室町時代から精進料理として親しまれてきた“麩(ふ)”。
日本の伝統食品として、一度は食べたことがあるのではないでしょうか。
焼き麩や生麩、角麩、揚げ麩など、地域特有のものも合わせて100種類に届くとも言われる馴染み深い麩ですが、その原料や作り方を知っている人は少ないはず。
- お麩について
- お麩の背景
- 豊富な栄養
- ダイエット・美肌効果も
- お麩の原料
- お麩の種類
- 生麩の主な特徴
- 生麩の栄養価
- 焼き麩や揚げ麩との違い
- 製法の違い
- 食感の違い
- 生麩の多彩な種類と特徴
- 保存性に優れる
お麩について
お麩は何からできているのでしょうか。
お麩の種類や、向いている食べ方についても合わせてみてみましょう。
お麩の背景
お麩の原点は中国から日本へとやってきました。いつやってきたかというのは、室町時代説と奈良時代説があるために、ハッキリとしたことはわかっていません。当初お麩は仏教とのつながりが深く、肉食がタブーであった修行僧たちにとっては大切な食品として重宝されていました。
それを経てお麩は、人々に広く浸透していきました。この様にお麩は日本の伝統食品として、今日でも親しまれています。日本の伝統食品でありながら気軽に摂取できるというのも、お麩の魅力のひとつですね。
豊富な栄養
ふわふわとしたお麩には栄養がないと思っている方も多いかもしれませんが、実は豊富な栄養素が含まれているのです。タンパク質の他にナトリウムやカルシウム、鉄・亜鉛といったミネラルが凝縮されていて、とても体にいい食べ物なのです。
お麩に含まれている植物性タンパク質は、健康を維持していくにあたっては欠かすことができないものです。ですので、栄養のバランスの取れた食生活にはお麩を是非取り入れてみてください。
ダイエット・美肌効果も
お麩には植物性のタンパク質が豊富に含まれているので、お肉の代わりとなる栄養素として、精進料理などで重宝するのです。又お麩というのは保水性が高いことから、少ない量でも満腹感を得ることができます。そのためお麩はダイエットにも最適の食品であります。
そしてさらにアミノ酸の一つであるプロリンが多い食品でもあります。
プロリンはコラーゲンの合成を促進し活性化させ、一度破壊されたコラーゲンを修復するはたらきがあるため美肌には不可欠で角質層の保湿にも重要な役割をはたします。
お麩の原料
お麩の主原料は、グルテンという小麦粉由来のたんぱく質です。
小麦粉に水を加えて練ると粘り気が出てきますが、この粘りがグルテンです。
小麦粉を練っただけではでんぷんが残っているので、布の袋に入れて水の中で揉み洗いし、袋の中に残ったグルテンをお麩に利用します。
お麩の種類
お麩は、焼き麩と生麩に分類でき、それぞれ原料や作り方に違いがあります。
焼き麩は、グルテンに小麦粉を合わせて焼き上げたものです。
生麩は、グルテンにもち粉を混ぜ、蒸したりゆでたりして作られます。
焼き麩には、直火で焼き上げる「車麩」「庄内麩」、釜で焼く「観世麩」「小町麩」「白玉麩」「竹林麩」などがあり種類が豊富です。
生麩の種類は「手毬麩」「よもぎ麩」「あわ麩」「ごま麩」などがあげられます。
向いている食べ方
焼き麩は水分がよく染み込むので、出汁を使う煮物や汁物などに向いています。
関西では、すき焼きの具材に焼き麩が使われています。
生麩はもっちりとしていて食感に特徴があるので、そのまま焼いたり揚げたりして食べるのがおすすめです。
クセのない味わいなので、お好きな味付けで楽しんでみましょう。
お麩のカロリー・糖質
お麩のカロリーや糖質をチェックしましょう。
ここでは、焼き麩と生麩についてそれぞれご紹介します。
焼き麩
焼き麩にはさまざまな種類がありますが、作り方が異なる釜焼き麩と車麩についてみてみましょう。
なお、どちらも乾燥した状態での数値になります。
《釜焼き麩 100gあたり》
・カロリー…357kcal
・糖質…53.2g
《車麩 100gあたり》
・カロリー…361kcal
・糖質…51.6g
釜焼き麩も車麩も、カロリーや糖質に大きな差がないことがわかります。
焼き方が異なるだけで原料は同じであるからでしょう。
焼き麩は乾燥しているため、料理では数g程度しか使いません。
水分を含んで膨らむので、少量で満足できる食材です。
生麩の主な特徴
生麩はもっちりとした食感と淡泊で上品な風味が特徴です。
また、可食部100gあたり161kcalと普通の焼き麩や揚げ麩と比較すると低カロリーです。
煮物や炒め物、汁物、田楽など様々な料理に使用されます。
生麩の栄養価
生麩は、小麦粉から抽出したグルテンを主原料としているため、たんぱく質を含みます。また、カリウムやナトリウムといったミネラルなども含みます。
焼き麩や揚げ麩との違い
お麩は、製造方法によって大きく「生麩」、「焼き麩」、「揚げ麩」の3種類に分けられます。どれも「主原料はグルテン」という点は共通していますが、味わいや使い方はガラッと異なるんですよ。
製法の違い
生麩:グルテンともち米粉を混ぜ、蒸すか茹でて作る
焼き麩:グルテンに小麦粉を加え、焼いて乾燥させる
揚げ麩:グルテンに小麦粉を加えた生地を棒状にし、油で揚げて乾燥させる
以上のような違いがあります。
食感の違い
生麩:もっちりとした食感
焼き麩:乾燥しているためパリッとした食感(戻すとふわふわに)
揚げ麩:油で揚げているため、香ばしくサクサクとした食感(戻すとふんわりに)
以上のような違いがあります。焼き麩は汁物や煮物などに使用されます。代表的なものは車麩です。揚げ麩も同様に味噌汁やうどん、煮物や卵とじなどに使用されます。
生麩の多彩な種類と特徴
生麩には、様々な種類があり、色や形、風味が異なります。これらの多様性が、生麩の魅力の一つとなっています。
色や風味による分類
白麩:最もシンプルな生麩で、淡泊な味わい
よもぎ麩:よもぎを練り込んだ緑色の麩で、春らしい香り
桜麩:桜の花びらの形をした淡いピンク色の麩
紅葉麩:紅葉の形をした赤や黄色の麩
あわ麩:あわを練り込んだ麩で、独特の食感が楽しめる
形状による分類
棒状:最も一般的な形状で、様々な料理に使いやすい
花形:桜や菊などの花の形をした装飾的な麩
板状:薄く平たい形状で、煮物などに適している
これらの多彩な種類により、料理の見た目や季節感を演出することができます。
保存性に優れる
焼麩の場合は、乾物ですので賞味期限が長く設定されており、保存性に関してもお麩は優れているため、保存食としてもおすすめです。そして焼麩は常温での保存が可能で、開封してからも約2年は召し上がっていただけます。しかしいくら保存性に優れているとは言え、高温多湿の環境で保存をしていてはカビが生えてしまう可能性もありますので、湿気と高温には注意しなくてはなりません。
また、あくまでも開封後の賞味期限は目安となっておりますので、開封後はできるだけ早めにお召し上がりいただくといいでしょう。生麩の場合は適当な大きさに切りラップに包んで、さらにアルミホイルで包んでいただいて冷凍したら1年位日持ちいたします。