飲食店の相談に乗っていると、どの店でも必ずと言っていいほど同じやり取りがあります。
私「原価率どうですか?」
店主「料理?そんなに悪くないよ。…まあ、ちょっと高いけど」

このあと、間髪入れずに聞きます。
「ドリンク原価率はいくつ?」
ここで店主がだいたい困った顔をします。
計算したことがない店も多いし、していたとしても「なんとなく20%前後…じゃないかな?」と曖昧。
——でも、実はここが一番大事なんです。
なぜか。
結論から言うと、
◆ ドリンク原価率は“店がこっそりお金を貯めてくれる装置”だから
たとえば料理の原価率を25%から23%に下げるより、
ドリンクの原価率を25%→20%に下げるほうが、
月の利益は圧倒的に増えます。
理由はシンプル。
◆ お客は料理は1〜3品しか頼まないが、ドリンクは「継続して」頼む
・料理:1人あたり2〜4品
・ドリンク:平均2〜5杯(酒飲みはもっと)
特に居酒屋は、「2杯目・3杯目・4杯目」が利益の塊です。
料理で粗利を取ろうとすると客単価が上がって敬遠されますが、
ドリンクは提供スピードが早く、満足度も下がりにくい。
つまり、裏でひっそりお金を貯めてくれるのは料理ではなく…
ドリンク。
だから「ドリンクの原価率を最適化」すると、売上も利益も別次元で改善するのです。
◆ そもそも、ドリンク原価率の最適値って何%?
一般的な基準はこうです。
ビール:20〜23%
ハイボール・サワー類:10〜18%
焼酎・ウイスキー(ボトル割り):5〜12%
ワイン:18〜25%
カクテル:8〜15%
特に利益貢献が大きいのは、
「味の評価がブレにくく、作業工数が少ないドリンク」
=ハイボール・サワー・ソフトドリンク。
ここを“主力商品”にすると利益体質が一気に変わります。
◆ では、どうやって“秘密の貯金箱”を最大化する?
① とにかく“作業量”を最小化する
ドリンクは利益商品です。
だからこそ「手間ゼロ」で作れる体制を組むことが重要。
例)
・ハイボール → 自動サーバー
・サワー類 → 原液+炭酸で統一
・カクテル → 多くても10種まで
ポイントは、
“丁寧に作れば売れる”じゃなく“出る量を増やす”ことが正義。
1杯30秒→15秒になれば、ピーク時の利益がごっそり増える。
② メニュー戦略:利益の高い商品が“自然と”選ばれるようにする
これは心理戦。
・一番左上にハイボールを置く
・写真は利益率の高いものだけ載せる
・「当店人気No.1!」と書いて誘導する
・価格差を小さくし“高粗利の方が得”に見せる
・サイズアップ(メガ・ジャンボ)を用意
これだけで、利益は1.2〜1.5倍に変わります。
③ スタッフ教育は“ひと言だけ”でいい
おすすめしたいのはこの一言。
「お飲み物、お代わりどうされますか?」
このワンフレーズで月数十万の利益が変わります。
しかも嫌がられない。自然な流れなので。
逆に言えば、
これを言わない店は、利益を捨てているのと同じです。
④ 原価の安い“勝ち筋ドリンク”を必ず1つ持つ
おすすめ例:
・レモンサワー(自家製シロップ)
・濃いめハイボール(実は原価ほぼ変わらず)
・強炭酸ソーダ割り(満足度↑原価↓)
・オリジナルブレンド茶割り
特に自家製レモンサワーは
原価率5〜12%でつくれるうえに写真映えも強い
という圧倒的勝ち商品。
⑤ “利益データ”を見える化する
利益を生むのは“体感”ではなく“数値”。
例:
月間ドリンク販売数 × ドリンク粗利 = 月の飲料利益
これを出すだけで、「ハイボールをあと1杯売ると月+12万円」という現実が目で見えるようになる。
飲食店は“見える化した瞬間”に行動が変わります。
◆ 逆に、ドリンクで損する店の4大共通点
① ドリンクの設定価格が安すぎる
料理に合わせて値段を下げると赤字街道まっしぐら。
② グラスサイズがバラバラ
量がブレる店は利益率もブレる。
グラス統一は必須。
③ スタッフが「濃いめ」をサービスしすぎる
気持ちは分かるが利益を削っているだけ。
濃いめは+50〜100円で対応にするべき。
④ 売る商品が“利益率の悪いもの”に偏っている
クラフトビール・地酒・プレミアム系ばかり売れると利益が逃げる。
メニューの中で“高粗利の柱”をつくるのが重要。
◆ 最後に:料理の努力は素晴らしい、でも“利益”は別の話
料理にこだわる店ほど、「味で勝負したい」と思う気持ちはよく分かります。
実際、料理の質は店の評価を大きく左右する。
でも…
利益をつくるのは、実は“ドリンクの管理と設計”です。
料理だけで利益を出すのは、言い換えると「ハンデ戦」。
逆に、
ドリンクで利益構造を整えれば、料理のこだわりも続けられるし、スタッフ教育も楽になり、資金繰りも安定します。
◆ ドリンク原価率は“攻め”ではなく“守りの自動貯金箱”
お客が楽しく飲んでいる間に、店は黙ってお金を貯めてくれる。
これがドリンク利益の最大の魅力です。
