秋の代表的な魚といえば、なんといっても「さんま」ですよね。
さんまは「秋刀魚」と書くように、秋によく獲れる、刀のような形と銀色に輝く身体が特徴の魚です。
大きさは30〜35cm程度と一人で食べるのに程よい大きさで、日本海側を大きな群れで回遊するため根室沖や三陸沖、銚子沖での網漁が盛んな大衆魚です。
日本の魚のように思えますが、世界で見るとさんまの仲間は北太平洋を始めとして南太平洋、南大西洋、インド洋など広く分布しているんです。
- 名前の由来
- さんまにもいくつか種類がある
- サンマの栄養
- サンマに含まれる栄養素
- 脳の働きや血流を促す「DHA」と「EPA」の効果的なとり方は?
- 肌や髪の潤いを保つために欠かせないビタミンB群も豊富
- さんまに大根おろしは理にかなっていた!?
- 目元や口元をチェック!新鮮なサンマの見分け方
- サンマと大根の甘酢漬
名前の由来
しかし、なぜ秋刀魚と書いてさんまと読むのでしょうか?
これには「細長い魚」という意味の「さまな(狭真魚)」が変化したという説と、大きな群れ(さわ)で泳ぐ魚(ま)という意味の「さわんま」が変化したという2つの説があり、どちらが正しいのかは未だはっきりしていません。
どちらにしても、漢字と読み方はそれぞれ別の由来なんですね。
他にも、昔の文献では「さいら(佐伊羅魚)」や「さまな(狭真魚〉」、「さんま(青串魚)」と書かれていたり、夏目漱石の「吾輩は猫である」の中では「さんま(三馬)」と書かれていたりと、色々な名前で呼ばれています。
さんまにもいくつか種類がある
スーパーや魚屋さんで売られているさんまは「さんま」もしくは「生さんま」としか書いていないことが多いので、さんまは一種類しかいないと思っている人も多いのではないでしょうか。実は、さんまにもいくつか種類があるんです。
私たちがよく見るさんまは、そのまま「サンマ」という種類です。その他に、南太平洋、南大西洋、インド洋に多く生息する細めの「ハシナガサンマ」や大型の「ニシサンマ」、数cm〜10数cm程度の「ミニサンマ」などがいます。
サンマの栄養
サンマにはたくさんの栄養が含まれています。
必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質のタンパク質や貧血防止に効果のある 鉄分、粘膜を丈夫にするビタミンA、また骨や歯の健康に欠かせないカルシウムとその吸収を助けるビタミンDも多く含んでいる。
今話題の頭の良くなるとわれているDHAには下記の表の効能以外にも中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす効果があり、体系の気になる方、育ち盛りのお子さんからお年寄り、閉経後の女性とまさに老若男女に効果的な万能の食材と言えます。
また、サンマに付き物の大根おろしには、焼き魚のこげ部分の発ガン物質を
分解する酵素(アミラーゼ)が含まれており合わせて食べるとまさに一石二鳥です!
サンマに含まれる栄養素
EPA
血小板の凝固を抑え、血液をサラサラにする。また糖尿病の合併症を解消し、炎症を鎮める作用や抗腫瘍作用もある。
DHA
脳の発達の維持に効果を発揮する事から記憶力の向上や脳の老化防止に効果あり。また善玉コレステロールを増やす。
ビタミンA
皮膚や目の粘膜を健康に保つ働きや、成長促進作用があります。またガンの予防や治療に効果があります。
ビタミンD
カルシウムやリンの吸収を促し、血液中のカルシウムをコントロールして骨を丈夫にします。
ビタミンE
血流を改善する作用、ホルモンの分泌やバランスをコントロールする働きがあり、老化の原因の過酸化脂質の形成を妨げる。
ビタミンB2
脂質や糖質の代謝を促進させ、細胞の再生や成長を促進する働きや粘膜を保護する働きもあります
カルシウム
骨や歯をつくる。血液の中性を保ち、凝固を助ける。心臓や筋肉の収縮作用・抵抗力を増し、神経の鎮静作用がある。
三大栄養素の脂質とタンパク質だけではなく、ミネラルやビタミンの点でもさんまは優秀な栄養源なんです。
特に注目したいのが、カルシウムです。カルシウムは骨や歯の健康に必須な栄養素であるだけでなく、イライラを抑えたり認知症を予防したりと、メンタルや脳の健康にも欠かせない栄養素です。
カルシウムといえば牛乳というイメージがあるかもしれませんが、実はさんまをはじめとした魚にもカルシウムはたっぷりと含まれています。
しかも、牛乳だけではカルシウムの吸収に欠かせないマグネシウムやビタミンDが不足しがちですが、さんまにはこれらの栄養素も同時に摂れるという大きなメリットもあります。
さんまのカルシウムは骨に多く含まれているので、さんまの缶詰や唐揚げで骨まで食べられるようにすれば、さらに効率よくカルシウムが補給できますよ!
鉄分
赤血球中のヘモグロビンの合成に必要で、体の各器官に酸素を運ぶ働きをする。
たんぱく質
たんぱく質は筋肉を作るだけでなく、肌や髪の毛、内臓、血など身体のあらゆる細胞の材料となる重要な栄養素です。
たんぱく質はアミノ酸というさらに小さい物質が集まってできています。美容や健康のためには、身体が必要としているアミノ酸をしっかりと含んでいるたんぱく質を摂ることが重要なんです。
さんまのたんぱく質は、人間が身体の中で生成できない必須アミノ酸をたっぷりと含んでいる良質なたんぱく質なんです!
必須アミノ酸以外にも、身体の機能や代謝、免疫力アップに欠かせないアルギニン、グルタミン、タウリンといったアミノ酸もさんまには含まれています。
スポーツをする人はもちろん、美容や健康に気を使うなら、さんまのたんぱく質はぜひとも積極的に摂りたいですね。
脳の働きや血流を促す「DHA」と「EPA」の効果的なとり方は?
サンマをはじめとする青魚に多く含まれているといわれる「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と「EPA(エイコサペンタエン酸)」。これら、不飽和脂肪酸の一種を摂取することで、どのような効果を得られるのでしょうか。
「DHAもEPAも、悪玉コレステロールを減らす働きがあるといわれています。さらに、DHAには、高血圧を予防したり脳の働きを正常に保ったり、睡眠を改善したりする効果も期待できます。一方、EPAには血流を促す働きがあり、動脈硬化や血栓の予防に役立つといわれていますね」
DHAとEPAの のほかにα-リノレン酸等を含むn-3系脂肪酸全体で、1日あたりの目安量は1.6~2.2g以上。生のサンマ100gには、DHAが2.2g、EPAが1.5gと豊富に含まれているため、ぜひ積極的にとりたいところです。
ただし、より効率的にとるには、食べ方に注意が必要だそう。
サンマに含まれるDHAとEPAは、グリルなどの網で焼くと1~2割程落ちてしまいます。脂っぽい=健康に良くないと思われがちですが、サンマの脂はその逆。栄養素を余さず摂取するには、お刺身や丸ごと調理のほか、煮物にして汁ごと食べるのがおすすめです。
焼いて食べる場合は、ホイル焼きにするなど、なるべく脂が流れ落ちないように工夫するといいでしょう!
肌や髪の潤いを保つために欠かせないビタミンB群も豊富
DHA、EPA以外にも、サンマにはさまざまな栄養素が含まれています。中でも豊富なのはビタミンB群で、特にビタミンB12は、ほかの青魚の約3倍の量が含まれているのだとか。
「ビタミンB12は『造血ビタミン』ともいわれ、女性や貧血気味の方におすすめの栄養素。このほか、サンマにはビタミンB6とビタミンB2も多く含まれています。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に関わる栄養素で、皮膚や髪を健康に保つためには欠かせません。ビタミンB2も、脂質や糖の代謝を促すことで細胞の再生や成長を助ける働きがあり、摂取することで皮膚や粘膜の保護につながります」
また、サンマには良質なたんぱく質もたっぷり含まれているそうです。たんぱく質が不足すると、筋肉量が減り肥満の原因になるほか、コラーゲン不足による肌のシワやたるみの原因にもなるので要注意。
さらに、ビタミンDが豊富に含まれている点も、サンマの特徴だといいます。
ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、骨を形成するのに欠かせない成分です。豆腐やチーズなど、カルシウムを多く含む食品をいっしょにとると、相乗効果が期待できるでしょう!
さんまに大根おろしは理にかなっていた!?
さんまの塩焼きを食べるとき、大根おろしがついてくることが多いですよね。これは見た目や味はもちろん、栄養的にも理にかなった食べ方なんです。
味の面では苦味を抑える効果があります。さんまの塩焼きは内臓も食べることが多いですが、大根おろしと一緒に食べることで、内臓の苦味を和らげてくれます。
さらに、さんまは焦げ目のついた皮の部分を食べることも多い魚です。焦げた部分には発がん性物質がありますが、大根おろしにはこの発がん性物質を抑える働きがあります。
また、大根おろしには消化を助けるジアスターゼやプロパノーぜ、リパーゼという酵素や、鉄分、ビタミンA、Eの吸収や働きをサポートするビタミンCも含まれています。大根おろしのサポートにより、さんまの栄養を効率よく摂ることができるんです。
目元や口元をチェック!新鮮なサンマの見分け方
健康と美容のためにも、旬の時期は積極的に食べたいサンマ。店頭で新鮮なサンマを見分けるには、どうすればいいのでしょうか?
清水さんによると、次のような点に注目するといいそうです。
・目がきれいで赤く充血していない
・トレーにドリップが溜まっていない
・身に弾力があり、表面にツヤがある
「サンマは、頭から背中にかけて盛り上がりがある物のほうが、脂のりがいいといわれています。また、身が細い物より厚みのある物を選ぶといいでしょう」
サンマは、ほかの生魚と同じように、長期間の保存には向いていません。DHAやEPAが酸化するのを防ぐためにも、できれば購入したその日のうちに調理したいところです。
どうしても保存が必要な場合は、次のような方法で行いましょう。
「まずは、表面を真水でしっかり洗った後、包丁を使って内臓を取り除いてください。その後、500mlあたり小さじ2の塩を加えた塩水で血合いをきれいに洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから、ラップでしっかり巻きます。
冷蔵の場合は、温度変化の少ない冷蔵庫の奥のほうに入れれば2日程持ちます。冷凍の場合は、1~2週間保存が可能です」
冷凍保存したサンマを使うときは、前日から冷蔵庫に移してゆっくり解凍し、調理する数十分前に冷蔵庫から出して室温に戻すのがおすすめ。特に焼き魚の場合は、室温に戻してから焼くことで、中までムラなく火が通りやすくなるそうです。
サンマと大根の甘酢漬
さんま 1尾
大根 12cm程度
大葉 4枚
人参 少々
きゅうり 1/2本
作り方
- サンマは3枚におろし、多目の塩をふりかけておく。
- にんじん、きゅうりは千切りにする。
- 大根は皮をむき、2cm位の輪切りの真中に切り目をいれるが、 1cm位残す。多目の塩をふってしんなりさせる。
- サンマを水で洗い酢でしめる(約10分)。
- 大根がしんなりしたら水で洗い水気を切っておく。
- 酢でしめたさんまは、ザルにあげ半身を3つ位に切る。
- 大根に大葉をはさみ、その間にさんま、にんじん、きゅうりをはさみ、酢と砂糖(1対2の割合)を入れた器に入れ10分以上漬け込む。
- 半分に切って盛りつける。
飲食店コンサルタント