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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

食の安全性とは

食の安全を守るうえで最も大事なことは、微生物をコントロールすることです。
微生物はどこにでもいて、熱に強いものや低温でも増えるものなど多種多様です。
そのため、微生物コントロールにはさまざまな手段の組み合わせが必要です。

 

 

食の安全を守るために

食中毒原因の7割超が細菌やウイルスといった微生物によるものです。微生物には食品を腐らせて食べられなくするものもいます。このことが食品廃棄の大きな原因となっており、もったいない状況です。
そのために食品工場ではどんな対策をしている?
微生物コントロールの原則
 微生物をつけない
 増やさない
 やっつける
食品工場では微生物をつけないために細心の注意を払っていますが、それでもゼロにするのは容易ではありません。
工場を出てから、皆さんの食卓に上がるまで、微生物を増やさない対策も必要です。
これを実現するために、食品工場では製造環境、食品の中、食品の外(包装の中)とあらゆるところで対策をしています。
 

衛生的な製造環境をつくる

微生物はあらゆるところに
微生物は土壌中、空気中、調理台の上、エアコン、人の手指など至るところに存在しており、そこから食べ物に付着します。また、野菜や卵など加工される前の食材にも、微生物は付着しています。
どうやって、衛生的な製造環境を実現しているの?
食品に微生物を「つけない」ために、食品工場ではこのような工程で製造環境を洗浄、除菌しています。
洗浄剤
油脂やデンプン、たん白質などの汚れを落とします。界面活性剤やアルカリ剤などがあります。界面活性剤は一般で市販されている洗剤にも含まれています。除菌機能はありません。
除菌剤
製造環境から微生物(菌)を除去します。一般的には塩素系漂白剤としておなじみの次亜塩素酸ナトリウムが知られていますが、他にも加熱に強い菌に効果のあるタイプなど用途や原因に合わせていろいろな種類があります。汚れを洗い落していないと、汚れの中の菌を除菌することができません。
洗浄除菌剤
洗浄と除菌の機能を兼ね備えたもの。洗浄工程と除菌工程の間の水洗が不要です。除菌剤と同様に加熱に強い菌に対応したタイプもあります。
エタノール製剤(アルコール製剤)
エタノール(アルコール)に除菌力のあることは広く知られています。通常の消毒用エタノールは70%程度の濃度になっています。これが最も除菌力を発揮する濃度だからです。一方で、食品工場では、エタノールを主剤として、有機酸やグリセリン脂肪酸エステルなどエタノールの除菌力を助ける副剤を配合した、「エタノール製剤」が使われています。副剤の配合により、水で希釈されても除菌力が維持されるようになり、エタノールが蒸発しても残った成分が除菌力を発揮します。
 

食品を内から守る

おいしさを保ちつつ、食品中で微生物を増やさない工夫
微生物はあらゆるところに存在するので、どんなに食品に微生物をつけないようにがんばっても、完全に除菌することは難しいのが実情です。
そこで、微生物を「やっつける」「増やさない」対策が必要となります。
「やっつける」には、加熱調理が主な手段となります。しかし、通常の加熱調理では死滅しない耐熱性菌がいますし、やっつけることを主目的として加熱しすぎるとおいしさを損なってしまいます。

「増やさない」対策としては、水分を減らす、お酢などの酸を使う(微生物は酸性を嫌います)、保存料などの食品添加物を使う、脱酸素剤を使うなどの手段があります。
これらのうちどれか一つの手段に頼ろうとすると、味・食感などに悪影響を及ぼして、やはりおいしくなくなってしまいます。例えば、水分を減らしてパサパサしてしまったり、酸味が合わない食品だってあります。
 

HACCP義務化は何をすればいいのか

2021年6月1日をもって、HACCP義務化が完全施行となりました。導入できていない事業者は、早急に対応が必要です。そこで、HACCP導入の際にやるべき4つのことをご紹介します。

 

  1. 「一般的な衛生管理」及び「HACCPによる衛生管理」に関する基準に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る

  2. 必要に応じて洗浄・清掃・消毒や食品の取扱い等について具体的な方法を定めた手順書を作成する

  3. 衛生管理の実施状況を記録し、保存する

  4. 衛生管理計画及び手順書の効果を定期的に(及び工程に変更が生じた際等)に検証し(振り返り)、必要に応じて内容を見直す

 

 HACCP導入にあたり、認証を取得する必要はない

 

HACCP導入にあたり、認証を取得する必要はありません。
HACCPシステムに則って、自社の現場にあわせた衛生管理を行えば、HACCPを導入していることになります。

ただ、認証を取得する必要はありませんが、ひとつの指針として認証取得を目指すことは、HACCPをしっかり運用していると第三者に認められることですので、非常に有用です。
飲食店向けのHACCP認証には、日本食品衛生協会が実施している「食の安心・安全・五つ星事業」という取り組みがあります。
 

HACCPを導入しなかった場合の罰則

食品衛生法において、HACCPを導入しなかった際の罰則は定められていません。

ただし、食品衛生法には「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。」と記載があります。

つまり、都道府県が定める条例によっては、HACCP義務化に対応しなかった場合に罰則がある可能性があります。HACCP義務化の罰則に関しては、事業所のある都道府県の動向をチェックする必要があります。

また、HACCP義務化非対応の場合は保健所からの指導が入る可能性が高いので、指導された場合は迅速に見直し対応しましょう。

 

HACCP義務化で飲食店がやるべき3つのポイント

上記で述べたように、HACCP義務化において飲食店がやるべきポイントは3つあります。

 
  1. 衛生管理計画の策定
  2. 計画に基づく実施
  3. 確認・記録

 

衛生管理計画の策定

飲食店における衛生管理計画は、「一般衛生管理のポイント(どの食品についても行うべき共通事項)」と「重要管理のポイント(食品の調理方法に合わせて行うべき事項)」の2つで構成されています。
それぞれのポイントを踏まえて計画書を作ります。

 

一般衛生管理のポイントを確認

一般衛生管理のポイントは、次の項目を中心に管理しましょう。

 

  1. 原材料の受け入れ
  2. 冷蔵・冷凍庫の温度の確認
  3. 交差汚染・二次汚染の防止(器具の洗浄・消毒・殺菌、トイレの洗浄・消毒)
  4. 従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など(手洗いを含む)

項目ごとに、「いつ」「どのように」「問題があったときはどうするか」の対応を考えます。

 

原材料の受け入れ

安全な料理の提供には、安全な原材料を使う事が欠かせません。
腐敗していないか、包装は破れていないか、消費期限は過ぎていないか、保存方法・輸送方法は適切かなどを確認します。
また、冷蔵・冷凍保存が必要な原材料は、状態の確認後すみやかに冷蔵庫、冷蔵庫に入れましょう。
輸送時の温度管理がなされていたかを確認するため、原材料の入荷時に表面温度を計測することをおすすめします。放射温度計を用いると瞬時に温度が計測でき、便利です。

 

冷蔵・冷凍庫の温度の確認

温度管理をおろそかにすると、有害な微生物の繁殖や、食品の品質低下につながるおそれがあります。
定期的に庫内温度をチェックし、温度管理ができているか確認しましょう。
一定間隔で温度を自動で記録、保存してくれる「温度ロガー」を使用すると、管理が楽になります。

 

交差汚染・二次汚染の防止

生肉や生魚には有害な微生物が潜んでおり、それらが他の食品に触れると汚染が広がってしまいます。
生肉や生魚を保管するときは、ドリップ(肉や魚から出る液体)による汚染を防ぐため、フタつきの容器に入れ、冷蔵庫の一番下で保管しましょう。
また、調理器具は、肉や魚、野菜、加熱済み食品などの用途別に使い分け、汚染を広げないようにしましょう。
用途ごとに色分け管理をすると使い分けしやすいです。

 

器具の洗浄・消毒・殺菌

洗浄不足の器具を使用すると、食材に汚染が広がる恐れがあるので、器具の使用後は都度洗浄、消毒を行いましょう。
洗浄・消毒に使う薬剤は、誤使用を防ぐために、必ず内容物がわかるように表記をし、定位置管理を行いましょう。
専用の小分けボトルを使用すれば管理がしやすくなります(各メーカーは自社の専用ボトルを製造していることが多いです)。

 

トイレの洗浄・消毒

トイレは有害な微生物に汚染される危険性が最も高い場所です。特にノロウイルスによる食中毒事故は、トイレ内で手が汚染されて、その手を介して食品に付着して起こる事例が非常に多いです。
トイレの洗浄・消毒はかかさず実施し、人が触れる場所(便座、水洗レバー、手すり、ドアノブなど)は入念に消毒しましょう。
また、作業着を介して食品に汚染が広がらないように、清掃専用の作業着に着替えるなど、調理する服装そのままで清掃作業を行わないようにしましょう。
トイレ清掃専用のウェットティッシュなど、時短ツールも多く販売されています。

 

従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など

従業員由来の有害微生物によって食中毒事故が発生するケースが多くあります。
従業員が出社した際に、下痢、発熱、嘔吐はないか、調理従事者は手に傷がないか、指輪などの装飾品を付けていないか、また清潔な作業着を身に着けているかなどを確認しましょう。
健康管理チェックリストを作成すると、分かりやすく確実に健康管理が実施できます。

 

衛生的な手洗いの実施

目に見える汚れはもちろん、目に見えない菌やウイルスを落とすために手洗いはしっかりと行いましょう。
手洗いのタイミングとしては、調理場に入る前、作業内容の変更時、盛り付けの前、生肉や生魚に触った後、トイレの後、金銭を触った後、清掃作業の後などがあります。

現場によっては、施設・設備の衛生管理やそ族・昆虫対策、廃棄物の取り扱いなどを計画に組みこむ場合があります。
また、水道水以外の水を使用する場合は、年1回以上水質検査を行い、成績書を保存しておきましょう(1年以上)。殺菌装置や浄水装置が正常に動いているか定期的な確認と記録も必要です。

 

重要管理のポイントを確認

飲食店における重要管理のポイントは、温度管理です。
食中毒菌は、危険温度帯(10℃~60℃の温度帯)で増殖していくので、食品を危険温度帯からいかに外すかが重要となります。
また、ほとんどの食中毒菌は75℃1分加熱で死滅するため、加熱処理では温度と時間を意識しましょう。

重要管理のポイントは、食品の調理方法によって異なるので、まずはメニューを3つのグループに分類してください。

 
  • 第1グループ:非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)
  • 第2グループ:加熱するもの(冷蔵品を加熱して熱いまま提供)
  • 第3グループ:加熱後冷却し再加熱するもの、または、加熱後冷却するもの

グループの特徴を加味しながら、それぞれのメニューの管理方法を考えます。

 

グループ:非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)

(メニュー例)サラダ、冷奴、刺身など

第1グループは加熱工程がないので、食材についている有害な微生物を殺菌することができません。
そのため、汚染されていない食材を使用すること、有害な微生物が増殖しないように低温で保管することが重要です。
チェック方法としては、冷蔵庫の温度管理と、冷蔵庫から取り出してすぐに提供したか、などがあります。
一定間隔で温度を自動で記録、保存してくれる「温度ロガー」を使用すると、冷蔵庫の温度管理が楽になります。

 

第2グループ:加熱するもの(冷蔵品を加熱して熱いまま提供)

(メニュー例)ハンバーグ、焼き鳥、焼き魚、てんぷら、など

加熱工程では、食品の中心部が75℃で1分間加熱することが重要です。
ただし、毎回中心温度を計測するのが難しければ火の強さや時間、見た目、肉汁の色、焼き上がりの触感などを確認すると良いです。
調理の都度記録する必要はないですが、1日の終わりに結果を記録し、問題があったときはその内容も記録しておきましょう。

チェック方法を決定するときには、本当にそのチェック方法でしっかり中心部が加熱されているか、1回は中心温度計を使って確認しておくことをおすすめします。

 

第3グループ:加熱後冷却し再加熱するもの、または、加熱後冷却するもの

(メニュー例)カレー、シチュー、スープ、たれ、ポテトサラダ、など

加熱温度のチェック方法は第2グループと同様に行いましょう。
冷却工程では、危険温度帯(10℃~60℃の温度帯)をいかに早く抜けるかがポイントです。
小さな容器に小分けして冷蔵庫で冷やすことで、効率的に温度を下げられます。
常温下での緩慢冷却は、細菌に増殖する時間をたっぷりと与えてしまうため危険です。

また、カレーやスープなどのメニューは、営業時間中は常に高温保存(65℃以上)し、営業終了後にすみやかに冷却すると、より確実に細菌の増殖を抑えられます。
小分けで冷却する時は、底が広く、高さのない容器だと冷却しやすいです。

 

テイクアウト・デリバリーにおける衛生管理

コロナウィルスの影響で、新たにテイクアウトやデリバリーを開始した飲食店も増えてきました。
テイクアウトを始めるにあたり、新たに営業許可を取得する必要はありません。
ただし、店内飲食よりも気を付けなくてはいけないのが、商品の温度と提供時間です。

テイクアウト商品を保管するときは、必ず10℃以下、もしくは65℃以上で保管・販売しましょう。

高温のまま提供することが難しい場合は、調理後に冷却する必要があります。
ハンバーグやてんぷらなど、通常は第2グループに分類するメニューも、第3グループの考え方で調理、提供してください。
また、調理終了から実際に食べるまでの時間が、店内飲食と比べて長くかかるので、細菌が増殖しないように適切な温度で保管、配達を行いましょう。

保温・保冷ケースや保冷剤を活用すると、配達中も細菌の増殖を抑えられます。

 

 

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