ガストロノミーとは、料理やワインなどの食事全般を、文化や芸術のレベルで考えることです。もともとは、食事に関する論理展開とされてきましたが、食事を追求することで環境や医療などの社会的な場面にも発展するとも考えられます。そのため、ガストロノミーのの定義は人によって違うといえるでしょう。
ガストロノミーとは
「食事と文化の関係を考察すること」をさす言葉です。
また、ガストロノミーレストランとは、上質な素材やテクニックが求められ、高いクオリティーの料理を提供するレストランのことです。
一般的には、記念日などの大切な日や旅行先での食と旅の思い出として、事前に予約が必要なお店がガストロノミーレストランと呼ばれます。
お店によっては、ドレスコードが必要なケースもある、格式高いレストランをさす言葉です。贅沢な空間と、美しいお皿や料理、ソムリエなどのプロによる、特別で優雅なサービスを楽しめるのが、ガストロノミーレストランの醍醐味といえるでしょう。
ガストロノミーは、フランスが発祥の言葉といわれています。しかし、フランスと日本とではそれぞれの意味に違いがあります。
ガストロノミー=美味学?
ブリヤ=サヴァランの名前が伝わり、その作品が読み継がれている理由のひとつとしてガストロノミーという言葉を定着させたことが考えられますが、ここで『味覚の生理学』の中心テーマの、ガストロノミーとグルマンディーズ、それとの関連でガストロノームとグルマン、それからグールメについてお話ししておきたいと思います。
ガストロノミーというのはジョゼフ・ベルシュー(一七六〇─一八三九)の詩の題名で、ギリシャ語から借用したものです。
ガストロは「腹、胃袋」をさすガステールとかガストロスといった言葉と同じ根っこを持っていまして、医学用語などの方面ではどうか知りませんが、いちばん最初にこの言葉を使って遊んだ人はラブレーだったようです。
ベルシューの『ガストロノミー』から二五年たって、ブリヤ=サヴァランが『味覚の生理学』を出したわけで、「対話」のところで「主題は当世流行の問題」といってますから、この間、言葉が一人歩きしていたと考えていいのではないかと思います。
日本の「美食」との違い
ガストロノミーは、日本語で「美食学」と呼ばれることが一般的です。
フランスにおけるガストロノミーは、格が高いフランス料理のレストランや高級食材店である証明として用いられます。
こうした傾向は、イタリアをはじめとするヨーロッパの幅広い地域の料理を扱うレストランにも共通しています。
一方で、日本における「美食」の概念は、美味しい料理やお酒と共に、味わいを表現する姿勢であることが一般的です。食事だけを楽しむ空間や、お酒だけをメインで味わうようなお店は該当しません。
また、昨今の日本では、ガストロノミーが食料の生産部分に対しても用いられるようになっています。オーガニックなどの人気により、日本の農業は大きな注目を集めています。
ガストロノミーの歴史
フランス語の「ガストロノミー(gastronomie)は、ギリシャ語の「ガストロニミア(gastronomia)」が語源です。
17世紀前半から使用され始めた言葉とされており、ガストロノミーは元々「胃袋(gastro)」と「規範(nomie)」から作られた言葉です。「胃袋を支配する」ことを意味し「フランスの食文化」として根付いている言葉といえるでしょう。
レストランの発展との関係
19世紀は、フランスでレストランの人気が高まった時期です。それまでは、一部の人にしか行き渡ることがなかった「美食」が、お金を払うことで幅広い層に楽しんでもらえるようになりました。
19世紀から20世紀は、ガストロノミーの本が盛んに出版され、身分や職業に関わらず、それぞれの視点から、フランス料理の食文化について書き著されました。
こうしたフランスでのレストラン人気を背景に、ガストロノミーへの考察の対象が広がったといえるでしょう。
ローカルガストロノミーとは
日本でも、「ローカルガストロノミー」という新たな言葉も生まれている。「ローカルガストロノミー」という言葉はライフスタイル提案誌『自遊人』編集長・岩佐十良氏が生み出した言葉であり、『自遊人』2017.11月号でローカル・ガストロノミー宣言がされた。
この言葉の意味には“自分の住む地域の文化や歴史、自然環境を料理に表現していこう”という意味合いが込められている。