オクラの特徴であるネバネバのもとは、ムチンとペクチンです。ムチンは、複合たんぱく質で胃粘膜の保護やたんぱく質の消化促進、整腸の働きがあります。ペクチンには、血中のコレステロールを減らし、血圧を下げる効果があります。
下ごしらえとして、オクラのうぶ毛は、塩をまぶしてこすり取りましょう。ガクの黒い部分は、面取りするようにむくと仕上がりがきれいで、口当たりも良くなります。その後、沸騰したお湯に入れて硬めに茹でます。茹でたものを細かく刻むと、ねばりが出てきます。
オクラの原産
ナイル川流域からエチオピアにかけての東北アフリカといわれ、高さは1~2メートルにもなり、若い莢を食べます。
日本で一般的に食べられるようになったのは昭和30年代からで、β-カロテンやビタミンB群が豊富です。粘り成分には、胃腸の調子をととのえる働きがあるといわれています。
夏バテ予防に
夏バテ予防に役立つビタミンB群・C、免疫力アップの効果が期待できるβ-カロテン、骨を丈夫にするカルシウム、葉酸なども豊富に含まれています。
形状で種類をわける
オクラの種類は形状によって区別され「五角種」「丸さや種」「多角種」などがあります。一般に多く出回っているのは五角種。また、表面の色が紫色のものや、全長3cmほどのミニオクラなどもあります。冬から春に出回るものは輸入品が多いようです。
オクラ五角種
下に向かってやや細くなっている。一般的に市販されているオクラはこの品種が主流。
赤オクラ
加熱すると緑色に変化してしまう。
丸オクラ
白オクラ
ミニオクラ
ゆでるなら、時間はどれぐらい?
「粘度」と「固さ(歯ごたえ)」を調べると、2分ゆでたものがネバネバが多く、固さもしっかりあり、バランスがよいことがわかったそうです。
ゆで時間によるビタミンCの損失もほとんど減っていなかったということです。
オクラは!
日本へは江戸時代末期に一度伝わりましたが、その時は全然普及しませんでした。
明治時代初期にオクラが再度アメリカから日本に伝わり、そこから日本でオクラを本格的に栽培し始めたそうです。
日本で一般にオクラを食べ始めたのが、1970年代に入ってからで、それまでは、観賞用として扱われていたようです。
オクラに含まれる主な栄養素とその働き
β-カロテン
β-カロテンは、体内でビタミンAに変わります。
免疫力や視力の維持、粘膜(鼻やのどなど)の健康維持、皮膚や髪の健康維持、アンチエイジングなどに効果的な栄養素です。
脂溶性ビタミンのβ-カロテンには、油に溶けやすい性質があります。
油を使って炒めたり、油を含むドレッシングをかけたりすると、効率よく体内に吸収できます。
葉酸
ビタミンB群のひとつである葉酸は、赤血球をはじめとする細胞の産生を助ける働きがあります。
不足すると悪性の貧血を起こしたり、精神状態が不安定になりやすくなったりします。
近年では、妊活・妊娠中の女性にとって重要な栄養素としても知られるようになりました。
妊娠初期は、脳や脊髄などの神経系が形成される大事な時期ですが、葉酸が不足すると神経管の先天異常が起こりやすいためです。
妊活・妊娠中の女性ではなくとも、体に必要な栄養素なのできちんと摂取しましょう。
ミネラル類
オクラには、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルが豊富です。
ミネラルはヒトの臓器や組織をスムーズに動かすために欠かせません。
カリウム
カリウムは余分なナトリウム(塩分)を体外に排出する役割があり、体内の水分濃度を調整しています。
不足すると体がむくみやすくなったり、筋肉痛や手足のだるさなどを感じたりします。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を形作る主な材料となる成分です。
骨を丈夫にするために欠かせない栄養素で、不足すると骨粗しょう症の原因にもなります。
ほかに、筋肉の収縮や血液凝固作用などにも関係しています。
マグネシウム
マグネシウムは、体内のさまざまな酵素の活性を担うミネラルであり、筋肉の収縮や精神の安定などにも関わっています。
カルシウムとともに骨の材料にもなるため、カルシウムとバランスよく摂りたい栄養素です。
食物繊維
オクラは食物繊維が豊富な野菜です。
食物繊維は、水溶性と不溶性の2つに大別されますが、オクラは両方をバランスよく含んでいます。
オクラの特徴的なネバネバには、水溶性食物繊維の「ペクチン」が含まれ、善玉菌のエサとなって腸内環境を整えてくれます。便秘や下痢などの予防にも効果的です。
また、糖質の吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を抑えたり、血清コレステロール値を低下させたりもしてくれます。
不溶性の食物繊維も腸内環境を整えるのに効果的です。腸内で便のかさを増し、腸の動きを促してお通じをよくしてくれます。
栄養たっぷりの新鮮なオクラの見分け方
新鮮なオクラを選ぶには「色・産毛・大きさ」の3点に着目しましょう。
色
色は鮮やかでツヤのある緑色のものを選びましょう。
とくにヘタの周りをよく見てください。古いオクラはヘタや切り口が茶色く変色します。
産毛
産毛で表面がびっしりと覆われているオクラは新鮮です。
逆に、産毛が目立たないものは収穫してから時間が経過しています。
大きさ
小さめのものが、やわらかくおいしいオクラです。
大きく成長してしまうと皮が固くなり苦みが出てくるため、食味が落ちます。
また、オクラの旬は夏(6~9月)です。
旬の野菜はお財布にやさしいだけでなく、その季節に不足しがちな栄養が摂りやすく、旬でない時期より栄養価も高い傾向にあります。
旬の野菜は、一年のなかで最も生育に適した時期に栽培・収穫されるためです。
夏はぜひ、オクラを積極的に食べてみましょう。
オクラの栄養を損なわない調理・保存方法
冷蔵保存の方法
オクラの冷蔵での保存期間の目安は4~5日です。
それ以上長持ちさせたい場合は、次に述べる冷凍保存にしましょう。
オクラは湿気にも弱いため、冷蔵保存では水気をしっかりとふき取ってください。ぬれたところから黒ずみ、早く傷む原因になります。
キッチンペーパーでオクラを包み、それをポリ袋に入れて軽く口を閉じたら、冷蔵庫の野菜室に入れて保存します。
冷凍保存の方法
冷凍保存したオクラの保存期間は約1か月です。
オクラの冷凍保存では、産毛を取り除いたりする下処理をした後、カットせずに丸ごとか、使いやすくカットしてから冷凍します。
下処理の方法、カットなしの冷凍方法、カットしての冷凍方法を順に紹介します。
冷凍前の下処理の手順
オクラの基本的な下処理方法は以下の3ステップです。
1、オクラを板ずり(まな板の上にのせ、塩をかけて手のひらで転がす)します。
2、流水で洗うか、ゆでて産毛を取り除きます(オクラは生でも、ゆでてからでも冷凍可能)。
3、キッチンペーパーで水気を取ったら、最後にヘタとガクを切り落とします。
また、板ずりをせずに産毛を取り除く簡単な方法もあります。
オクラを購入したときのネットに入れたまま(紙の部分は取り除く)、両手でネットをはさみ、水道水を流しながらオクラ同士をこすり合わせる方法です。
興味がある方は一度試してみてください。
丸ごと冷凍保存する手順
カットせずに冷凍保存する場合は、下処理をしてから水気をしっかり取り、3~4本ずつラップに包んで密封袋に入れて冷凍します。
調理するときは、凍ったままカットや加熱調理が可能です。
カットして冷凍保存する手順
加熱後に使いやすい形にカットして冷凍すると、調理時の手間が省けて便利です。
以下の手順で保存しましょう。
1、板ずりなどで産毛を取り、ゆでるか電子レンジで火を通してから、ザルの上で冷まします。
2、水気をしっかり取ったあと、使いやすい形にカットして、密封袋に入れて冷凍します。