春から夏に向けてさまざまな豆科の野菜が出回ります。豆科の野菜は種類も豊富で、成長段階によって豆だけを食べるもの、サヤごと食べるものなどがあります。品種改良が進み、より美味しく育ちの良いものが作り出されているので、売り場には似たような呼び名と姿の豆科野菜が並び、迷ってしまうことも……
「さやえんどう」と「さやいんげん」の違いは!?
さやえんどう
・若いサヤごとたべるもの「さやえんどう」(ex:絹さや、スナップえんどうなど)
・未成熟の実をたべるもの「実えんどう」(ex:グリーンピースなど)
・完熟の実をたべるもの「実えんどう(乾燥)」(ex:みつ豆のえんどう豆)
「さやえんどう」は「絹さや種」と「大さや種」に分かれます。和洋中どんな料理にも合う野菜で、ヘタとスジをとってから調理します。年中流通していますが、美味しい時期は4〜6月です。
さやいんげん
・若いサヤをたべるもの「さやいんげん」
・完熟した実をたべるもの「いんげんまめ(乾燥)」
「さやいんげん」は「丸サヤ」と「平サヤ」に分かれます。
・丸サヤ:どじょういんげん、サーベルいんげんなど
・平サヤ:モロッコいんげんなど
最近では品種改良が進み、市場の9割が「スジなしいんげん」になっています。時期を変えて全国で栽培されていますが、初夏〜夏が旬の野菜です。さいやいんげんは、疲労回復にも効果的、夏には欠かせない食材です。それぞれの美味しさを最大に…種類や収穫時の成長段階がさまざまですが、現在市場に出回る豆科の野菜は、美味しさや収穫時期などが研究され、それぞれ異なる品種で作られています。
さやいんげんは若いサヤを食べる種類のインゲンマメを指します。インゲンマメとは、豆(種実)を指すのではなく、複数の豆がサヤに包まれた細長い緑色の野菜そのものを指します。一般的に「いんげん」と呼ばれるのはサヤインゲンを指します(「いんげん」はサヤインゲンの略語ということになります)。厳密には「いんげん」という名称の野菜は存在しません。
さやいんげんの原産地
中南米で古くより原住民により栽培されていました。アメリカ大陸に渡ったコロンブスにより、16世紀にスペインとイタリアに伝えられ、17世紀にはヨーロッパ全域で広く栽培・利用されるようになりました。日本へは1654年(江戸時代)に中国からの帰化僧である隠元が伝えたとされており、それがインゲンのの名前の由来となっています。現在ではマメ科の食用作物の中で最も栽培面積が広いとされます。
さやいんげんの最も一般的な品種は「ケンタッキー・ワンダー」で、日本に馴化したものは「どじょういんげん」「尺五寸」とも呼ばれます。つるあり、まるざやの代表的な品種です。スーパーでよく見かけるのはこの品種です。柔らかく独自の香りで味がよいとされます。その他にも「モロッコいんげん」「平ざやいんげん」などがあります。
いんげん(さやいんげん)は緑色を活かして各種の料理に使われます。柔らかく煮崩れしないので煮物はじめ、胡麻和えや揚げ物、炒め物に適しています。また、サヤインゲン自体を味わう料理の他に、色を目的に使われることも多く、スープやシチューなどの青みや五目寿司の彩りとして用いられることもあります。フランス料理ではソテーにして肉料理の付け合せとしてよく使われます。
さやえんどうとさやいんげんの仲間
さやえんどうとさやいんげんには種類がある。ここでは、エンドウ属とインゲンマメ属ごとに、さやを食べる種類を紹介する。なお、「名称に"さや"がついているものはさやごと食べる種類」と説明したが、これには例外があり、名前に"さや"はつかなくともさやごと食べるものもある。
エンドウ属
・きぬさや(絹さや)
さやえんどうの中でもっとも代表的な品種。絹さや以外にもさやえんどうの種類はあるが、一般的には、さやえんどう=絹さやである。味噌汁や炒め物、煮物の彩りなど幅広く使われる。
・スナップエンドウ
グリーンピースを品種改良して生まれた品種。甘みとサクッとした食感が特徴。
・砂糖さや
糖度が高く、甘みの強さから砂糖さや(砂糖さやえんどう)と呼ばれる。絹さややスナップエンドウと同じように使える。
・オランダエンドウ
関西方面でよく見られる品種。一般的なさやえんどうよりも大きめ。
インゲンマメ属
・どじょういんげん
ケンタッキーワンダーとも呼ばれる品種。さやいんげんの中ではもっとも一般的。さやは丸く、15~20cmほど。
・サーベルいんげん
どじょういんげんよりも細く、色が濃い。
・モロッコいんげん
平たく、20~30cmもある長いさやが特徴。
・アキシマササゲ
名前に"ササゲ"とつくが、インゲンマメの仲間。さやに茶色い模様がある。
ほかにもある!さやを食べる種類
さやえんどうとさやいんげんの仲間を紹介したが、ほかにもさやを食べる品種は存在する。最後に、エンドウ属とインゲンマメ属以外のさやを食べる品種を紹介する。
ササゲ属
十六ささげが代表的な品種。30~50cmほどの長くて柔らかいさやが特徴。東南アジアではよく食べられるが、日本ではあまり見かけない。
フジマメ属(フジマメ)
"千石豆"や"つる豆"など地域によってさまざまな呼称を持つ。独特の香りがあり、味わいも良好。さやえんどうやさやいんげんと同様に使われる。
ナタマメ属(ナタマメ)
熱帯アジアやアフリカを原産とする品種。"刀豆(とうず・たちまめ・なたまめ)"、"帯刀(たてはき)"などさまざまな呼び名を持つ。花と豆が赤いアカナタマメ、花と豆が白いシロナタマメ、花が白く豆がピンク色のタチナタマメの3種に分けられる。近畿地方よりも西の地域で生産されている。
シカクマメ属(シカクマメ)
東南アジアを原産とする品種。沖縄では"うりずん豆"とも呼ばれる。さやの四方についたひだと、切ると断面が四角い特徴的な豆。東南アジアの料理によく使われ、沖縄でも栽培されている。
さやいんげんの選び方・保存方法
さやいんげんは、緑が濃く、みずみずしいものを選びましょう。
先端の細い部分がピンとしているのが鮮度のよい証拠。全体が細く、中の豆が大きくないものを選んでください。
そして、さやいんげんはしなびやすいので、ラップかビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。2〜3日で食べ切るようにしてください。
冷凍庫で保存する場合は、固めに塩茹でして冷凍用保存袋に入れましょう。
さやいんげんの筋のとり方
最近は品種改良が進んで筋がないものも増えています。
しかし、筋ありの場合は、口に残ることがあるため筋を調理前にとるのがおすすめです。
1.さやいんげんのヘタを軽く折る。ヘタを完全に折ってしまうのではなく、
側面の筋とつなげるようにすることがポイント。
2.そのまま先端までゆっくりと引っ張り、筋をとる。
3.上下を反対にして、同じように先端を折って筋をとる。
筋がない場合は、さやいんげんのヘタを5mm程度切り落としてから調理に使います。
さやいんげんのニース風サラダ
さやいんげんの歯ごたえを生かすには、ゆで時間を短くしましょう。ツナ缶を使って手軽にドレッシングを作ります。
【材料(2人分)】
・いんげん…50g
・じゃがいも…1個
・トマト…1個
・ゆで卵…1個
・黒オリーブ(種なし)…10個
・ツナ…50g
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・すりおろしにんにく…1片分
・オリーブオイル…大さじ2
・酢…大さじ2
・塩、こしょう…少々
【作り方】
1.じゃがいもは皮をむいて芽をとり、1口大に切る。鍋にじゃがいもがつかるくらいの水を入れ中火にかける。柔らかくなるまで約15分ゆで、ざるにあげて湯を切る。
2.いんげんは筋をとる。沸騰したお湯で1〜2分ゆで、冷水に通して色止めをしてから、ざるにあげる。
3.トマトは1口大に切る。ゆで卵はくし切りの6等分に切る。
4.小さめのボウルに、ツナの缶汁を切って入れ、Aをすべて加えてよく混ぜる。
5.器に、いんげん、じゃがいも、トマト、ゆで卵、黒オリーブを盛り、ツナドレッシングをかける。
さやいんげんの混ぜご飯
炒めた具材をご飯に混ぜるだけの簡単レシピです。さやいんげんのシャキシャキとした食感がアクセント。
【材料(2人分)】
・いんげん…50g
・鶏ひき肉(もも)…80g
・ごま油…大さじ1
・炊き立てご飯…1合
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・すりおろし生姜…1片分
・醤油…大さじ1
・みりん…大さじ1
・酒…大さじ1
【作り方】
1.いんげんは筋をとり、1cm幅に切る。
2.フライパンにごま油をひき、いんげんと鶏ひき肉を入れて中火で炒める。
3.ひき肉の色が変わったら、Aを加えて煮汁がなくなるまで炒める。
4.ボウルに温かいご飯を入れ、いんげんと鶏ひき肉を加えて混ぜ合わせる。