飲食店という仕事は、とにかく“味”が命だと思われがちだ。
もちろんそれは正しい。味が悪い店に未来はない。しかし、現場に長くいると、どうしても避けられない日がある。
「今日は味より段取りが勝負だ…」
そんな、“戦いの日”が。
これは料理人のプライドや理想論とはまったく別次元で、現場スタッフ全員が肌で理解している “売上を守るための現実” である。
今日は、飲食店コンサルの視点から、忙しい日に発生する “段取りが売上をつくる瞬間” を、リアルに上から目線で書いていきます。笑笑

- ■1.繁忙日の合言葉:「味はいつも通り、しかし段取りはいつもの2倍」
- ■2.段取りが悪いと、どれだけ味が良くても“売上は落ちる”
- ■3.“段取りが売上をつくる日”に生まれる、厨房の名シーン
- ■4.段取りが良い店にだけ起きる“奇跡の売上カーブ”
- ■5.では、段取りが強い店は何が違うのか?
- ■6.結論:「味の力」は平日に、「段取りの力」は繁忙日に店を救う
■1.繁忙日の合言葉:「味はいつも通り、しかし段取りはいつもの2倍」
繁忙日というのは、店にとって“戦場”そのものである。
・給料日前の週末
・大型連休最中
・SNSで突然バズった翌日
・天気が良すぎる日、悪すぎる日
・そして「なぜ今日?」という謎の大混雑
こんな日は、厨房の空気が違う。
スタッフの動きも違う。
店主の顔つきも若干険しい。
しかし、本当に違うのは“段取りのレベル”。
普段なら
「落ち着いて作ること」が最優先だが、
繁忙日には優先順位が変わる。
「落ち着いて作ってる暇はない。
しかし、乱れてもいいわけじゃない。」
この絶妙なラインを守り続けるのが、段取りの力だ。
■2.段取りが悪いと、どれだけ味が良くても“売上は落ちる”

段取りが良いと売上が伸びる。
段取りが悪いと売上が落ちる。
飲食業をやっていると、味より圧倒的に売上に直結するのは“段取りの質”だと痛感する。
●段取りが悪い店に起きがちなこと
オーダーが溜まる
提供が遅れる
お客様のイライラが溜まる
結果、追加注文が減る
最悪、クレームで赤字の元を作る
味が良いのに売上が悪い店は、たいてい繁忙時の段取りが弱い。
逆に、味は普通でも繁忙日が強い店は、
回転率・追加注文率・満足度が上がる。
「料理は美味しいけど提供が遅い」
これほど飲食の価値を落とす要因はない。
■3.“段取りが売上をつくる日”に生まれる、厨房の名シーン
ここからは、繁忙日あるあるをストーリー調でお届けする。
●(1)戦いの始まり:
「仕込み量もっとあった方がよかったか…?」事件
オープン前、いつもより仕込みを増やしたにもかかわらず、
店主はなぜか不安な顔をしている。
店主
「これ…今日の分、足りるかな?」
スタッフ
「いや、十分あると思いますよ?」
店主
「いや、なんか…今日ヤバい気がする」
飲食歴が長い店主は、天気・電話の雰囲気・街の空気で“繁忙の匂い”を察知する。
結果的にその勘は大体当たる。

●(2)開戦:
「ドリンクだけでも早く出せ!」の号令
繁忙日の鉄則のひとつ。
料理が遅れてもドリンクだけは死守する。
なぜなら、
ドリンクの提供スピードが店の“忙しさの印象”を決めるから。
お客様
「ドリンク早っ!」
→ この瞬間、店の印象がよくなる。多少の遅れは許容される。
ドリンク出しが遅い店ほど、お客様の不満は急激に増える。
●(3)中盤戦:
「あと何名様?」「今何分待ち?」と、数字ばかり飛び交う厨房
繁忙日になると、厨房は“戦略本部”のようになる。
店主
「今、何名来るの?」
スタッフ
「次、4名と2名が並んでます!」
店主
「フライヤーあと何分空く?」
スタッフ
「2分です!」
数字だけで会話が成立する日。
これぞ段取りの極み。
料理を作るだけではなく、
順番の最適化・火入れタイミング・ホールとの連携
これらがすべて売上に直結する。
●(4)終盤戦:
「もう一山くるぞ」店主の不気味な予言
ピークが終わったと思いきや、
店主が静かに言う。
店主
「まだ今日は終わらない、あと一山ある」
スタッフ
「いやいや、もう十分混んだじゃないですか!」
店主
「今日は…なんか来る。」
そして本当に来る。
飲食店あるあるすぎて笑えない。

■4.段取りが良い店にだけ起きる“奇跡の売上カーブ”
繁忙日に段取りが良い店は、
後半ほど売上が伸びる。
理由は明白。
お客様が満足して追加注文が入る
回転率が落ちない
提供スピードが安定する
“混んでいるのに不快にならない”という奇跡の状態が作れる
段取りの強さは、客単価にも直結する。
忙しい日の段取りとは
店がパワーアップするためのブースター
みたいなものだ。
■5.では、段取りが強い店は何が違うのか?
飲食店コンサルとして、
段取りが強い店には共通点がある。
① ピークタイムの“未来予想図”をスタッフが全員共有している
何も考えてない店ほど繁忙日にパニックになる。
② 細かい仕込み量が「繁忙日仕様」になっている
仕込み量=売上予測力。
③ ホールと厨房の“情報共有スピード”が異常に速い
オペレーションが店を救う。
④ スタッフが「自分の役割」を全員理解している
繁忙日は“誰が何をするか”で勝負が決まる。
⑤ 何より店主が冷静(または冷静に見える)
店主の慌て方はそのまま店の混乱に反映される。
■6.結論:「味の力」は平日に、「段取りの力」は繁忙日に店を救う

飲食店の成功は
味 × 段取り × サービス × 雰囲気
これらの掛け算で決まる。
しかし、繁忙日だけは例外だ。
段取りこそが売上の要となる。
味が良くても段取りが悪い店は、
どれだけ美味しくても繁忙日に売り負ける。
逆に段取りが強い店は、
どんなに忙しくても
「また来よう」と思わせる体験をつくることができる。
繁忙日の段取り力は、
店の実力、そして店主の力量をそのまま映し出す鏡である。
