牛乳瓶、ビール瓶、一升瓶など、日本では昔から、瓶や容器を何度もくり返し使うというシステムがきちんと根づいていました。
しかし、1995年にできた容器包装リサイクル法により、リサイクルに必要な費用の8割(回収・分別・保管にかかる費用)を自治体が負担することに。
その結果、メーカーは手間とお金のかかるリユースをしたがらなくなってしまったのです。
使い捨て瓶を資源ごみに出し、溶かしてもう一度新しいびんを作ることと、洗浄してリユースすること。
荷を考えたとき、リユースのほうがずっと簡単でムダのないシステムだと思いませんか?
- リターナブルびんの歴史
- 瓶のままで再使用が環境にいちばん
- 海外リターナブルびん事情
- 引取が出来る空き瓶(一般)
- 引取の出来ない空き瓶(一般)
- リターナブルボトルとワンウェイボトルの違い
- リターナブルボトルを利用するメリット
- リターナブルボトルを利用するデメリット
リターナブルびんの歴史
日本では、ガラスびんが普及しはじめた明治時代にはすでに、びんを回収・洗浄・再使用するという文化が生まれていました。こうしたリターナブルびんの循環システムを支えているのが、空びんを回収し洗浄して再販する“びん商”の存在です。
瓶のままで再使用が環境にいちばん
1.リターナブル瓶とは?
身のまわりには、宅配や学校給食で人気の牛乳瓶や、家庭の食卓や飲食店でおなじみのビール瓶など、たくさんのリターナブル瓶があります。リターナブル瓶とは、あき瓶を回収後、きれいに洗浄され、再び中身を詰めて商品化される瓶のことです。ガラス瓶のまま再使用(リユース)されるのでゴミにならず、原料や製造エネルギーの節約にもなるので、環境にもっとも優しい容器として注目されています。
日本には100年以上も昔から、一升瓶やビール瓶、牛乳瓶に代表されるリターナブル瓶の歴史があります。「ものを大切にし、資源を有効に利用する」という精神のもとに、瓶の循環システムが守られているのです。
2018年7月、60社 156種の瓶が容器包装リサイクル法によりリターナブル瓶の認定を受けています。
2.リターナブル瓶
例えばビール瓶の一生は約8年間。
20回以上も使われたあと、細かく砕かれてカレットとなり、新しい瓶に生まれ変わります。
リターナブル瓶は一体、どのような旅を続けているのか?
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飲み終えたリターナブル瓶は、販売店に返されたり、各自治体の分別回収に出されます。
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回収されたキズなどのない良いあき瓶は中身のメーカーに返され、さまざまな手法により、洗浄されてから中身が詰められ、商品として再び販売されます。
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リターナブル瓶は、再び使われてあきびんとなり、何度も何度も旅を繰り返すのです。
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また、古くなるなどしてキズのついたあき瓶は、細かく砕かれカレットという瓶の原料となり、ガラス瓶工場で新しい瓶としてよみがえります。
海外リターナブルびん事情
ドイツ ~リユース先進国~
ビール、清涼飲料水、果汁、ワインでは、72%以上のリユース容器を使うことが、法律で定められています。
もし、この数字を下回った場合、デポジット(容器預かり金制度)が強制され、実質的にワンウェイ容器を使うことができなくなります。
デンマーク ~驚異的なリユース国家~
果汁飲料のみワンウェイ瓶が許されていますが、基本的にはリターナブル瓶の使用が法律で義務づけられています。国内の飲料容器のなんと97%がリユース容器です。
アメリカ ~意外な一面~
州ごとに異なる特色を持つアメリカですが、オレゴン州では、飲料容器に関する強制デポジット(容器預かり金制度)を取り入れています。
その結果、70年代前半には36%だったリユース容器が、現在では98%を占めるまでになっています。
引取が出来る空き瓶(一般)
・ビール瓶(大瓶・中瓶・小瓶・スタイニー瓶)
・清酒、焼酎の1升瓶(茶瓶・緑瓶)
・清酒300mlのリターナブル瓶
・ミツカンのお酢、宝本みりんの1升瓶
・ホッピーのリターナブル瓶
・ウィルキンソンのリターナブル瓶
引取の出来ない空き瓶(一般)
・清酒のすりガラス瓶
・油、醤油の瓶
・ワンウェイ瓶全て
リターナブルボトルとワンウェイボトルの違い
ウォーターサーバーを利用すると届く水の入ったウォーターボトルには、一般的に「リターナブルボトル」と「ワンウェイボトル」があります。
リターナブルボトルは返却して洗浄して再度使用するため、頑丈なボトルです。一方で、ワンウェイボトルは一回きりの使い切りになっており、毎回新品のボトルに入って届きます。ボトルはリターナブルボトルとは異なり、柔らかい素材でできているのが特徴です。
ワンウェイボトルは毎回新品のため、リターナブルボトルよりも価格が高くなる傾向にあります。また、各家庭で廃棄する必要があるため、通常よりもゴミ量が多くなります。ただし、リターナブルボトルのように使用済みのボトルを自宅に保管する必要のないところがメリットです。
リターナブルボトルを利用するメリット
ウォーターサーバーのウォーターボトルにはいくつか種類があり、それぞれ特徴が異なるため自分の目的に合ったボトルを選ぶのがおすすめです。一般的にウォーターサーバーのメーカーで多く採用されているのは、ペットボトルタイプのワンウェイボトルとプラスチックボトルのリターナブルボトルの2種類です。ウォーターボトルには他の種類もあります。
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ビニールパックはワンウェイボトルのウォーターサーバーで使用されます。スーパーのビニール袋と同じポリエチレンでできており、ゴミと一緒に処分できるのがメリットです。水道直結型は水道水をウォーターサーバーに搭載した濾過フィルターで浄化します。ウォーターボトルを購入する必要がないものの、ウォーターサーバー本体のレンタル代はかかります。
以下では、さまざまなウォーターボトルの中でもリターナブルボトルを利用するメリットについて解説します。
ゴミが出ず環境に優しい
リターナブルボトルは返却して洗浄するため、ゴミが出ず地球環境にやさしいというのが大きなメリットです。
オフィスでウォーターサーバーを利用すると、毎日いくつものウォーターボトルの空きが出ます。ワンウェイボトルであれば飲み切ったウォーターボトルのペットボトルやビニールパックを各家庭で捨てる必要があるため、使用済みのボトルを捨てるための袋が多く必要となるでしょう。リターナブルボトルを使用すれば、捨てるのに必要なゴミ袋も追加で購入する必要がありません。
比較的に価格が安い
リターナブルボトルは一般的に、ワンウェイボトルよりも価格が安くなる傾向にあります。ボトルを回収して再度使用するため、新たな容器代が必要のない分、価格が安くなるという仕組みです。ただし、メーカーによってはリターナブルボトルよりワンウェイボトルのほうが安い場合もあり、一概にリターナブルボトルのほうが絶対に安いとは言えません。
ボトルを捨てるための袋代やウォーターサーバーのメンテナンス代といったウォーターサーバーを使用するときにかかる費用全体で、お得なほうを選ぶのがよいでしょう。
水漏れの心配がない
ワンウェイボトルは水を飲み切った後は各家庭でボトルを廃棄するため、潰しやすいように柔らかいペットボトルやビニール素材でできています。一方で、リターナブルボトルはプラスチック製でかなり硬いです。ウォーターボトルの上に何かが落ちたり、ウォーターボトル自体を落としたりしたときに、ボトルが壊れないのがリターナブルボトルのメリットの1つです。
ウォーターサーバーを利用される方の中には、予備のウォーターボトルを災害時の非常用の水としても置いている方がいます。柔らかい素材のウォーターボトルでは実際の災害時にウォーターボトル自体が破損してしまい、水漏れする場合もあるでしょう。リターナブルボトルでは、そういった破損の心配がありません。
頑丈で縦積みしやすい
リターナブルボトルは頑丈な素材でできているため、縦積みできるのもメリットです。4つくらいは縦積みできるため、部屋のスペースをとりません。
一方で、ワンウェイボトルは柔らかい素材のため、何個も積むとボトルが変形する恐れがあります。ワンウェイボトルのウォーターサーバーをオフィスで利用すると大量にウォーターボトルのストックが必要になるため、ボトルの保管に大きな場所をとることになるでしょう。ただし、一人暮らしであればそれほど水のストックは必要ないため、使用後すぐ廃棄できるワンウェイボトルのほうが場所をとらず部屋を広く使えます。
リターナブルボトルを利用するデメリット
リターナブルボトルは一度回収して洗浄する流れはどのウォーターサーバーの業者も同じであるものの、再利用や洗浄のシステムは異なります。リターナブルボトルのウォーターサーバーの利用を検討する場合は、必ず回収されたボトルが再度利用されるまでの流れを確認しましょう。確認した上で、安心して利用できるウォーターサーバーを利用するのがおすすめです。
リターナブルボトルにはゴミが出ず地球環境にやさしいといったメリットがある反面、デメリットもいくつか存在します。以下では、リターナブルボトルを利用するデメリットを解説します。
衛生面が気になる
リターナブルボトルは回収して再度利用するボトルのため、きれいに洗浄しているとは言っても、誰が使用したか分からないボトルを使用したくないという方には向きません。潔癖症の方や「ボトルを使い回している」と、精神的に抵抗感が大きい場合は、使い切りのワンウェイボトルがよいでしょう。
またリターナブルボトルはワンウェイボトルと異なり、硬い素材でできているため水の使用に応じてボトルを圧縮できません。水の圧縮ができないため水の使用に応じてボトルに空気が入り込み、水が空気に触れることで水の劣化はワンウェイボトルよりも早くなる恐れがあります。
空のボトルが幅をとる
回収が必要となるリターナブルボトルは、ウォーターサーバーの業者がボトルを回収しにくるまで家に置いておく必要があります。リターナブルボトルは縦積みできるとは言っても、空のボトルがかさばって場所をとることになるでしょう。
オフィスやスペースに余裕のある家であれば問題ないものの、一人暮らしの家であればボトルが邪魔になったり圧迫感を覚えたりする可能性があります。
デザインのよいサーバーが少ない
ウォーターサーバーを利用する際に、ウォーターサーバー自体のデザイン性を気にする方もいるでしょう。近年ではおしゃれなデザインのウォーターサーバーが多く出ていますが、おしゃれなデザインのウォーターサーバーの多くはワンウェイボトル式です。
リターナブルボトルのウォーターサーバーは、頑丈なウォーターボトルを剥き出しで設置します。また、ボトル内部に入る空気を浄化するための、空気清浄システムをウォーターサーバー内部に取り入れる必要があります。そのため、リターナブルボトルでは、デザイン性に優れたウォーターサーバーがあまりありません。部屋のインテリアの一部としてウォーターサーバーを取り入れたい方には、デメリットと言えるでしょう。