中国では、ゆでた餃子をたれにつけて食べるものが水餃子と呼ばれますが、日本ではゆでた餃子を野菜などほかの食材と一緒にスープに入れたものを水餃子と呼ぶことが多いようです。
- 水餃子の歴史
- 中国発祥?世界でみつかる餃子の原型
- 中国の水餃子
- 皮のおいしさが楽しめる水餃子
- 色々な形が楽しめる蒸し餃子
- 進化の可能性を秘めた揚げ餃子
- 水餃子の皮の作り方
- 餃子の皮に塩を入れる理由
- こね水の温度
- 水餃子のレシピ
- 水餃子の栄養量
- やっぱり焼き餃子が不動のナンバーワン!?
水餃子の歴史
中国では漢の時代(紀元前206年~)から中国北部の地域で、小麦粉を水でこねた皮に肉や魚、野菜などを包んだものを、ゆでたり煮たりして食べていたと考えられており、これが水餃子の始まりと考えられています。
また敦煌の遺跡からは、半円形でひだのある、現在の餃子とほとんど同じ形状をした食べ物が、ミイラ化して出土されているそうです。
当時は貴族の食べ物であり、貴族が食べ残した水餃子を使用人たちが焼き直して食べたのが焼き餃子の始まりともいわれています。
中国発祥?世界でみつかる餃子の原型
餃子の起源は中国という説が有名なところですが、実は諸説あって正確性は微妙なところなんですね。
中国では漢の時代(紀元前206年~)
小麦粉を使った皮で調理が行われていたことは事実のようで、中国北部の地域限定で皮に肉や魚、野菜を包み、煮たり茹でたりして食べていたといわれています。
食べ物の痕跡も確認されているので、これは間違いないのではないかと思われますね。その当時は名称こそ「餃子」ではありませんでしたが、これが餃子の始まりだといわれています。
紀元前3000年頃
古代メソポタミア文明の遺跡から小麦粉の皮で具を包んで加熱した餃子のような食べ物が見つかっているなど、餃子のような形で小麦粉の皮を使った料理は世界の各地でも見つかっているんです。
原型がどこからきているのかという事実は実際のところは分かりませんが、効率良く美味しく食べられる物として餃子はとても理にかなった作りだと言えそうです。
中国の明の時代(1368年~)
正式な名称「餃子(ジャオズ)」が誕生し、これが私たちが身近に食べている餃子のもとということになりそうです。
日本に餃子が普及したのは、第二次世界大戦後の1945年以降とされています。
中国の方に渡っていた日本兵が満州で餃子を食べ、その味を懐かしんで日本でも作って食べるようになったのが最初と言われているので、日本が発祥の地ではないことだけはハッキリしましたね。
中国の水餃子
中国では餃子といえば、水餃子が主流です。
中国では「水餃(シュイジャオ)」といい、日本で一般的な水餃子のようにスープに入っているのではなく、ゆでたものをたれや黒酢などにつけて食べます。
水餃子はごはんのおかずではなく、それ自体が主食の位置づけであり、皮は厚めでもちもちとしているのが特徴です。
中国の水餃子は、その中身も種類が豊富で、豚肉に白菜やニラなど日本でも一般的なものから、パクチーやセリ、卵、エビなどの海鮮を入れたものや、地域によっては大根やトマト、ピーマンなどを具として利用することもあるそうですが、ほとんどの場合でにんにくを入れることはありません。
皮のおいしさが楽しめる水餃子
実は餃子の本場といわれる中国の東北地方では焼餃子は人気がなく、水餃子が最もポピュラーな調理方法です。中国では水餃子は麺類であり主食の一つとして食べられています。また、中国のお正月である春節には家族で集まって水餃子を作り、年越しを祝って食べるという縁起の良い食べ物だともされています。日本の年越しそばのような存在ですね。
私は水餃子が餃子の皮のおいしさを一番楽しめる調理方法ではないかと思っています。茹でることで皮の小麦の甘さ、モチモチっとしたコシのある食感、つるっとした喉越しが際立ちます。水餃子を食べると餃子が麺の仲間だということがよく分かると思いますよ。
水餃子は小麦粉を練って皮から作るのが一番なのですが、手間も時間もかかります。何より上手に丸く伸ばすためには高度な技術が必要になってきます。なので自宅で手軽に作る時には水餃子専用の皮を使う事をおすすめします。焼餃子の皮よりも強く作ってあるので煮崩れがしにくくなっています。モチモチ食感を強く出したい時には皮を2枚重ねて包むという方法もあります。
餡の具材は自由ですが中国の水餃子にはニンニクをいれないのが一般的です。ニンニクの風味が欲しい時には、つけダレの方にニンニクを足すのがおすすめです。
水餃子は鍋料理の具材としても活躍してくれます。博多では炊き餃子という餃子が主役の鍋があるほど。鍋料理だと餃子がグツグツと煮込まれ皮が柔らかくなるので、レンコンや鳥軟骨などシャキシャキ、コリコリとした食感のアクセントが出る具材を餡に足すと面白いですよ。
色々な形が楽しめる蒸し餃子
蒸し餃子も餃子の代表的な食べ方の一つで、中国でも人気の食べ方です。特に内陸部や南部の方でよく食べられます。私が中国の蒸し餃子初めて食べた時に驚いたのが、いろいろな包み方で細かな加工がされていることです。
蒸し餃子は型崩れがしないので、金魚の形をしていたり、白菜の形をしていたり、帽子の形をしていたりと、いろいろな形の餃子が楽しめます。
最近流行っているバラ餃子も蒸し餃子にした方がキレイなバラの形を再現できると思います。
蒸し餃子は、油を使わないのでとってもヘルシーな食べ方です。
エビやホタテなどの海鮮類との相性もよいので、餡の具材を工夫して低カロリーの健康志向の餃子も自宅で作ることができると思います。
香港などの飲茶料理で出てくる蝦餃などの餃子では浮き粉で作った澄麺皮が使われることが多いのですが、澄麺皮を作るには専門的な技術が必要なので、焼餃子用の皮を使いましょう。
調理には蒸し器や蒸篭を使って蒸すのがベストではありますが、実はフライパンでもできてしまいます。フライパンに野菜やキノコなどを敷き詰めてその上から餃子を並べます。
少し水を足して蓋をして火にかければ簡易蒸し器のできあがり。水が足りなくなったら注ぎ足しながら10分弱待てばおいしい蒸し餃子ができあがります。
進化の可能性を秘めた揚げ餃子
もう一つ忘れてはならないのが揚げ餃子。中国にも炸餃子と呼ばれる揚げた餃子はあるのですが、焼餃子同様にメジャーな存在ではありません。
日本でもお弁当や給食の脇役のおかずを連想し、ちょっと地味な存在かもしれません。
この揚げ餃子ですが、ちょっと工夫するだけで一気に主役級に進化する可能性を秘めた餃子なのです。
例えば
カリッと油で揚げた揚げ餃子の上から酢豚のように甘酢あんをかけると、風味もよくなりますし皮のカリッとした部分と甘酢あんを吸ってしっとりした部分のコントラストが出てとても面白い食感になります。
また、そのまま餃子を揚げるのではなくコロッケのように卵とパン粉をつけてフライ餃子にしてもおいしく食べられますよ。
包み方も自由なのでお好みの形に包んでください。
ヒダをつけずに二つ折りにするだけでも良いですし、皮を2枚使って円板型にしてもOKです。気をつけなくてはいけないのは、揚げている途中で破裂しないようにしっかりと皮を圧着することだけです。
揚げたての餃子は本当においしいので、一度試すと揚げ餃子のポテンシャルを再確認できると思いますよ。
水餃子の皮の作り方
餃子の皮は手作りできます。いろいろなレシピや作り方がありますが、基本的には小麦粉と水と塩を混ぜてこねれば作ることができます。
焼き餃子か水餃子かで小麦粉の種類を変えることもありますが、特に決まりがあるわけではありません。
小麦粉の種類
小麦粉は、含まれているタンパク質の量によって薄力粉、中力粉、強力粉に分けられます。
小麦粉に含まれるタンパク質はグルテンというタンパク質で、水を加えてこねることで粘りと弾力が生まれます。
薄力粉が最もグルテンの量が少なく、強力粉はグルテンが多く含まれていますが、商品によってもグルテンの含有量は異なることがあります。
餃子の皮を作るときには、作りやすさや味、食感などによって、強力粉と薄力粉を配合して作ることがあります。
・強力粉
硬質小麦から作られます。タンパク質含有量は11.5~13%でグルテンの性質が強く、水を加えてこねると強いコシが出て、もちもちとした食感になります。
水餃子では強力粉を使うことが多いようですが、強力粉だけで作ると生地がかたくなり、作り慣れていない場合は生地が扱いにくいことがあります。
・薄力粉
軟質小麦から作られます。タンパク質含有量は6.5~8.5%と少なく、グルテンの性質も比較的弱いです。
焼き餃子の皮に使うと生地に伸びが出るため具が包みやすく、薄くできるのでパリパリとした焼き目がつきますが、水餃子ではゆでている間に破けてしまう心配があります。
・中力粉
中間質小麦、または軟質小麦から作られます。
「うどん粉」とも呼ばれるように、うどんなどの麺用として栽培された小麦粉で作られることもあります。
タンパク質含有量は8.5~10.5%で、グルテンの性質も薄力粉と強力粉の中間といえるので、薄力粉と強力粉を配合することで代用できます。
餃子の皮に塩を入れる理由
小麦粉に塩を少量加えることで、小麦粉の中のタンパク質の網目構造を強く安定させ、引き締まった生地になってコシが生まれます。
また、生地のべたつきが抑えられてまとめやすくなるので、扱いやすくなり、作業性がよくなります。
こね水の温度
餃子の皮を作るときに加える水分量は小麦粉の50~70%といわれます。
気温や湿度、小麦粉の配合割合などによっても前後するので、こね水は数回に分けて加え、こねながら調整しましょう。
水餃子の皮は40℃くらいのぬるま湯でこねるとグルテンが形成され、生地にコシや伸びが出るので、もちもちとした食感の皮ができます。
焼き餃子の皮の場合は熱湯を入れてこねるとでんぷんが糊化して、焼いたときにパリっとした食感になります。
水餃子のレシピ
【材料】(30個分)
皮
・強力粉 100g
・薄力粉 100g
・ぬるま湯 100g
・塩 ひとつまみ
あん
・豚ひき肉 180g
・キャベツ 100g
・ニラ 50g
・長ねぎ 50g
・生姜チューブ 2㎝くらい
・にんにくチューブ 2㎝くらい
・酒 大さじ1
・オイスターソース 小さじ1
・塩 適量
・こしょう 適量
・ごま油 小さじ1
【作り方】
1.強力粉と薄力粉、塩を合わせてふるい、ボールに入れます。
2.ぬるま湯を数回に分けて加え、その都度よく混ぜます。なめらかになるまでこね、丸めてラップで包んでから、常温で30分~1時間ほど休ませます。
3.キャベツ、ニラ、長ねぎはみじん切りにし、あんの材料を全て混ぜます。全体がなじむようにこね、皮の準備ができるまで冷蔵庫に入れておきます。
4.皮を棒状にのばし、10gずつに切り分けます。
5.めん棒の端を使って直径8㎝くらいの円形にのばします。中心はやや厚め、縁は薄めにのばしましょう。
6.1枚ずつに打ち粉をしながら円形にのばし、乾燥しないようにかたく絞った布巾をかけておきます。
7.6.の皮にあんを包みます。中心に適量のあんをのせ、半分に折ります。中心部分を抑え、両端からひだを寄せて包みます。皮同士を強くつまんで、しっかりと閉じておきましょう。
8,鍋にお湯を沸かして餃子をゆでます。浮き上がってから3~5分ゆで、網ですくってお湯をきり、器に盛ってできあがりです。
※しょう油、ラー油、酢、こしょうなど、お好みのたれで食べましょう。
※別にスープを作って、スープの中に入れて食べてもおいしいです。
水餃子の栄養量
上記の材料で作った場合の、おおよそ1人分の栄養量です。(たれは含みません)
エネルギー:419Kcal
カルシウム:40㎎
ビタミンD:0.2㎍
タンパク質:18.2g
鉄:1.3㎎
ビタミンB1:0.51㎎
脂質:12.8g
亜鉛:2.2㎎
ビタミンB2:0.19㎎
糖質:49.5g
ビタミンC:19㎎
ビタミンB6:0.32㎎
食塩相当量:0.9g
レチノール活性当量:53㎍
ビタミンB12:0.4㎍
やっぱり焼き餃子が不動のナンバーワン!?
最近の餃子は何でもあり?というくらい具材が豊富で飽きません。家庭で作る餃子はもちろんのこと、お店の餃子もメニューの種類が多すぎて悩んでしまいます。
カレー味やクリームソース味など子どもが大好きな味の餃子もたくさんあるので、家族みんなで餃子を食べる楽しみも増しますよね。
チーズ入りやキムチ味などのとろ〜り感やピリ辛の味付けは焼き餃子だからこそのバリエーションだと思います。
ごはんにもビールにも合う「焼き餃子」が日本を代表する餃子といえるかもしれません。