南国フルーツの中では比較的手に入りやすく、お値段も手頃な『パイナップル』。
沖縄県産・鹿児島県産などは春~夏にかけて旬を迎えるほか、台湾産やフィリピン産などの輸入ものであれば季節を問わず一年中購入することができます。
ジューシーで甘酸っぱい果肉をひと口頬張れば、気分は一気にトロピカル!
強い甘みがありながら後味はさわやかで、いくらでも食べられる美味しさです。
- パイナップルとは
- パイナップルの主な栄養と効能
- パイナップルの酵素が風邪に効く?
- お肉の消化を助ける効果も
- 妊婦さんにもおすすめ
- 栄養を逃さないパイナップルの食べ方
- 加工法別に比較!パイナップルのカロリー&糖質
- パイナップルの栄養価を加工方法ごとに徹底比較
- パイナップルはこんな人におすすめ!
パイナップルとは
パイナップルは、ブラジル原産のフルーツです。
日本へは、江戸の末期頃に入ってきました。
パイン(松かさ)のような形で、味はアップル(りんご)のようだと命名されたとか。
ひと昔前までは、パイナップルといえば缶詰くらいしかありませんでした。
最近では、生のパイナップルが1年中店頭に並ぶようになっています。
パイナップルは、ビタミンや消化酵素が豊富に含まれている果物です。
デザートだけでなく、料理にも幅広く使われています。
美容と健康のためにも、パイナップルを積極的に食べましょう。
パイナップルの主な栄養と効能
ここでは、パイナップルに含まれる代表的な栄養素と効果・効能。
パイナップルの栄養にまつわる噂の真偽についても解説します。
ダイエットや美容に効果的
パイナップルには、ダイエットや美容にうれしい次のような成分が豊富に含まれています。
食物繊維
おなかの調子を整える食物繊維は、パイナップルに含まれる代表的な栄養素。
ダイエットや美肌の大敵とされる便秘を予防・改善し、体を内側からケアしてくれます。
カリウム
パイナップルに含まれるカリウムは、細胞内液の浸透圧を調節するミネラル。
体内の過剰なナトリウム(塩分)や、皮下脂肪にため込まれた余分な水分を体外に排出し、むくみを解消する効果があります。
ビタミンC
パイナップルには、美肌成分のエース・ビタミンCもたっぷり。
抗酸化作用で紫外線ダメージや毛穴の開きを軽減したり、ニキビを改善したりする効果が期待できます。
コラーゲンの合成を促す働きもあるので、肌のハリ・ツヤを保つのにも必要な成分です。
βカロテン
パイナップルに含まれるβカロテンや、βカロテンからつくられるビタミンAの抗酸化作用は、アンチエイジングに効果的。
ビタミンCと同様に、肌の細胞を若々しく保つ手助けをしてくれます。
クエン酸
クエン酸は、疲労回復に効果が期待される成分として知られています。
クエン酸は、食べたものをエネルギーに変えて、疲労を回復させます。
また、血液をサラサラにする働きがあり、疲労物質を洗い流してくれます。
ブロメライン、ブロメリン
ブロメライン、ブロメリンは、タンパク質分解酵素です。
酢豚など肉料理にパイナップルがよく使われますが、これはタンパク質分解酵素で肉を柔らかくするためです。
ブロメライン、ブロメリンで柔らかくなった肉は、消化しやすく胃の負担を軽減します。
ただし、分解酵素は熱に弱いという性質を持っています。
加熱する前の下ごしらえで使うのがコツです。
パイナップルの酵素が風邪に効く?
「風邪のときはパイナップルを食べるといい」という話を耳にしたことはありませんか?
なんだか怪しい噂話のようですが、実はこの話は本当。
パイナップル特有のブロメライン(ブロメリン)という酵素には抗炎症作用があり、喉の痛みや咳など、風邪の諸症状を抑える効果があることが明らかになっています。
お肉の消化を助ける効果も
パイナップルに含まれるブロメラインは、タンパク質分解酵素の一種。
肉などのタンパク質の分解を助け、消化を促進するので、胃もたれや消化不良を起こしにくくなります。
パイナップル果汁に生肉を漬け込むなど、パイナップルと肉を一緒に調理すると、肉そのものをやわらかくしてくれる効果も。
酢豚やステーキなどの肉料理とパイナップルの組み合わせは、味だけでなく栄養面から見ても合理的であることがわかります。
妊婦さんにもおすすめ
妊娠経験のある方なら、「妊婦はパイナップルを食べちゃダメ」「パイナップルを食べると流産する」などという話を知っている方も多いはず。
これには明確な根拠がなく、実際には妊娠中にパイナップルを食べてもまったく問題ないといわれています。
むしろ、胃液の分泌を活発にするブロメラインがつわり中の食欲アップに役立ったり、食物繊維が妊娠中に陥りやすい便秘を改善してくれたりと、メリットがたくさん。
さっぱりしていて食べやすいのも、妊婦さんにはうれしいポイントです。
栄養を逃さないパイナップルの食べ方
生で食べるのはもちろん、缶詰やジュース、ジャム、ドライフルーツなど、パイナップルは加工品のバリエーションも豊富。
栄養を余すことなく摂取するためには、どんなものを食べるのがいいのでしょうか?
缶詰・ジュースは効果減!生で!
パイナップルに含まれているブロメラインは、およそ60℃以上の熱で活性を失ってしまいます。
そのため、製造工程で加熱・殺菌される缶詰やジュースなどではブロメラインの効果を期待することができません。
活性を保ったままブロメラインを摂取したいなら、生で食べるのが一番。
ドライフルーツも高温で製造されている場合があるので、できれば低温乾燥のものを選ぶのがおすすめです。
料理に入れるときはサッと加熱
パイナップルを料理に使うときも、加熱によるブロメラインの損失に注意。
よく焼いたり煮込んだりしてしまうと、せっかくのブロメラインが失活してしまいます。
酢豚の場合、パイナップルは出来上がり直前に加え、軽く混ぜ合わせるくらいでOK。
ステーキやソテーの上にトッピングするパイナップルも、肉を焼いた後の余熱でサッと焼く程度がベストです。
冷凍パイナップルは栄養そのまま
ブロメラインの働きは冷凍されると一度停止しますが、その後自然解凍されることで活性がよみがえります。
凍らせてもブロメラインが無駄になることはないので、一度に食べきれないパイナップルは冷凍保存するのもおすすめです。
栄養豊富な芯も食べよう
ものによってはかたくて食べにくいことから、カットの段階で取り除かれることが多いパイナップルの芯。
ブロメラインはこの芯の部分に多く含まれているので、できれば芯も捨てずに食べてみてください。
そのまま食べるのが難しい場合はスムージーにするなど、アイデア次第で美味しくいただくことができます。
加工法別に比較!パイナップルのカロリー&糖質
パイナップル100gあたりのカロリー・糖質
加工法 | カロリー[kcal] | 糖質[g] |
生 | 54 | 12.5 |
缶詰 | 76 | 19.8 |
濃縮還元ジュース | 45 | 11.1 |
生のパイナップルのカロリーは、100g(およそ7~10切れ)あたり54kcal。
生で食べれば比較的低カロリーといえますが、砂糖がたっぷりと使われている缶詰ではカロリーが1.4倍ほどアップします。
濃縮還元ジュースの100gあたりのカロリーは生より低く見えますが、コップ1杯がおよそ200gであることを考えると、決して低カロリーとはいえません。
また、ほかの多くの果物と同様にパイナップルの糖質は高め。
加工方法にかかわらず、糖質制限中の人は食べすぎに注意する必要があります。
パイナップルの栄養価を加工方法ごとに徹底比較
生のパイナップルは酵素活性が高い
パイナップルの栄養素を100%摂取したいと思うなら、生が一番です。
パイナップルに含まれるタンパク質を分解する消化酵素は、熱に弱いからです。
加熱してしまうと酵素が壊れてしまい、効果が薄れてしまいます。
パイナップルの缶詰や濃縮ジュースは、製造過程で熱を加えているため、酵素効果は失われています。
冷凍パイナップルはスムージーにしやすい
パイナップルを冷凍すれば、そのままスムージーとして楽しむことができます。
冷凍パイナップルとヨーグルトをキサーで攪拌するだけです。
冷たくて、サッパリとしたスムージーが簡単に作れます。
缶詰のパイナップルはシロップを飲むと糖質過多
缶詰のパイナップルは、そのまま切らずに食べられるので便利です。
ただし、パイナップルの缶詰に使われているシロップは多量の糖分が含まれています。
そのため、糖質やカロリーが生のパイナップルよりも高くなります。
ダイエット中は、缶詰よりも生のパイナップルを食べるようにしましょう。
パイナップルジャムは糖質の摂りすぎに注意
ジャムは、保存食です。
腐らないように大量の砂糖を使います。
パンに塗るなど、スイーツ感覚で食べるのならば問題はありません。
しかし、生のパイナップルのようにフルーツとして食べるのは、糖質過多になるので注意しましょう。
ドライパイナップルは栄養素が凝縮している
生のパイナップルを乾燥させたドライパイナップルは、栄養素が凝縮されています。
とくに、クエン酸は凝縮されているので、少しの量を食べても十分摂取できます。
クエン酸は、疲労回復や熱中症予防にも効果があります。
ドライパイナップルなら、夏バテや熱中症予防のために持ち運ぶことができます。
パイナップルはこんな人におすすめ!
パイナップルの効果はいろいろあります。
以下のようなことで困っているようなら、ぜひパイナップルを試してみてください。
胃もたれする人
胃もたれする人は、消化酵素が少なくなっているのかもしれません。
とくに、年齢とともに肉を食べると胃もたれするという方が増えてきます。
肉のタンパク質の分解を助けてくれる消化酵素が必要になります。
パイナップルには、ブロメラインという消化酵素が豊富に含まれています。
肉とパイナップルを一緒に食べることで、消化吸収がよくなり、胃もたれを防いでくれます。
お腹が張る人
お腹の張りは、胃の中のタンパク質が原因かもしれません。
パイナップルは、胃の中のタンパク質の消化を促すブロメラインという消化酵素が含まれています。
また、便秘でお腹が張るという人は、パイナップルに含まれる食物繊維が役立ちます。
腸にある老廃物をスムーズに排出し腸内環境をよくするため、ガスが溜まることもなくなります。
血圧が高めの人
パイナップルには、カリウムが多く含まれています。
カリウムは血圧をコントロールする栄養素です。
塩分の摂り過ぎによる血圧上昇は、カリウムを摂取することでバランスを取り、高めの血圧を正常にします。
むくみがある人
むくみの原因は、ナトリウムの摂り過ぎです。
ナトリウムは、体内の水分を溜め込む性質があります。
パイナップルに多く含まれるカリウムや食物繊維で余分なナトリウムを体外に排出しましょう。
老化を予防したい人
パイナップルには、βカロテンが多く含まれています。
βカロテンは、体内に入るとビタミンAに変換されます。
ビタミンAは、非常に抗酸化作用が強いため、老化の原因である活性酸素を除去します。
ビタミンCも多く含まれているため、同じように活性酸素を除去する効果があります。
コラーゲンの生成も促すため、ハリのある肌を保つことができます。
パイナップルは、老化予防に適している食材といえそうです。
皮膚をきれいにしたい人
パイナップルには、肌の調子を整えるビタミンCが多く含まれています。
紫外線による活性酸素を除去し、シミやソバカスなどを防ぎます。
また、ビタミンB1には新陳代謝を促す働きがあります。
ターンオーバーを正常に保ち、肌荒れなどを防ぐ効果があります。