“手間がかかる”“油の処理に困る”など、料理の中でもなんとなく苦手意識を持っている人が多い「揚げ物料理」。だけど、アツアツの揚げたてを頬張った時の幸せは、何ものにも変えがたいものです。まずは揚げ物の種類を知って、“揚げ物上手”への第一歩を踏み出しましょう。
揚げ物の種類とおすすめ素材
「揚げもの」とひとことで言っても、その種類は様々。調理だけでなく、お店のメニューやお惣菜を選ぶときにも役立つ、揚げ物の種類と適した食材をご紹介!
1.素揚げ
衣や下味をつけずに、野菜などの具材をそのまま揚げたもの。素材の色や味わいを生かす揚げ方。
カレーやサラダなどにプラスすれば、見た目が華やかになるだけでなく、満足感もアップします。和風だしやコンソメスープをかけて、揚げ浸し風にして食べてもおいしいですよ。フライドポテトも素揚げの一種です。家庭で作るときは、火をつける前からジャガイモ(生・冷凍ともに)を投入してゆっくり揚げると、表面はカラッと中はホクッと揚がります。
適した食材
なす、ピーマン、ジャガイモ、根菜など
2.から揚げ
食材に小麦粉や片栗粉など(もしくは両方)を薄くまぶして揚げたもの。ほとんどの場合、食材に下味をつけてから調理します。
無条件に食欲をそそる唐揚げ。魚のミンチや豚の細切れを団子状にしたものを揚げてもおいしいですよ。鶏肉の唐揚げであれば、香味ソースをかけて油淋鶏(ユーリンーチー)にしてもGOOD!
適した食材
鶏肉、ごぼう、タコ、魚など
3.衣揚げ
材料に衣をつけて揚げた料理の総称です。小麦粉を水で溶いた衣を用いる「天ぷら」、小麦粉・溶き卵・パン粉をつける「フライ」、小麦粉・泡立てた卵白などで作った衣を用いる「フリッター」があります。唐揚げとは違い、しっかりと衣をつけるのが特徴です。
ご飯のおかずにぴったりな天ぷらから、おやつにもなるフリッターまで、活躍シーンが幅広いのが特徴。衣に大葉や海苔などの風味が強い食材を合わせて、味を変えてみるのもいいですね。
適した食材
肉、魚、海老、水分の少ない野菜
4.パン粉揚げ
揚げ物の吸油率の違いを知る
揚げ物は大きく4つに分けられます。
- 素揚げ……素材をそのまま揚げる
- 唐揚げ……小麦粉や片栗粉などをつけて揚げる
- 天ぷら……小麦粉と卵を合わせた衣をつけて揚げる
- フライ……パン粉をつけて揚げる
揚げ物の吸油率を下げるコツ
1.表面積を小さくする
単純に、素材の面積が小さいほうが吸う油の量も少なくなります。油吸量を少なくするうえでは、トンカツはひと口大に豚肉を切るよりも、切り身一枚のほうがよいわけです。細かく切った素材をまとめて揚げるかき揚げは、表面積が大きいため、ほかの天ぷらよりも吸油率はぐんと高くなります。じゃがいもの場合、切り方の違いによる吸油率はこんなふうに。
- くし型切り/皮付き4分割……2%
- 拍子木切り/1cm角5cm長さ……4%
- せん切り/5mm角5cm長さ……5%
- 薄切り/1.5mm厚さ……15%
カロリーを計算をすると、100グラムのじゃがいもをくし形切りにして揚げたものは97キロカロリーなのに対し、薄切りのものは210キロカロリーと2倍以上にもなります。薄切りじゃがいも、要はポテトチップス。ほかの切り方と比べると吸油率は雲泥の差。
ポテトチップス好きな方は、この数字を頭の片隅におきつつ、適量をおいしくいただきましょう
2.衣の量は少なく、薄く付ける
小麦粉や片栗粉、パン粉などの粉類は油を吸いやすく、衣を付けた揚げ物は素揚げに比べて吸油率が高くなります。鶏肉を例にしてみましょう。
- 素揚げ……5%
- 唐揚げ(片栗粉)……8%
- 天ぷら(小麦粉・卵)……15%
衣を付ける際はできるだけ粉をはたいて量を少なくしたり、天ぷら衣の量を少なくするとよいでしょう。
3.パン粉は乾燥、細めを選ぶ
同じパン粉でも乾燥、生パン粉では吸油率に違いがあります。乾燥したものよりも生パン粉のほうが油を吸いやすいのです。
吸油率を下げてカロリーを抑えるには、生よりも乾燥パン粉、さらには先に書いたように表面積を小さくするべく、細めのパン粉を選びましょう。
揚げ焼きはヘルシー?
ここまで調べて、ふと疑問が。これまでに何度となく「揚げ焼きは少ない油で調理するのでヘルシー」だということを耳や目にしてきましたが、上記で書いてきた理論だけでいうと、揚げ焼きの吸油率が低いということにはなりません。
実際に、通常の揚げ方と少量の油で揚げるいわゆる「揚げ焼き」の吸油率に大差はありません。油の量が多いと素材をカラッと揚げることができ、揚げ焼きは使う油の量を減らすことができます。それぞれのメリットを考えながら、調理法を選ぶとよいでしょう。
違いを知った上で、賢く食べる
素材の表面積や付ける衣の量によって吸油率が変わることが分かりました。吸油率を下げ、摂取カロリーを低くするという点においては、材料は大きめに切り、何もつけない「素揚げ」がおすすめです。
ひとの体には油分も必要ですので、やみくもに油の摂取を減らす必要はありませんが、ぜひおいしく健康的に揚げ物とのお付き合いを!