飲食店を開業するタイミングで、もっとも多い相談のひとつが「予算はあるのに、なぜか開業後に資金が足りなくなる」というものです。
店が潰れる理由のトップに「資金ショート」が来るのは有名ですが、実は多くの場合、“売れなかったから潰れた”のではなく、開業前の使い方が間違っているだけです。
開業前は夢が膨らみ、気持ちも前向きで、財布の紐がゆるみがち。
しかし、飲食店経営は「初速の資金管理」が9割といっても過言ではありません。
この記事では、飲食店の開業支援に関わる中で何度も見てきた“やってはいけない3つの資金の使い方”をわかりやすく説明します。

- 落とし穴① 内装にお金をかけすぎる(=回収不能の沼)
- 落とし穴② 厨房設備を“業者の言いなり”で揃える(=不要設備の山)
- ■実は中古で十分なものも多い
- 落とし穴③ 予備費を残さない(=開業後1〜3ヶ月で資金ショート)
- まとめ:成功する店は“余白を作る”ことにお金を使う
落とし穴① 内装にお金をかけすぎる(=回収不能の沼)

開業初心者がほぼ100%と言っていいほど陥るのが、「内装への過剰投資」です。
もちろん内装は大事です。
特に “見た目で選ばれる”業態(カフェ・バー・スイーツ)では武器になります。
しかし問題なのは…
■必要以上に“オシャレ”を追求してしまうこと

飲食店は「見た目で勝負」と教える本が多いせいか、つい内装に予算を注ぎ込んでしまいがち。
・照明をアンティーク調にする
・壁一面を特殊塗装にする
・家具をすべてオーダーメイドにする
これらは確かに雰囲気は出ますが、
売上に直結することはほとんどありません。
実際にあった例ですが、開業資金800万円のうち、なんと600万円を内装に使ったカフェがありました。結果、開業後3ヶ月で資金ショート。理由はシンプルで…
▶ 内装はお客様を“1回”呼ぶ力しかない
▶ リピートを生み出すのは、味・接客・価格・回転率
だからです。
■結論:内装費の目安は「総額の30~40%以内」
これを超えると危険ゾーンに入ります。
むしろ小規模店なら20〜25%でも十分魅力的な店は作れます。
落とし穴② 厨房設備を“業者の言いなり”で揃える(=不要設備の山)

次に多いのが、厨房設備にお金を使いすぎるパターン。
業者の見積もりには
・大型コールドテーブル
・過剰なコンロ数
・性能の良すぎる製氷機
・実はほぼ使わないマルチ調理機械
などが盛り込まれがちです。
なぜこうなるかというと…
■厨房業者の「デフォルト見積もり」が大きすぎる
業者は当然ですが「売りたい」わけです。
そして多くの厨機メーカーは“飲食店経験がない”担当が提案します。
その結果、
「一般的な飲食店ならこれくらい必要でしょう」
という基準で見積もられるため、過剰設備になりがち。
しかし現実は…
▶ 小規模店は“効率の良い動線”だけ作ればOK
▶ 使わないコンロや冷蔵庫にお金が眠るだけ
飲食店は、使わない機械を買っても売上は上がりません。
■実は中古で十分なものも多い
・コールドテーブル
・製氷機
・フライヤー
・冷蔵ショーケース
これらは中古市場が豊富で、状態の良いものが手に入ります。
新品の3分の1〜半額で買える場合もザラです。
■結論:厨房設備は“メニューが決まってから”必要最低限で揃える
厨房を決めてからメニューを作る人がいますが、これは逆。
メニュー ⇒ 必要機材 ⇒ 厨房の配置
が正しい順番です。
落とし穴③ 予備費を残さない(=開業後1〜3ヶ月で資金ショート)

これが、実は最も危険です。
飲食店は開業してすぐに黒字化することはほぼありません。
地域の方に認知され、SNSで広がり、常連がつき、売上が安定するには 最低3ヶ月 かかります。
ところが、多くの人は開業準備でお金を使い切り、予備費(運転資金)を残さない。
その結果…
・仕入れが払えない
・人件費が払えない
・家賃が払えない
と、たった1回の赤字で資金が尽きるケースが後を絶ちません。
■最低でも「3ヶ月分の経費」を残す
開業資金1000万円あっても、実は 使っていいのは700万円 と考えるべきです。
残り300万円は
・家賃
・人件費
・光熱費
・仕入れ
・広告費
などに回す“生存資金”です。
これを残せなかった店は高確率で潰れます。
まとめ:成功する店は“余白を作る”ことにお金を使う

3つの落とし穴をまとめるとこうなります。
■❌ 失敗する店
内装にかけすぎ
厨房設備を買いすぎ
予備費を残さない
■⭕ 成功する店
最低限で魅力的に見える内装
メニューから逆算した厨房
3ヶ月分の運転資金
飲食店の開業は、“どこにお金をかけるか”より
“どこにお金をかけないか” が運命を分けます。
資金の使い方を間違えると、どんなに味が良くても、どれだけ情熱があっても、
店は続きません。
逆に、使い方さえ正しければ、多少の失敗があっても軌道修正できます。
開業を成功させる最大のポイントは、「余白を残すこと」なのです。
意外とできない「余白を残す!」気分的に舞い上がりついつい使ってしまう傾向があります。
