京料理に欠かせない高級魚である鱧(はも)ですが、どのような魚かご存知ですか?きれいな白身とは裏腹に、巨大で凶暴といった特徴もあります。
四国や、兵庫県などの瀬戸内、西日本の海でよく獲れるハモ。
ハモの旬は夏のイメージがある方が多いかもしれませんが、実は年に2回あります。
さっぱりとした味で7月~9月がピークの「夏ハモ」と、産卵後に食欲が増し、脂ののった「冬ハモ」です。
鱧(はも)とは
鱧は、ウナギ目ハモ科に属する魚です。ウナギ目に属しているだけあり、見た目はうなぎのように細長い円筒形をしていますが、うなぎよりもかなり大きく、凶暴な一面をもっています。鱧は比較的暖海性の魚で、日本だと本州紀伊半島以南に多く生息している魚です。
鱧の名前の由来
人を噛むほど凶暴であることから「食む(はむ)」が転じて鱧となったとする説や、鋭い歯をもっているため、「歯持ち」から由来するとみる説などがあります。
また、その凶暴さや外見からは想像がつかないほど、きれいな白身を持つ魚であるのも特徴です。身は脂ものっているので、淡白な旨味の中に濃厚な味わいを感じられます。
鱧(はも)の旬と産地
鱧は産卵を控えた暖かくなってきた6月〜7月あたりに旬を迎えます。産卵前の夏季あたりは脂がのっており、濃厚な身を楽しめますよ。
鱧産地は、主に西日本各地です。1番水揚げ量が多いのは兵庫県で、その次が徳島県となっています。
ハモの生態
ハモは比較的暖海性の魚で、本州紀伊半島以南に多く、日本海側ではほとんど見られない。ハモの産卵期は初夏から夏で、数回に分けて浮遊性卵を産む。詳しい生態はまだまだ不明な魚で、その夏の産卵期に外洋から瀬戸内海など沿岸に寄って来ると考えられている。
水深120m以浅の砂泥底に多く生息し、鋭い歯で魚類、エビやカニなどの甲殻類、イカ・タコなどの頭足類といった動物を捕食している。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は青森県深浦・川内・牛滝(稀)、新潟県佐渡~・福島県〜九州南岸の各地沿岸(瀬戸内海含む)、東シナ海海陸棚とされ、海外においては朝鮮半島西岸・南岸、遼寧省〜広西省の中国沿岸、海南島、台湾、ピーター大帝湾(稀)、インド-西太平洋、マリアナ諸島(稀)となっている。
鱧(はも)のカロリーと栄養
ここからは鱧に含まれているカロリーと栄養素について。
カロリー
可食部100g (生) あたりのカロリーは132kcalです。
たんぱく質
可食部100g (生) あたりのたんぱく質は22.3gです。
たんぱく質とは、アミノ酸の重合体のことで、筋肉や臓器、皮膚、毛髪など人体を構成している物質で、それだけではなくエネルギー源にもなっている必要な栄養素です。他にも豆や卵、肉類に多く含まれております。
たんぱく質は体内で合成できない栄養素なので、外から摂取する必要があります。
コラーゲン
固い皮や骨をもつハモは、化粧品にも利用されるほど多くのコラーゲンを含んでいます。
コラーゲンは肌や骨を支える物質となり、肌の老化を防ぎます。
カルシウム
可食部100g (生) あたりに含まれるカルシウムは79mgです。
カルシウムとは、人体に最も多く含まれているミネラルのことです。人体に含まれているカルシウムの99%は、骨や歯に存在しています。
カルシウムが不足すると骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化の原因にもなります。反対に過剰に摂取すると、高カルシウム血症や高カルシウム尿症などを引き起こすので注意が必要です。
ビタミンD
可食部100g(生)あたりに含まれるビタミンDは、5μgです。
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進したり、骨の成長を促進したりする働きを持つ脂溶性ビタミンです。健康な骨や歯を維持するために重要な要素を担っています。
他にも、ビタミンDには免疫機能を調整する働きがあるのが特徴です。体内に侵入したウィルスや細菌に対する過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する働きをしてくれます。
京都の祇園祭とハモ料理
京都の夏といえば祇園祭が全国的に知られていますが、観光にその時期京都に行かれた方も多いのではないでしょうか?そしてその時期旅館などで出されるのがこのハモ料理。
京都の中央卸売市場では一年でこの祇園祭のある7月16日、17日が一番高騰する時期です。2009年では、大きいものでキロ当たり4000円以上もの値が付いていました。
京都の文化とまで言われるようになった理由は、かつてその昔鮮魚を京都まで運ぶ技術が無かった頃、生きたまま京都まで運ぶことが出来た数少ない魚だったからだそうです。その為、他の地方ではそこまでして食べようともされなかったハモを、京都の料理人たちがどうすれば美味しく食べられるようになるのか研究し、今の技術が編み出されたそうです。