には、干すことで凝縮され、摂取しやすくなる栄養素も含まれます。
切り干し大根などの干した野菜は、水分が抜けた分だけ、重さあたりの栄養価が高くなるのです。
水分が抜けてかさが減ると、少食の人でも栄養が摂りやすくなります。
たとえば、100gあたりの食物繊維やカルシウムの含有量は、生の大根と比べて干した大根では、以下のように増加します。
さらに、干した大根は水分が抜けて甘味が凝縮され、生の大根にはないうま味成分も生成します。
大根を消費しきれないときは、自家製の切り干し大根に加工して保存するのもよいでしょう。