日本の食文化になくてはならないごはん。食べ方も味わいかた方も様々ありますが、美味しさを感じるなら、ご飯を引き立てる「ふりかけ」は外せないのではないでしょうか。ふりかけとは、主に炊いた米飯にふりかけて使う、粉末状、粒子状、などの調味料的副食物のこと。材料も様々使われておる、おかずになるようなものもあります。
ふりかけの文化
お米大国と呼ばれる日本では、ご飯のお供という考えがあり「ふりかけ」は日本の食文化の一つです。
白いご飯にふりかけをかけるだけで、ご馳走の味へ変わるので不思議ですね。
長年日本で愛され続けている「ふりかけ」は近年海外へ進出しつつあり、アメリカでは人気のようです。しかしアメリカは米を主食としないので、ポップコーンに混ぜたりと(ハリケーンポップコーンと呼ばれています)日本とは違った使い方で食べられているそうです。
ふりかけの歴史
実はふりかけを考案したのは熊本県の薬剤師さんなのです。時は遡り大正時代初期のことです。カルシウム不足を補うために薬剤師さんは魚の骨を粉にして食べることを思いつき、また胡麻や青のりを調味料に加えることで魚が苦手な人でも食べられると考え、それをご飯に乗せて食べたことが「ふりかけ」の始まりです。
このふりかけを「ご飯の友」という名前で商品化し、今ではふりかけの元祖とも言われています。
今でも様々な改良がされているものの熊本県にあるメーカー、株式会社フタバから発売されています。
その後大正14年、福島県にある食料品店の主であった甲斐清一郎氏が白身魚を乾燥させ粉にしたものを昆布の粉と混ぜ、醤油ベースで煮込んだものを乾燥させ、胡麻や海苔を加えた商品を考えました。まさしくこれが好評であり東京へ進出し、本格的なふりかけ事業を始めたのです。これが後にお馴染みとなった「丸美屋」の起源となっています。
当時「ふりかけ」は高級品だったため、一定の階級の人々しか食べられていなかったようです。
時代が変わるにつれて今では「ふりかけ」というと庶民の味方のような存在ですね。
今は様々なフレーバーのふりかけが販売されており、ご飯に乗せただけで食欲をそそる香りや味わいになるという魅力があります。
源流にある「楚割(すわやり)」「花鰹」「ごま塩」
「ふりかけ」という言葉が「ふりかける」から生まれたのは自明のことだろう。とすると、ご飯の上にふりかけるたいていのものは「ふりかけ」の範疇に入れることができる。ただし、単に「かける」だと、「お湯をかける」や「卵をかける」なども入ってきてしまうので「ふりかけ」とは分けておきたい。
ハワイにもふりかけがある?
ハワイでは、ふりかけは日本語のまま「Fujikake」という名前で定番化しています。さまざまな種類のふりかけが店頭に並び、日本では想像できない用途にも使われることがあります。
なぜ、ハワイではふりかけが普及しているのでしょうか。それを知るためのヒントとして、ハワイには、数多くの日系人が住んでいるということが挙げられます。アメリカ合衆国全体において、日系人の割合は1%に満たないのですが、ハワイ州に限ると2010年時点でも23%いて、およそ4人に1人が日本にルーツを持ちます。
こういった日系人たちの存在は大きく、ハワイにはさまざまな日本文化が伝わり、定着しています。醤油や豆腐はもちろんのこと、そうめんや納豆までもがハワイで製造されており、住民たちにも親しまれています。ふりかけが支持を得ていることは、自然なことと言えるのかも知れません。
日本のふりかけとの共通点
さて、ハワイのふりかけにはどのような特徴があるのでしょうか。日本のふりかけとの共通点を見てみましょう。
種類が多い
ハワイのふりかけは、種類が豊富です。新製品が次々と発表されていく日本ほどではないかも知れませんが、日本でもポピュラーなカツオなどの魚介類をベースにしたものをはじめ、海苔が主体になっているもの、鶏卵を加えたもの、しそがベースになっているものなどが店頭に並んでいます。
店頭に並ぶハワイのふりかけは、地元産の他日本からの輸入のものがあります。台湾や中国から輸入されている製品もありますが、それらにも日本のスタイルが踏襲されています。
ごはんにかけて食べることが好まれる
ハワイでも、ふりかけはごはんにかけることが好まれます。外食店では、丼もののごはんにもふりかけをかけることがあります。
丼ものですから当然、味のついた具が乗っています。そこにふりかけを使うことは珍しくありませんので、ハワイの人たちからふりかけがいかに愛されるかが伝わってくるようです。
日本のふりかけとの違い
一方で、ハワイのふりかけはハワイの風土にあわせて発達したものでもあります。日本のふりかけとの違いは、どういったところにあるのでしょうか。
使い道はごはんに限らない
ごはん以外の主食とされるものにも、ふりかけは広く応用されます。マッシュポテトや、ハワイでは古くから栽培されているタロイモをペーストにしたものにも、ふりかけをかけて食べます。
お弁当やお惣菜のコーナーでは、ごはんではなくおかずにふりかけがかけられている商品を目にすることがあります。調味料がわりに、広い範囲で使われていると言えます。レストランでは、メニューに「Furikake」が記載されていることも少なくありませんし、有名シェフのこだわりメニューに、ふりかけが使われることすらあります。
食事にふりかけを利用するシーンは、日本ではカジュアルなものにほぼ限られますが、そこにフォーマルとも言えるシーンが加わることが、ハワイと日本との大きな違いと言えるのかも知れません。
刺身にふりかけが使われる
海の幸に恵まれているハワイでは魚食も盛んであり。日本と同じく、生魚を食べる習慣もありました。19世紀以降、日本をはじめ中国、韓国といった醤油を使う国々から人々が移住して来ます。これら北東アジアからの移民は、生魚をいわゆる「漬け」にして食べる文化を定着させました。
ハワイでもよく食べるマグロは、いずれもハワイに存在しなかった調味料の醤油とごま油で味を調えます。ここにふりかけをかけるのが、今日のハワイでも食べ方でもあります。
お菓子の味付けにも使われる
ハワイでは、ふりかけがさらに意外なところに使われています。それはお菓子の味付けで、ふりかけを使ったポップコーンであるハワイアン・ハリケーン・ポップコーンには、複数のフレーバーがあります。この商品は日本でも入手が可能だったこともあり、知っている人も多いかも知れません。
こういった商品だけでなく、プレーンなポップコーンにふりかけをかけて食べることもあります。ハワイで、ふりかけが愛されていることを感じることができます。