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japan-eat’s blog

食に関する事や飲食店の運営に関する内容を記載してます。

え?土を食べる?!なんで!土を!

土を食べる――そう聞くと驚く方も多いのではないでしょうか。「ピート」と呼ばれ商品化されているそれは、現在、有名料理店でも取り入れられるほど徐々に普及されつつあります。では「ピート」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

 

土を焼いて食べてみた

人生においてまさか食用の土を買う日が来るとは思いませんでした。いやまあ「こういう仕事をしていればいつか食べただろう」というのはあるのですが、しかしぼくはおそらく日本人の中でも指折りの土嫌いです。とくに口にするのは大嫌い。

土嫌いってなんやねん、普通に生きてたら土を嫌いになる機会なんてないだろ……と思うかもしれませんが、そんなあなたは一度でいいから「殻の中にヘドロをたっぷりため込んだオキシジミの死貝」を口にしてみてほしい。あらゆる泥・土に対する憎悪が燃え上がり、やがてその炎は我が身をも焼き尽くすであろう。
あとは泥抜きが全くなっていないシオフキガイで作ったかき揚げとか食べるとね、砂嫌いになります。

 

氷河と風が運んだ土

現在、戦禍の最中にあるウクライナには、世界で最も肥沃な土「チェルノーゼム」が分布しています。「ヨーロッパのパンかご」と呼ばれるほどの小麦の大産地であり、世界の食糧庫としての役割を担っています。ウクライナの小麦生産量(年間2500万トン)は約1億人分の食料に相当し、戦争によって輸出ができず、主な輸出先である中東・アフリカの食料不足・価格高騰を招いています。

なぜ、ウクライナの土は、ほかの地域よりも肥沃なのでしょうか。
それには3つの理由があります。

1つ目は地球の歴史が関わります

今から数百万年前の氷河期、北欧は雪に覆われ、その雪は夏でも溶けることなく固結して氷河となりました。今でも北極や南極、アルプスに見ることができます。

厚さ3キロメートルもの氷河が発達し「氷の河」のように流れることで、地面が削られました。また、地球上の水が氷河に集まることで地球全体が乾燥し、植物による地面の被覆が少なくなります。すると、細かな肥沃な土が風に飛ばされます。北欧で削られた土は、風に乗ってはるばるウクライナを中心として東欧に堆積しました。

チェルノーゼム地帯は、氷河期に北欧から肥沃な土を受け取ることのできた地域に多く分布します。今から1万年前、地球が温暖になると草原が繁茂し、さらに肥沃な黒い土へと発達しました。

ウクライナ民話『てぶくろ』の森2つ目は気候です。

ウクライナの首都(キーウ)の年降水量(約650ミリメートル)は、日本の降水量(約1700ミリメートル/年)の半分以下で、半乾燥地と呼ばれます。ただし、年平均気温は12℃。日本でいえば、仙台と同じくらいです。

雨の多い日本では森林になりやすいですが、雨の少ない東欧から中央アジアでは草原の広がるステップ、あるいは森林と草原がパッチ状に分布する森林ステップと呼ばれる景観になります。ウクライナ民話『てぶくろ』の舞台は、キーウ周辺の森林ステップの景観です。ウクライナ西部よりも乾燥する東部は、草原の広がるステップになります。

雨が多いと土は酸性に傾き、雨が少ないと土は中性~アルカリ性になります。酸性の土よりも、中性の土で作物はよく育ちます。ウクライナのチェルノーゼムは、作物の栽培にとってちょうどよく、表土は中性です。

ナチスドイツも困らせた春のぬかるみ

ウクライナには、「夏、バケツ1杯の水がスプーン1杯の泥になる。冬、スプーン1杯の水がバケツ1杯の泥になる」(「夏は多く雨が降ってもすぐに土が乾き、冬は少しの雨でもぬかるみになりやすい」という意味)ということわざがあります。降水量は夏に増加するものの、植物による蒸散や蒸発が活発化するため、夏の土はむしろ乾燥します。

冬将軍に加えて「泥将軍」によって、戦局は泥沼化したのです。今回のロシアの侵攻が雪解け前だったこと、侵攻経路が舗装された幹線道路に限られたことにも土が関わっています。

チェルノーゼムの成り立ちに話を戻すと、梅雨から夏にかけて食べ物が腐りやすいように、微生物の有機物を分解する微生物の活動は、蒸し暑い環境で活発化します。ところが、ウクライナでは、高温の夏に土が乾燥することで微生物の活動が低下します。冬の間、雪に覆われた土は湿潤ですが、寒くて元気が出ません。

草原は毎年多くの根を生産し、枯死根を土にもたらしますが、微生物の分解はゆっくりです。結果として栄養分が土に貯蓄されていくのです。これがチェルノーゼムに多くの腐植(有機物)が蓄積する理由です。高温湿潤な熱帯雨林で有機物が急速に分解され、蓄積しにくいのとは大違いです。

土を耕す生き物たち3つ目の要因が、生物です。

カルシウムの多い半乾燥地の土では、ミミズの活動も活発になります。ミミズが植物遺体と土をまるごと食べてフンをすることで腐植と粘土との団結力が高まり、ころころっとした団子(団粒)となります。

これによって、土はフカフカになり、通気性、排水性にも優れた土となるのです。さらにジリスやモグラが巣穴を土の中に掘ることによっても土が耕されます。土壌動物が深くまで土を耕す1万年の営みがフカフカした黒い土を作りました。

氷河期の風に運ばれた細かな土、草原の根、夏に乾く気候、ミミズやジリス、モグラという多くの条件がそろった場所でチェルノーゼムが生まれました。
チェルノーゼムとは、奇跡の産物だったのです。

 

そもそもピートとは?

そもそも皆さんは「ピート」をご存知ですか?

ピートとは、枯れた植物が1万年ほどの時間をかけて発酵、熟成してできた泥炭のこと。あまり聞き慣れない言葉ですが、お酒好きの方にとっては実は馴染み深い存在と言えるかもしれません。

というのも、ピートはモルトウイスキーのスモーキーな香りを造るのに欠かせない材料なんです。麦芽を乾燥させるのにピートを燻した煙が使われるため、あの特徴的な香りが生まれわけです。これをウイスキー愛好家たちは「ピート香」と呼ぶので、聞いたことがあるかもしれませんね。入手しやすい代表的なウイスキーとして、ラフロイグ・アードベッグ・ボウモア・タリスカーなどがありますよ。

その他にも医療用や美容用、土壌改良など、用途が多岐にわたるすごい材料なんです!

 

食べられるピートとは?

そんなウイスキー造りなどさまざまな用途で使われているピートですが、なんと「AHE エキストラクト・ピート・パウダー」という食べることを可能にしたものがあるんです。
この「AHE エキストラクト・ピート・パウダー」とは世界初の商品で、オーストリア政府が医療用として公認している「ヒーリングピート」から有効成分だけを抽出し、パウダー化したもの。

 

気になるその味は?

見た目は真っ黒のピートですが、いったいどのような味なのかが気になるところ。
実はインパクトのある見た目とは裏腹に、ピート自体にはほとんど味も匂いもないんです。

 

ピートの効果とは?

料理の味を良くする以外にも、ピートを料理に取り入れるメリットは多くあります。

冒頭ではピートを「泥炭」と説明しましたが、実際は炭や泥というよりも「酵素」という言葉のほうが適切かもしれません。

その理由はピートが含むミネラルの性質にあります。鉱物由来のミネラルは吸収率が1割程度ほどであるのに対し、ピートに豊富に含まれるミネラルは植物由来で、その吸収率は数倍以上と言われているんです。

身体の組織を作ったり代謝を助けたりと、人間にとって非常に重要な栄養素であるミネラルですが、体内で生成することができないため、効率良く植物由来ミネラルを摂取できるピートは身体にも良いんですよ。特に、ベジタリアンの方々をはじめ日本人全体が不足しがちとされている鉄分やカルシウムが豊富。

さらに、フルボ酸やフミン酸、そして食物繊維は5割程度も含まれていて、腸活を含むフェムケアにも効果が期待されており、ピートを食べるとまさに良いこと尽くし︕

 

ピートは栄養豊富で料理を美味しくしてくれる!

土を食べると聞くと抵抗があるかもしれませんが、ピート自体にはほとんど味がなく、料理の味をより良くするようなはたらきをしてくれます。それだけでなく、身体の内側にも外側にもはたらきかけてくれる万能な食材なんです。

 

 

 

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