人はストレスを受けると、それを防御しようと自律神経系や内分泌系、免疫系によってコントロールされながら、身体の内部環境を一定に保つように力が働きます。過剰なストレスが続くと、ストレスに対する抵抗力が弱まり、状態を安定させようとする働き(恒常性維持機能)に乱れが生じて様々な障害が現れます。
- ストレスとは?また、ストレスを引き起こす要因は?
- 症状は?
- ストレスが食事に与える影響
- 食事で気を付けることは?
- 楽しく食べる工夫も大事
- 身体に役立つ知識:アスパラガスの栄養
- ストレスに負けない食生活
- ストレス管理に役立つ食事
- ストレスに強くなる栄養素
ストレスとは?また、ストレスを引き起こす要因は?
医学的には、脳の下垂体から生成される副腎皮質ホルモンの分泌を促す内外の刺激を「ストレッサー」、これによって引き起こされる一連の生体防御反応を「ストレス」と呼びます。
ストレッサーとストレスを区別せずに「ストレス」と呼ぶのが一般的です。ストレスの要因は、悩み等の精神的なもの、寒冷、疲労等の身体的なものなど様々です。
症状は?
精神面…神経症、躁(そう)うつ病などの神経疾患。
身体面…心拍数の増加や不整脈、感染症やアレルギー疾患、ダイエット。
ストレスが食事に与える影響
食欲の変動
ストレスは食欲に大きな影響を与えます。ストレスを感じると、食欲が増加する人もいれば、逆に食欲が減少する人もいます。これは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が関係しています。
食生活の乱れ
ストレスを感じると、ジャンクフードや高脂肪、高糖質の食べ物に手を伸ばしがちです。これらの食品は一時的に気分を高めることがありますが、長期的には健康に悪影響を及ぼします。
消化機能の低下
ストレスは消化機能にも影響を与えます。ストレス状態が続くと、胃腸の働きが低下し、消化不良や胃痛、腸の問題が起こりやすくなります。
食事で気を付けることは?
ストレスに強くなる栄養素を補給しましょう。
ホルモンの生成をうながすたんぱく質、ビタミンC、精神を安定させるビタミンB群、神経の興奮を抑えるカルシウム、マグネシウム、自律神経を調整する機能に役立つビタミンEなどをじょうずに組み合わせてとれる食品を選びましょう。
①たんぱく質…肉、魚介類、卵、大豆製品など
②ビタミンC…じゃがいも、さつまいも、パプリカ、キウイフルーツ、柿など
③ビタミンB群…豚肉、レバー、牛乳、アサリ水煮、菜花など
④カルシウム…乳製品、大豆製品、小松菜、菜花、魚類など
⑤マグネシウム…大豆製品、海藻類、魚介類など
⑥ビタミンE…ナッツ類、胚芽油、魚介類、大豆製品、穀類、緑黄色野菜など
楽しく食べる工夫も大事
ストレスの多い生活では食生活が不規則になりがちで、さらにストレスに拍車をかけてしまいます。(例:欠食、偏食、暴飲暴食等) 忙しくても1日3食、規則正しく、適量を食べる事が大切です。また、美味しい物を楽しくリラックスして食べる事がストレス解消にも繋がります。
身体に役立つ知識:アスパラガスの栄養
アスパラガスの旬は4~6月。原産国は地中海で、市場には輸入物が多いですが、国産は4、5月が本州産、6月は北海道産が出回っています。
グリーンの他にホワイトアスパラガス、紫アスパラガスもあります。アスパラガスに含まれている「アスパラギン酸」というアミノ酸の一種は、筋肉疲労時にたまった乳酸をエネルギーに変える働きがあります。
だるさや疲れを取り、疲労回復やスタミナ・免疫力増強、リラックスおよび睡眠効果、毛細血管の拡張による血圧低下、腎臓や肝臓の機能回復などの効能も期待できると言われています。
美味しいアスパラガスの選び方
①まっすぐで太めの茎に穂先が程よくしまったもの
②茎の断面がみずみずしく、全体的に濃い目の緑色
美味しさを損なわない様に保存する時には、穂先を上にして立てて保存すると良いでしょう。
何日か保存する時は、いったんゆでて水気を切ってから冷凍保存するのが望ましいです。
ストレスに負けない食生活
3 食規則正しく、バランスよく食べましょう
欠食をしたり、偏食をしたり、一回の食事量が少なかったりすると必要な栄養素をとり逃してしまいます。 食事の時間はできるだけ一定にし、1回の食事で主食(ごはん、パン、麺類など)・主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)・副菜(野菜やきのこなど)をそろえてバランスの良い食事を心がけ、生活のリズムを整えましょう。
良質なたんぱく質をとりましょう
たんぱく質はストレスに対抗するホルモンや神経伝達物質の材料となります。
ストレスを受けると体を守るためにホルモンや神経伝達物質がたくさん必要となり、消費量が増えます。不足しないようにとりましょう。
肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品などさまざまな食品からとりましょう。
ストレスに対抗する栄養素をとりましょう
パントテン酸・・・ビタミン B 群に含まれるビタミンで、抗ストレスホルモンの生成を助ける働きがあります。腸内細菌でも作ることができるため、普通の食事を続けていれば欠乏の心配は少ない栄養素です。
【多く含む食品】牛・豚・鶏のレバー、うなぎ、納豆など
ビタミン C・・・抗ストレスホルモンを生成するときに必要です。不足するとホルモンが十分に作られず、
ストレスへの抵抗力が弱まります。
【多く含む食品】ピーマン、ブロッコリー、いちご、柑橘類など
トリプトファン・・・精神を安定させる物質「セロトニン」の材料となる必須アミノ酸です。
体内では合成できないため、食事からとる必要があります。
【多く含む食品】肉類、牛乳・チーズなどの乳製品、大豆製品、ピーナッツ、バナナなど
カルシウム、マグネシウム・・・神経の機能を安定させ、気持ちを落ち着かせる作用があります。
【多く含む食品】カルシウム・・・乳製品、小魚、大豆製品、青菜野菜など
マグネシウム・・・ナッツ類、大豆製品、海藻など
ストレス管理に役立つ食事
ストレスを軽減し、心身の健康を保つためには、適切な栄養を摂ることが重要です。以下に、ストレス管理に役立つ食事のポイントを紹介します。
バランスの取れた食事
栄養バランスの取れた食事は、心と体の健康を支えます。炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することが大切です。
オメガ3脂肪酸の摂取
オメガ3脂肪酸は、脳の健康を保ち、ストレス軽減に役立ちます。魚(特にサーモン、マグロ、サバなど)や亜麻仁油、チアシードなどに多く含まれています。
抗酸化物質の摂取
ビタミンC、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質は、ストレスによるダメージを軽減します。果物(特にベリー類)、野菜(特に緑黄色野菜)、ナッツ類などを積極的に摂りましょう。
マグネシウムの摂取
マグネシウムは、神経のリラックスに役立つミネラルです。バナナ、アボカド、ナッツ、豆類、葉物野菜に豊富に含まれています。
発酵食品の摂取
ヨーグルト、キムチ、味噌などの発酵食品は、腸内環境を整え、ストレス軽減に役立ちます。腸と脳は密接に関連しており、腸内環境を整えることが精神の安定に寄与します。
水分補給
十分な水分補給は、体の機能を最適化し、ストレスに対する耐性を高めます。1日に2リットル程度の水を目安に、適度な水分を摂取しましょう。
ストレスに強くなる栄養素
残業続きでろくな食事が取れない、市販のお弁当やお菓子で済ましてしまう・・・なんてこと、ありませんか?
そういう食生活が続くことで、ストレスに弱くなってしまうことがあります。
次のようなミネラルやビタミンなどが不足しないようにし、バランスの良い食事を心掛けましょう。
カルシウム
カルシウムが不足するとイライラの原因となります。カルシウムを多く含む食品には、干しエビやしらす干しなど小魚類、納豆などの大豆製品、チーズなどがあります。
カルシウムの吸収を良くするためには、魚や干ししいたけに多く含まれるビタミンDが必要です。
マグネシウム
マグネシウムはカルシウムの働きを調整する作用があり、ストレスをためるとこのマグネシウムの吸収がより悪くなるため、悪循環になりがちです。
マグネシウムが多く含まれているのは、アーモンド・落花生などの種実類、大豆、納豆、ひじきなどです。
コレステロールとタンパク質
コレステロールは、体がストレスと戦ううえで必要な副腎皮質ホルモンの原料になります。また、ストレスにさらされると、数種類のホルモンが盛んに分泌され、タンパク質の分解を促進させます。
そうすると、肌が荒れたり、疲れやすくなったり、脳の働きが低下したりします。
肉類、魚介類、乳・乳製品、大豆・大豆製品などの食品に良質のタンパク質が含まれています。
ビタミン
ストレスにさらされると抗酸化機能が低下し、抗酸化ビタミンのβ-カロテン、ビタミンC、Eが不足してきます。また、ストレス時に分泌されるホルモンの合成には、ビタミンB群、Cが必要です。
ビタミンB群が不足すると、皮膚や粘膜や血管などに異常を生じ、神経の正常な働きに支障が出て、精神状態が悪くなります。
ビタミンCは免疫力を強化して、抗酸化作用がありますが、精神的なストレスがかかると大量に消費されます。
ビタミンが多く含まれている食品は野菜や果物です。