持ち帰りが多くなっているこの時代。
店で食事をした際、食べられなくなって、持ち帰りたいという声も多いです。
その際、もし、食中毒になった場合・・・。誰の責任?
そもそも持ち帰りは?
食品衛生法などの法律で、食事の「持ち帰り自体」を禁止する規定はありません。
持ち帰りをしてよいかどうかは、あくまでも「提供側とお客側との間の合意の問題」となります。
ただし、どのような環境(持ち歩き時間や温度)で保管していたかなどにもよりますが、その食品を持ち帰ったことが原因で食中毒などが生じた場合、提供側には「人の健康等を損なう食品の販売をした責任」が生じる可能性があります。
法的には
どんな責任を負うことになるのか!?
まずは、店舗は『客への損害賠償責任』が考えられます。
この責任は、いくら客側が「自己責任」で持ち帰ったという形でも、必ず免れるというわけではありません。
さらには!
人の健康等を損なう食品の販売を禁止する食品衛生法に違反したとして、営業停止処分を受けたり、3年以下の懲役刑や300万円以下の罰金刑などが科される可能性もあります。
提供側は、上記のリスクを十分に考えたうえで、持ち帰りの可否についてのルール設定をすべきです。
できるだけお客様の健康上の安全面を意識したいところです。
今回のケースのように、禁止しているにもかかわらず、持ち帰りを要望する客に対しては、お客様の健康上の安全を守るために持ち帰りは認めていないこと、法的にも提供側に各種のペナルティがあるため安易に認めるわけにいかないことを説明し、理解を求めるべきでしょう。
しかし、実際この説明をしても言う事を理解してくれる方はなかなかいません。
実際にことが起きてから!
ようやく理解するのです。
食べ残しを持ち帰った客が体調を崩した場合の飲食店の責任
◆客側の責任で持ち帰った場合であっても、客が体調を崩した際に、
飲食店側に一切責任が発生しないとまでは言い切れない。
◆食品衛生法第6条の問題が生じうる。
(人の健康を損なうおそれがある食品の販売等を禁じる)
◆医師の届出等により事案を探知した場合、自治体(保健所)の判断の下、
必要に応じて疫学的な調査を行うなど、ケースバイケースで対応することとなる。
テイクアウトやデリバリーの注意点は?
お客様が食べるまでに時間がかかるテイクアウトやデリバリーは、店内飲食のときよりも、食中毒が発生するリスクが増します。
食中毒対策としては、店内飲食のときと同じく、食中毒の原因を「つけない」「増やさない」「やっつける」という対策が基本ですが、テイクアウトやデリバリーだからこそ、気をつけなければならないこともあります。
例えば
生や半生のものは食中毒のリスクが高いため、テイクアウトやデリバリーのメニューとしては不向きです。十分に加熱した食材を使ったメニューなど、テイクアウトやデリバリーに適したメニューを考案しましょう。
また、盛り付けの際は清潔な手袋を用いるなどして、食中毒の原因菌やウイルスがつかないようにします。冷ます必要がある食品は、小分けにして速やかに冷ますようにしてください。
食中毒の原因菌が増殖しないよう、テイクアウトやデリバリー用の保冷剤を用意するのも良いでしょう。
なお、お客さんにはできるだけ早く料理を食べきるように伝えましょう。口頭で伝えられない場合は、注意書きを書いたシールなど用意するのもおすすめです。
消費者
◆持ち帰りは、刺身などの生ものや半生等加熱が不十分なものは避け、
帰宅後に加熱が可能なものにし、食べきれる量を考えて、行いましょう。
清潔な箸などを使って入れましょう。
寄り道をしないようにしましょう。また、帰宅までに時間がかかる場合は、
持ち帰りは止めましょう。
飲食店
◆持ち帰りの希望者には、食中毒等のリスクや取扱方法等、
衛生上の注意事項を十分に説明しましょう。
◆持ち帰りには十分に加熱された食品を提供し、生ものや半生など加熱が不十分な料理は、
希望者からの要望があっても応じないようにしましょう。
◆清潔な容器に、清潔な箸などを使って入れましょう。
◆水分はできるだけ切り、残った食品が早く冷えるように浅い容器に小分けしましょう。
◆外気温が高い時は持ち帰りを休止するか、保冷剤を提供しましょう。
◆その他、料理の取り扱いについて、注意書きを添えるなど、
食中毒等の予防をするための工夫をしましょう。