コロッケは、主に茹でたジャガイモを潰したものを主体とし俵型や小判型に丸め、小麦粉、卵、パン粉を衣としてつけ、多量のラードや食用油で揚げたもの。
- フランス料理のクロケットが起源
- クロケットとは
- コロッケとの違い
- じゃがいもの日本上陸
- クリームコロッケとポテトコロッケ
- ポテトコロッケ
- クリームコロッケ
- ライスコロッケ
- コロッケをきれいに揚げるコツ
- フライの吸油量
- 定番おかず「コロッケ」の栄養
フランス料理のクロケットが起源
コロッケとは、各種の材料を、形を整えてフライ衣をつけて揚げた料理ですが、コロッケという名前はフランス語の「クロケット」が変化したものです。
フランス料理のクロケットは、クリームコロッケが基本で、中にベシャメル(ホワイト)ソースが入っているスタイルです。具材としてじゃがいもは入りません。このクロケットが日本にやってきたのは明治時代の中ごろ。当時の迎賓館である「鹿鳴館(ろくめいかん)」の料理として、初めてクリームコロッケが出されたのです。
クロケットとは
クロケットはフランスで誕生したといわれる揚げ物料理のことです。
野菜やお肉、魚といった具材を細かく刻み、ベシャメルソースと混ぜたら円盤状や俵型などに形成し衣を付けて揚げます。
ちなみに、クロケットという名前は、フランス語の「クロケー(croquer)=パリパリと音を立てて噛む」が語源という説が有力といわれているのだとか。
クロケットは世界中に伝わっており、その国ならではの変化を遂げています。
例えば、クロケットの発祥国フランスでは具材に魚を使い、円柱状に作ることが多いのが特徴です。
フランスのお隣スペインでは「クロケータ」と呼び、主に魚介や鶏肉などを使い俵型にして作ります。
ポルトガルではバカリャウという塩漬けのタラの干物を使ったり、イギリスではマッシュポテトを使ったりするクロケットが多いようです。
ちょっと変わったクロケットでは、バングラデシュの唐辛子や揚げた玉ねぎとじゃがいもを使うものや、ドミニカ共和国の青バナナを潰して作るものもあります。
ひとつの料理が国によってさまざまな変化を遂げているなんて、おもしろいですよね。
コロッケとの違い
クロケットは形成したら小麦粉、溶き卵、パン粉を付けて揚げます。中身や衣を見ると、何だかクリームコロッケと似ていますよね。
実は、クロケットはコロッケの元となった料理です。
クロケットが日本に伝わった当時は乳製品を加工する技術がなかったため、代わりにじゃがいもを使ったコロッケが開発されたといわれています。
なお、クロケットはフランスから直接伝わったわけではなく、オランダ経由で伝わったという説があります。
クロケットとコロッケの大きな違いは具材です。
コロッケはゆでたじゃがいもを潰して使うのが定義とされていますが、クロケットの具材はじゃがいもだけではありません。ブラウンソースやじゃがいもを使うものなど多種多様です。
じゃがいもの日本上陸
では、日本で、じゃがいもをコロッケに入れようと考えたのは、いつ、どんなきっかけからだったのでしょうか。
実は、残念ながら、じゃがいもがいつ誰の手によってコロッケに用いられるようになったのかは定かではありません。しかし、じゃがいもの日本での栽培の歴史と西洋料理との出会いを訪ねることで、ある程度の推測ができるようです。
じゃがいもは
江戸時代の初期に、オランダ人によってジャワ島の港ジャガタラ(ジャカルタ)から長崎に伝えられました。「じゃがいも」という名は、「ジャガタラいも」から転じたものです。
長崎に上陸したものの、江戸時代にはあまり栽培が進みませんでした。明治に入り、大きく2つの方向性で日本におけるじゃがいも栽培が進みます。
そこに、じゃがいもコロッケのルーツが隠れているようです。
クリームコロッケとポテトコロッケ
日本でのコロッケのイメージというと、おそらく最初に思いつくのは、じゃがいものコロッケ(肉入り・肉なし含む)。
その次に、カニクリームコロッケが思いつくのではないでしょうか。
今日では、100円ローソンの惣菜コーナーでもじゃがいものコロッケとクリームコロッケがあるくらい、日本の食生活に浸透したコロッケですが、よくよく考えると、じゃがいものコロッケとクリームコロッケは、作り方も性質もかなり違うように感じる人も少なくないでしょう。
クリームコロッケは西洋式のコロッケで、クリームをじゃがいもで代用して作ったのが日本独自のコロッケ、と言われることが多く、そうした記載をしている本やサイトも少なくありません。
例えばフランスでは
じゃがいもを使ったコロッケは、"Croquettes de Pommes de terre"(Pomm de terre=じゃがいも)という古典的な野菜料理です。
1903年にフランスで発刊されたエスコフィエの有名な料理書"Le Guide Culinaire"にも掲載され、主に付け合わせ用です。
作り方は
じゃがいもを茹でて潰したものに、バター・塩コショウ・スパイス・卵を合わせて60gくらいの俵型にまとめ、パン粉をまぶして高温で揚げます。
生クリームを加えることもあり、わかりやすく言えば、マッシュポテトにパン粉をつけて揚げたようなものです。
また、フィッシュ&チップスに代表される、揚げ物料理が盛んなイギリスにも、昔からじゃがいものコロッケがあります。
イギリスで1861年に発行されたイザベラ・ビートンの有名な料理書"The Book of Household Management"には"Croquette"という料理があり、その説明は、
"Ball of fried rice or potatoes"
となっています。
ポテトコロッケ
ゆでてつぶしたじゃがいもをベースに、玉ねぎとひき肉を炒めたものを加えるのが一般的なポテトコロッケですが、ヨーロッパではマッシュポテトに衣をつけて揚げた、じゃがいもだけのコロッケもよく食べられています。
玉ねぎとひき肉の代わりに、コーンや枝豆、ツナやつぶしたゆで卵などを混ぜてもおいしいコロッケができます。
じゃがいもをかぼちゃやさつまいもに置き換えることで、「かぼちゃコロッケ」や「さつまいもコロッケ」になります。
クリームコロッケ
ホワイトソースをベースにいろいろな具材を加え、フライ衣をつけて油で揚げます。
作り方は、ホワイトソースと炒めた具材を混ぜてバッドなどに入れて平らに均し、いったん冷蔵庫で冷やします。このとき空気を抜くようにバットに広げましょう。
冷えるとかたくなってくるので、1個分の大きさになるようにカード(スケッパー)などで切れ目を入れ、冷凍します。
一度冷凍することで扱いやすくなり、手早く衣をつけることができます。
ライスコロッケ
ごはんを丸めてフライ衣をつけて揚げたのがライスコロッケです。
チキンライスで作るレシピが多いようですが、チャーハンやカレーピラフなどでも同じように作ることができます。
ごはんでチーズを包んだだけでも、フライ衣をつけて揚げるとおいしいライスコロッケができます。
コロッケをきれいに揚げるコツ
・たねはよく冷ます
コロッケのたねは、しっかり冷ましてから成型しましょう。空気を抜くように丸め、表面に割れ目ができないようになめらかにしておきましょう。
・バッター液を使う
フライではパン粉の前に小麦粉と卵をまぶしますが、小麦粉と卵を順にまぶす代わりに、小麦粉と卵、牛乳を混ぜたバッター液を使いましょう。
成型したコロッケのたね全体にしっかりとバッター液を絡ませることでパン粉が均一につき、揚げている間に破裂するのを防ぐことができます。
・油の温度
揚げ油の温度は中温(170℃前後)を保つようにしましょう。
低すぎると形が崩れたり、油っぽい仕上がりになることがあります。また高温で揚げると破裂しやすいことがあります。
・揚げ方
コロッケを油に入れたら、しばらくはそのまま静置しましょう。表面がかたまるまでは菜箸などで触ったときに衣が傷つきやすく、破裂の原因となることがあります。
コロッケのたねはあらかじめ加熱されているので、衣がおいしそうなキツネ色になったら揚げあがりです。揚げすぎも破裂の要因のひとつとなります。
フライの吸油量
揚げ物は、衣によって吸収する油の量が異なります。フライでは、乾燥パン粉よりも生パン粉の方が吸油率は高くなります。
乾燥パン粉では、粗いパン粉よりも細かいパン粉の方が吸油量は少ないので、パン粉をフードカッターで細かくすると吸油率を下げることができます。
定番おかず「コロッケ」の栄養
じゃがいも
じゃがいもには非常に多くのビタミンCが含まれています。じゃがいものビタミンCはでんぷんに包まれているため、加熱によって壊れにくいといわれています。
ひき肉
コロッケに使うひき肉は、牛肉、豚肉、鶏肉、どのひき肉を使っても同じように作ることができるので、お好みのひき肉を使いましょう。
それぞれのひき肉に含まれるタンパク質の量は、それほど大きな差はありませんが、脂質量は牛ひき肉と鶏ひき肉を比較すると、鶏ひき肉は牛ひき肉の60%と少なく、カロリーも鶏ひき肉と牛ひき肉を比較すると約80Kcalの差があります。
豚ひき肉は脂質量、カロリーともに牛ひき肉と鶏ひき肉のほぼ中間です。
玉ねぎ
玉ねぎ特有のにおいと辛みは硫化アリルという成分です。硫化アリルには抗血栓作用や体温を上昇させる効果があるといわれています。
またビタミンB1の吸収を促進する作用があります。さらに玉ねぎはケルセチンというポリフェノールを含んでおり、抗酸化作用による生活習慣病の予防やアンチエイジングの効果も期待できます。