「売上が伸びない。コンサルタントを入れるべきだろうか」。多くの経営者がこの問いに直面する。コンサルタント費用は決して安くない。効果があるのか、本当に必要なのか。判断は難しい。実は、コンサルを入れるべき店と入れなくていい店には、明確な違いがある。

- コンサルを入れるべき店の特徴
- コンサルを入れなくていい店の特徴
- コンサルを入れる前にやるべきこと
- 良いコンサルタントの見極め方
- 費用対効果を冷静に見る
- 自力でできることの限界を知る
- 経営は総合力
- まとめ
コンサルを入れるべき店の特徴
問題は分かっているが解決策が分からない
「売上が落ちている原因は何となく分かる。でも、どう改善すればいいか分からない」。こういう状態の店は、コンサルタントが力を発揮する。
例えば、立地が悪いわけでも商品が悪いわけでもないのに客足が遠のいている。スタッフは頑張っているのに数字が伸びない。こうした場合、第三者の視点で問題を分析し、具体的な打ち手を提案してもらうことが有効だ。
コンサルタントは多くの店舗を見ている。同じような課題を抱えた店がどう乗り越えたか、成功事例も失敗事例も知っている。その知見を借りることで、試行錯誤の時間を大幅に短縮できる。
業界の変化についていけていない
デジタル化、キャッシュレス決済、SNSマーケティング。時代は急速に変化している。しかし、長年同じやり方で経営してきた店にとって、新しい領域への対応は容易ではない。
「インスタグラムを始めた方がいいと聞くが、何をどう投稿すればいいか分からない」「予約システムを導入したいが、どれを選べばいいか分からない」。こうした技術的・専門的な領域では、コンサルタントの助けが必要になる。
特に、デジタルマーケティングやシステム導入など、社内に専門知識がない分野では、外部の専門家を活用する方が効率的だ。自力で勉強する時間と労力を考えれば、投資対効果は高い。
組織が硬直化している
長年同じメンバーで運営している店では、考え方が固定化しがちだ。「うちはずっとこうやってきた」「お客様もこれを求めている」。そう信じて疑わない。
しかし、その前提自体が間違っているかもしれない。外部のコンサルタントは、そうした思い込みに気づかせてくれる。「なぜそのやり方なんですか」「本当にお客様はそれを望んでいますか」。鋭い質問が、固定観念を揺さぶる。
組織に新しい風を入れるという意味でも、外部の視点は価値がある。スタッフも、社長が言っても聞かないことを、外部の専門家が言うと受け入れることがある。変化のきっかけとして、コンサルタントは有効だ。
成長フェーズで体制を整えたい
順調に売上が伸びている。店舗数を増やしたい。しかし、今の体制のまま拡大すると崩壊する不安がある。こんなときも、コンサルタントは力になる。
組織体制の構築、マニュアルの整備、採用・教育の仕組み作り。成長期には様々な課題が一気に押し寄せる。こうした課題に対して、体系的なアプローチを提供してくれるのがコンサルタントだ。
拡大期は経営者が最も忙しい時期でもある。日々の業務に追われながら、将来の仕組み作りをするのは困難だ。専門家に任せることで、経営者は本来の仕事に集中できる。
客観的なデータ分析が必要
「何となく売れていない」ではなく、数字に基づいた正確な現状把握が必要な場合がある。どの商品が売れて、どの商品が売れていないのか。どの時間帯が混雑し、どの時間帯が閑散としているのか。お客様の年齢層や購買パターンは。
こうしたデータを集め、分析し、意味のある示唆を導き出すのは専門的なスキルが必要だ。POSデータの活用、顧客分析、競合調査。コンサルタントはこうした作業を効率的に行い、経営判断の材料を提供してくれる。
コンサルを入れなくていい店の特徴
そもそも基本ができていない
清掃が行き届いていない、スタッフの態度が悪い、商品の陳列が雑。こうした基本的な問題を抱えている店に、コンサルタントは必要ない。
コンサルタントは魔法使いではない。基本ができていない店に高度な戦略を提案しても、実行できない。まず自分たちでやるべきことをやる。それができてから、次のステップとしてコンサルタントを検討すべきだ。
「コンサルを入れれば何とかなる」という依存心では、どんな専門家を入れても効果は出ない。経営者自身が本気で変わる覚悟がなければ、コンサルタント費用は無駄になる。
問題が資金不足である
「売上は悪くないが、資金繰りが苦しい」。この場合、コンサルタントよりも税理士や財務アドバイザーが必要だ。あるいは、そもそもビジネスモデル自体に無理がある可能性がある。
コンサルタントに高額な費用を払う余裕があるなら、まずその資金を別の用途に使うべきだ。在庫の充実、設備の改善、スタッフの待遇向上。やるべきことは他にある。
資金不足の根本原因は、多くの場合、売上の問題ではなく経費の使い方の問題だ。まずは自分たちで収支を見直し、無駄を削減する。それでも解決しないなら、専門家に相談するのが順序だ。
経営者自身が現場を見ていない
週に1回しか店に来ない経営者が、コンサルタントを雇って改善を期待する。しかし、これはうまくいかない。コンサルタントが提案しても、経営者が現場を理解していなければ、適切な判断ができない。
まず経営者自身が現場に入り、お客様を見て、スタッフの声を聞く。そこから見えてくる課題は多い。それをせずにコンサルタントに丸投げしても、表面的な提案しか得られない。
コンサルタントは経営者の右腕であって、代わりではない。経営者が主体的に関わらなければ、どんな提案も絵に描いた餅になる。
スタッフの協力が得られない
「社長がまた何か始めた」。スタッフがそう思っている店では、コンサルタントを入れても反発を招くだけだ。「また外部の人間が来て、現場を知らないくせに偉そうなことを言う」。そんな空気では、どんな良い提案も実行されない。
コンサルタントを入れる前に、まずスタッフとの信頼関係を築く必要がある。なぜ変わらなければならないのか、どこを目指すのか。スタッフと対話し、納得を得る。その土台があって初めて、外部の専門家が力を発揮する。
答えはすでに分かっている
実は、多くの経営者は答えを知っている。「接客を改善しなければならない」「商品ラインナップを見直すべきだ」「スタッフ教育に投資すべきだ」。頭では分かっている。
しかし、実行できない。日々の業務に追われて手が回らない、やり方が分からない、踏み出す勇気がない。こうした場合、必要なのはコンサルタントではなく、実行力だ。
誰かに背中を押してほしくてコンサルタントを検討するなら、それは動機として弱い。まず自分で一歩踏み出す。小さくてもいいから始めてみる。それができないなら、コンサルタントを入れても同じことだ。
業態が単純で改善の余地が少ない
例えば、場所が全ての立地依存型ビジネス。駅前の好立地なら客は来るし、不便な場所なら来ない。この場合、コンサルタントができることは限られる。
あるいは、商品力が全てのビジネス。美味しければ売れるし、不味ければ売れない。シンプルな構造の場合、高度な戦略よりも、基本に忠実にやることの方が重要だ。
複雑な問題には専門家の知見が有効だが、シンプルな問題は自分たちで解決できる。わざわざ高い費用を払う必要はない。
コンサルを入れる前にやるべきこと
自分たちで現状分析する
売上データを見る、お客様の声を集める、競合店を視察する。こうした基本的な現状分析は、自分たちでできる。まずは自力でやってみる。その過程で具体的な疑問や課題が明確になる。
「この数字はなぜこうなっているのか」「競合店のこの取り組みは自分たちにも応用できるか」。こうした具体的な問いを持った状態でコンサルタントに相談すれば、より深い議論ができる。
何も考えずに「とりあえず見てください」では、コンサルタントも困る。ある程度自分たちで考え、分からない部分を明確にしてから専門家に頼るのが正しい順序だ。
書籍やセミナーで学ぶ
世の中には優れた経営書が溢れている。店舗経営、マーケティング、マネジメント。基本的な知識は本から学べる。また、商工会議所や業界団体が開催するセミナーも有益だ。
こうした学びに数万円投資することで、数十万円のコンサルタント費用を節約できるかもしれない。少なくとも、基礎知識を身につけてからコンサルタントと話す方が、議論の質は高まる。
ただし、本やセミナーで学んだことを実行に移すのが難しい場合は、やはり伴走者としてのコンサルタントが必要になる。
スタッフと対話する
現場のスタッフは、多くの問題に気づいている。「このオペレーションは非効率だ」「お客様からこんな要望が多い」「この商品はもっと前に出すべきだ」。しかし、言える雰囲気がなければ、その声は埋もれる。
まず、スタッフと本音で話せる場を作る。何が問題か、どう改善したいか。現場の知恵を引き出す。案外、コンサルタントが提案することの多くは、スタッフがすでに気づいていることだったりする。
良いコンサルタントの見極め方
もしコンサルタントを入れると決めたなら、誰に頼むかは重要だ。良いコンサルタントは、まず現場を見る。数字だけでなく、実際に店に足を運び、お客様の様子を観察し、スタッフと話す。
そして、一般論ではなく、その店に合った提案をする。「他の店でうまくいった方法」をそのまま押し付けるのではなく、その店の強み、弱み、状況を踏まえた戦略を練る。
また、魚を与えるのではなく、釣り方を教える。コンサルタントがいなくなった後も、自分たちで改善を続けられる力を育ててくれる。依存関係を作らず、自立を促すコンサルタントが良いコンサルタントだ。
逆に避けるべきは、最初から長期契約を求める、実績を明確に示さない、現場を見ようとしない、経営者の話を聞かずに一方的に話す、といったタイプだ。相性も重要だ。信頼できる、話しやすいと感じるかどうか。直感も大切にすべきだ。
費用対効果を冷静に見る
コンサルタント費用は月額数十万円から、案件によっては数百万円になることもある。この投資に見合うリターンが得られるか、冷静に判断する必要がある。
例えば、月額30万円のコンサルティングを6ヶ月契約すれば、総額180万円だ。この投資で、売上がどれだけ伸びると期待できるか。利益がどれだけ改善するか。具体的な数字で考える。
また、効果が出るまでの時間も考慮する。コンサルティングの成果は、すぐには現れないことが多い。半年、1年かけて徐々に改善していく。その間、継続的に投資できる体力があるかも重要だ。
自力でできることの限界を知る
一方で、自力だけでは限界があることも事実だ。特に、業界全体が変化している時期、店舗を拡大したい成長期、組織が煮詰まっている時期には、外部の力が必要になる。
「餅は餅屋」という言葉がある。専門家には専門家の価値がある。適切なタイミングで、適切な専門家に頼ることは、経営者の重要な判断だ。
ただし、それは自分たちでできることをやり尽くした後の話だ。安易に外部に頼るのではなく、まず自分たちで考え、動き、それでも越えられない壁に直面したとき。そのときが、コンサルタントを検討する適切なタイミングだ。
経営は総合力
結局のところ、店舗経営は総合力だ。商品力、接客力、立地、価格設定、マーケティング、組織運営。様々な要素が絡み合って、結果が生まれる。
コンサルタントは、その一部を改善する手助けをしてくれる。しかし、主役は経営者自身だ。店を良くしたいという情熱、スタッフへの思い、お客様への感謝。こうした心がなければ、どんな戦略も魂の入らないものになる。
コンサルタントを入れるか入れないかの判断も、結局は経営者の総合的な判断だ。自分の店の状況、課題、予算、タイミング。全てを考慮した上で、最適な選択をする。
まとめ
コンサルタントは万能薬ではない。入れれば全てが解決するわけでもなければ、入れなければ成長できないわけでもない。大切なのは、今の自分の店に何が必要かを見極めることだ。
基本ができていないなら、まず基本を固める。自分たちでできることがあるなら、まずそれをやる。その上で、専門的な知見が必要なとき、客観的な視点が必要なとき、変化のきっかけが必要なとき。そのときにコンサルタントは力強い味方になる。
最良の投資は、外部の知恵を借りながらも、最終的には自分たちで考え、決断し、実行できる組織を作ることである。
