放送・通信などの情報サービス、医療や介護サービス、学習支援などの教育サービス、宿泊、公共交通機関や物流、郵便や宅配、不動産などが該当します。サービス業は業務の性質上、人に接することが多いため接客業と一緒されがちですが、対面で人に接して仕事する接客業に対し、サービス業は直接、人と接しない仕事(整備士やIT関連など)も含まれます。
サービス業は9つ業種ある
総務省が実施している「サービス産業統計調査」では、業種を大きく9つに分類しています。
医療、福祉
「医療、福祉」に関する業種には、医療、保健衛生、社会保険・社会福祉・介護事業の関連事業があります。職種には医師、看護師、薬剤師、保健師、理学療法士、作業療法士、整体師、介護福祉士、ケアマネジャーなど専門性の高い職種が多いのが特徴です。
宿泊業、飲食サービス業
「宿泊業、飲食サービス業」は、サービス業の中でも接客の仕事が多い領域です。ホテルや旅館業などでのフロントスタッフやコンセルジュ、ハウスキーパーなど、飲食店でのホールスタッフや調理スタッフ、フードデリバリーなどの宅配業などの仕事があります。
運輸業、郵便業
「運輸業、郵便業」は「物や人を運ぶ」業種です。鉄道、バス、タクシー、トラック、船、飛行機などの運輸手段のインフラに関係する仕事、倉庫などの物流拠点、顧客から顧客に物を運ぶ宅配や郵便インフラなどを指します。職種は幅広く、ドライバーなど運転操作をする仕事から、適切に荷物や人が移動できる仕組みを設計、監理する仕事などがあります。
生活関連サービス業、娯楽業
「生活関連サービス業」の幅は広く、クリーニング、理容美容、エステやマッサージ、浴場業、ジムなどの健康施設など、生活を支える仕事全般を指します。また、「娯楽業」は、映画館や劇場、遊園地、ゲームセンターなどエンターテイメントに関する仕事です。
情報通信業
「情報通信業」に該当するのは、インターネット回線や固定・携帯電話などの通信業、テレビやラジオ、ネット番組などの放送業、さまざまな情報を収集編集して提供、市場調査、あるいは、ウェブ上の検索やショッピングなどを提供する情報サービス業、そこに提供する映像や音、文章などの制作業などがあります。ソフトウエアやハードウエアの開発などITエンジニアの仕事の他、エンタメ性の高い職種もある業種です。
学術研究、専門・技術サービス業
「学術研究、専門・技術サービス業」には広告業や技術サービス業、他には分類できない専門サービスも含まれます。ただし、学術・開発研究機関は含まれません。業種には法律事務所や税理士事務所、デザイン業、著述・芸術家業、経営コンサルタント業などが該当します。職種には、弁護士や行政書士、税理士、経営コンサルタント、広告のクリエイティブディレクター、コピーライター、デザイナー、フォトグラファーやイラストレーターがあります。
不動産業、物品賃貸業
「不動産業、物品賃貸業」に含まれるのは、不動産売買や賃貸、不動産管理業、物品をレンタルする業種です。職種には、不動産営業や不動産鑑定、不動産の賃貸・管理、駐車場スタッフ、産業用機械のリース、レンタカースタッフなどがあります。
教育、学習支援業
「教育、学習支援業」は学校教育をのぞいた教育学習支援業です。具体的な職種としては、公民館の職員、図書館司書、博物館のスタッフ、塾講師、家庭教師、学童保育での指導員、各種習い事の先生、児童相談員、企業研修コーチ、通訳や翻訳、日本語教師もあてはまります。
サービス業(他に分類されないもの)
廃棄物処理業や自動車整備、機械修理、職業紹介・労働者派遣業、その他の事業サービス業です。職種には、技能工(自動車整備、機械修理)、派遣営業などになります。
接客業との違い
サービス業というと、接客業のことであると考える人も多いかもしれません。
接客業は、サービス業の一つで、顧客と直接コミュニケーションを取り、もてなす仕事です。サービス業とは、接客業を含め、形のないサービスを提供する業務すべてを指します。
サービス業に向いている人の特徴
サービス業の仕事の幅は広いため、それぞれの業界や職種によって求められるスキルは違いますが、どの業界や職種でも「顧客ニーズに応える」ことが求められることが共通しています。
人とのコミュニケーションを楽しめる
顧客ニーズを適切に把握するには、相手(顧客)から上手に課題や求めるゴールを聞き出したり、社内で解決するための協力を仰ぐ調整をする能力が求められます。そのため、業務を遂行するベースとして、社内社外問わず、人とコミュニケーションを取ることができる人、楽しめる人が向いています。
臨機応変な対応ができる
サービス業の仕事には、ある程度決められた基本の仕事の進め方がある職種も多いですが、実際は、状況に応じて適格な対応が求められる場面が多くあります。そのため、基本を身につけたうえで、臨機応変できる柔軟な姿勢が必要になります。
ゴールまで道のりを組み立てられる
顧客の求めるサービスを提供するために、必要な段取りや工程を見立てていく力が求められます。刻々と変わる状況に応じて、ゴール(顧客ニーズ)を見失わずに柔軟に道のりを組み立て、修正していけることも大切です。
資格や専門性を求められる職種もある
サービス業のなかには、専門的な知識や技術、国家資格が必要な仕事も少なくありません。時間をかけて専門知識を身につけ、高いプロ意識をもって仕事できる人に向いている仕事です。
サービス業に将来性はあるのか?
サービス業に就職を考える人の中には、その将来性に不安を感じる人もいるでしょう。
AIに取って代わられる可能性がある職種
サービス業の中でも人間の思考力や想像力を必要としない、単純作業を中心とする職種はAIの発達によって減少していくと考えられます。たとえば、タッチパネル式の注文用端末や、セルフレジなどの利用で、接客業の一部の仕事がなくなりつつあります。今後はますますその傾向が強くなるでしょう。
たとえば、翻訳ソフトの発達により通訳者や翻訳者、自動運転の実用化により運転手、投資判断ができるAIの出現により証券アナリストなど、先端技術によって少なくなっていく可能性があります。
IT技術の進歩で成長が見込める職種
サービス業の中でAIによる機械化が難しいため、今後も残っていくと考えられている職種もあります。
たとえば、医療関係は、患者とのコミュニケーションが重要なので、完全に機械化することはできません。
また、エンターテイメント・娯楽などの、人の想像力が必要な分野は、時代の変化と共にむしろ成長が見込まれます。