飲食店にとって、クレームはできれば避けたいものだ。
しかし実はクレームは、店を救う“警報”でもある。
よく「お客様は黙って離れていく」と言われる。
本当にその通りで、 クレームを言ってくれるお客様は、まだその店に関心がある。
完全に離れる手前で、最後のシグナルを投げてくれているのだ。
だからクレームとは、嵐の予報のようなもの。小さな雲の段階で気づけば防げるが、
放置すれば暴風になる。
今回は、飲食店が見逃しがちな「小さな違和感」の拾い方を解説。

■1:クレームは突然起こらない
いつも“前兆”があるクレームとは不満の最終形。
実はその前に、必ず細かなサインがある。
代表的な前兆3つ
① 表情が曇る
・注文を言い直されたとき
・店内が騒がしいとき
・料理提供が遅れたとき
こういう瞬間、お客様の表情に小さな影が落ちる。
② 無言・早食い・すぐ帰る
不満があるお客様は滞在時間が短くなる。
常連が早く帰るようになったら、黄色信号。
③ SNSや食べログに“匂わせ投稿”
「前のほうが美味しかった」
「最近バタバタしてる感じ」
「店員が忙しそうで声かけづらい」
直接言わずに外へ発信する。
これは店内で言えなかったサイン。
どれも嵐の“前触れ”なのだ。
■2:「小さな違和感」が一番危ない

本物のクレームは“言われないクレーム”
店側にとって厄介なのは、
“何も言われないまま離れる” お客様が多いということ。
●本当に危険なのは、
「美味しいけど、なんか前より雑」
「別に悪くないけど、わざわざ行く理由がない」
「ちょっとした気遣いが減った気がする」
このような 言語化されない違和感。
小さな違和感は、
クレームよりはるかに危険で、
気づいたときには来客数が落ちている。
まさに“突然の嵐”状態。
■3:違和感を拾える店は「3つのクセ」を持っている

成功している店ほど、
トラブルを未然に察知する習慣がある。
その代表が次の3つ。
◆1)「空気」を読むクセ
店内のお客様の“温度”を感じ取れるか。
・目線
・姿勢
・会話量
・笑顔の頻度
これを観察できるスタッフがいる店は強い。
逆にこれができない店は、気づいたときには手遅れ。
◆2)「戻り動作」に敏感
お客様が“迷う瞬間”=違和感のポイント。
・メニューを戻す
・椅子に座り直す
・スマホを取り出す
・店内を見回す
これらの動作には必ず理由がある。
そこを拾える店は、問題発生前に動ける。
◆3)「あえて質問」するクセ
店が質問することで、違和感を表面化できる。
例:
「今日の辛さ、ちょっと強かったですか?」
「暑くなかったですか?」
「量は少なくなかったですか?」
お客様は不満があっても言わない。
店側が聞いて初めて言語化される。
これにより、嵐の前に“雲”を確認できる。
■4:違和感の拾い方(実践編)

現場で使える方法を紹介する。
●① 注文時の一言を“天気予報”と捉える
お客様が注文で迷っているときの発言は、ヒントだ。
・「量ってどれくらい?」
→ 以前に量のクレームが出ていないか確認
・「これって辛い?」
→ 辛さ表記が不十分な可能性
・「提供どれくらい?」
→ 過去に提供遅れがあったかも
注文時の会話には、実は様々な“予報”が隠れている。
●② 料理提供時の表情をチェック
提供した皿を見たときの表情は、最重要ポイント。
・驚く → OK
・安心する → OK
・無表情 → 要警戒
・眉間にシワ → すぐ声かけ
もし表情が曇ったら、
「申し訳ございません。何か気になる点ございましたか?」
この一言だけで嵐は止まる。
●③ 帰り際の動きは“気圧配置”
帰り際に以下の動きがあれば要注意:
・目を合わせてくれない
・会計が無言
・会釈だけで終わる
・来店時と比べてテンションが低い
これは「今日はちょっと…」のサイン。
すぐに店内で原因を振り返る必要がある。
■5:クレームは改善金脈

小さな違和感を拾う店ほど、強くなる
実際、繁盛店の多くはクレーム対応が異常に早い。
クレームを「怒り」ではなく、「成長の材料」と捉えている。
そして、繁盛店が必ず持っている視点がひとつ。
◆「クレームの奥には“期待”がある」
クレームは“怒り”ではなく、“期待の裏返し”。
期待がゼロなら、そもそも何も言わずに別の店に行く。
だからクレームは“愛情の残り火”。
消える前に拾えれば、常連に変わる。
これは飲食店の真理だ。
■6:まとめ

クレームは“嵐の予報”。
早期発見できる店だけが生き残る。
飲食店は、嵐そのものより、
嵐になる前の「雲」を見つけられるかで勝敗が決まる。
・表情
・声のトーン
・注文の迷い
・席の動き
・SNSの匂わせ
・店内の空気
これらは天気図のようなもの。
読み取れればクレームは怖くない。
むしろ、改善点がわかり、店が強くなる。
