なめこと言えばぬめりがあって、つるつるとした食感が特徴のきのこです。味噌汁に入れることが多いなめこですが、どのような栄養があるのでしょうか。一般的にきのこは洗わずに調理しますが、ぬめりのあるなめこは洗ったほうがいいのかも気になりますね。
- なめことは
- なめこの歴史
- なめこによく似た危険なきのこが
- なめこの産地・旬
- なめこの栄養について
- なめこの選び方
- なめこの下ごしらえ
- なめこの保存方法
- なめこに含まれる栄養
- なめこの栄養を上手にとるコツ
- こんな方におすすめ
なめことは
なめこはモエギタケ科スギタケ属の日本原産のきのこです。なめこはしめじやえのきのように株が付いたままの株付きなめこと、石づきを切り落してバラバラの状態で袋に入っている袋売りなめこがあります。
なめこの歴史
日本が原産のなめこは、昭和の初期までは主にブナなどの広葉樹の倒木や切り株に自生している、天然のなめこが食用とされていました。最近は人工栽培で生産されていますが、なめこの原木栽培が始まったのは大正時代といわれており、菌床栽培の技術が確立されたのは第二次世界大戦後です。現在スーパーなどで売られているなめこは、ほとんどが菌床栽培によって生産されたものです。
なめこの名前は、特有のぬめりから「滑らっ子(ヌメラッコ)」となり、そこから「なめこ」といわれるようになりました。
なめこによく似た危険なきのこが
きのこは、毒を含んだものがおおいこともよく知られています。なにも知らずにきのこ狩りに行ってたいへんな目に、なんてことも想定できるので、必ず知識のあるプロの方に同行してもらう必要がありますね。
毒きのこのなかには!
なめこによく似たものもあります。ひとつは『ニガクリタケ』です。2~5cm程度の小型のきのこであり、広葉樹などの枯れ木や倒木などに群生しています。食後3時間程度で激しい腹痛や嘔吐、下痢などの症状が起こり、重症の場合は痙攣やショック症状などが現れて死に至ることもあります。
もうひとつは『コレラタケ』です。こちらも2~5cm程度のきのこであり、秋頃に古い朽ち木やおがくず上に発生します。激しい下痢や嘔吐と脱水症状が起き、正しい処置をしないと死亡率の高い猛毒きのこです。
きのこのもつ毒のおおくは危険な場合が多いので、必ず専門家の指示に従いましょう。
天然物
全国各地のブナやナラなどの広葉樹で採れますが、食用として流通されているものはほとんどが栽培されたものです。なめこの栽培方法は原木栽培と菌床栽培の2通りです。原木栽培はブナ、カエデなどの原木に穴を開けて種菌を植えて栽培する方法です。
菌床栽培
おがくずと米ぬかなどの栄養をブロック状にしたもの(菌床)に種菌を植えて栽培する方法です。現在流通しているのは、ほとんどが菌床栽培のものです。
なめこ特有のぬめりは、水溶性食物繊維である「ペクチン」によるものです。
なめこの産地・旬
なめこの主な生産地は山形県、長野県、新潟県です。原木栽培のものの旬は9〜11月頃ですが、菌床栽培のものは通年流通しています。
なめこの栄養について
ここからはなめこの栄養について見ていきましょう。
なめこのカロリー・三大栄養素
なめこのカロリーと三大栄養素はご覧の通りです。
・なめこ(生)可食部100gあたり
カロリー:21kcal
たんぱく質:1.8g
脂質:0.2g
炭水化物:5.4g
炭水化物が最も多く含まれており、脂質が最も少なくなっています。
※なめこは株付きの栄養価を算出しております
カリウム
なめこに含まれているカリウムは以下の通りです。
・なめこ(生)可食部100gあたり 240mg
カリウムとは人体に必要なミネラルの一種です。体内で浸透圧の調節に働き、 体内のナトリウムの排出を手助けする作用があるため、塩分のとりすぎを調節してくれます。
食物繊維
なめこに含まれている食物繊維は以下の通りです。
・なめこ(生)可食部100gあたり:3.4g
食物繊維は食べ物の中に含まれており、人の消化酵素で分解することのできない栄養素です。
整腸作用など身体の中で様々な働きをすることが注目されるようになり、「第6の栄養素」として知られています。
なめこの選び方
株付きなめこはかさが開いていない肉厚なものを選びましょう。袋売りなめこは粒の大きさが均一でゼリー状の部分が濁っておらず、袋が膨張していないものが新鮮です。
なめこの下ごしらえ
なめこは軽く水洗いをしてから使います。なめこの下ごしらえは水で洗う方法とお湯で洗う方法があります。
水で洗う方法は、ボウルにざるをのせてからなめこを入れ、たっぷりの水を加えます。なめこをほぐすように軽く洗って、水気を切ります。
お湯で洗う方法は、耐熱容器にざるをのせてからなめこを入れ、たっぷりのお湯を加えます。菜箸などを使って、なめこをほぐすように軽く洗って水気を切ります。
なめこの保存方法
なめこの保存方法は株付きなめこと袋売りなめこで異なります。株付きなめこは、まずなめこの根元を切り落としほぐします。保存袋に入れてしっかりと空気を抜きながら袋の口を閉じて冷蔵庫またはチルド室で保存します。
袋売りなめこは、保存容器になめこを入れて表面に密着するようにぴったりとラップをしてふたをします。冷蔵庫またはチルド室で保存して下さい。
なめこに含まれる栄養
・免疫力を高める!βグルカン
きのこに多く含まれている食物繊維の一種で、糖質や脂質の吸収を抑える効果や整腸作用が期待できます。また、体の免疫力を高めてがん細胞の増殖を抑制する効果もあると言われており、がん予防にも効果が期待されています。
・生活習慣病予防にも効果的!ペクチン
なめこ独特のネバネバのもとになっている成分のひとつがペクチンです。ペクチンは食物繊維の一種で、血糖値の急な上昇を防ぎ、コレステロール値を下げる働きがあります。また、腸内環境を整えて生活習慣病の予防、改善にも効果が期待できます。
・関節痛の改善にも効果的!コンドロイチン
なめこのぬめり成分にはわずかですが、コンドロイチンも含まれています。軟骨を構成する成分の一つで、組織に保水性や弾力性を与える働きがあり、関節のスムーズな動きを助ける効果があります。また、高い保水力があることから美肌効果も期待できます。
・むくみの解消に!カリウム
カリウムは体の水分バランスを保ち、ナトリウムを排出して正常な血圧を保つ効果があり、高血圧予防に効果が期待できます。また、体内の余分な塩分を排出することからむくみの解消にも効果があります。
・三大栄養素の代謝に関わる!ナイアシン
ナイアシンはビタミンの一種で、糖質、脂質、たんぱく質の代謝に関わりエネルギーを作るのに欠かせない補酵素として働きます。また、皮膚や粘膜の健康を保つ働きもあります。さらに、アルコールの分解にも欠かせないビタミンです。
・糖質、脂質の代謝を助ける!パントテン酸
パントテン酸はビタミンの一種で補酵素であるコエンザイムAを作る原料となり、糖質や脂質をエネルギーに変える働きがあります。また、ストレスを和らげる副腎皮質ホルモンの働きを助ける効果も。さらに、コラーゲンの生成に関わっているビタミンCの働きをサポートして皮膚や髪の健康を保つ効果もあります。
なめこの栄養を上手にとるコツ
・サッと洗ってから調理する
なめこには汚れがついている可能性があるため洗ってから調理しますが、ぬめりの中にはうま味成分や栄養も含まれているので、長時間洗わないことが栄養を逃さないためのポイントです。ザルに入れて、サッと洗う程度にしましょう。
・汁ものにして食べる
なめこにはナイアシンなどの水溶性の栄養素が含まれています。栄養をムダなく摂取するためにはスープやお味噌汁など、汁ごと食べられる料理にするのがおすすめです。
・魚と一緒に食べる
なめこにはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれています。カルシウムが豊富に含まれている小魚などと一緒に食べることでカルシウムを効率よく吸収でき、骨粗しょう症予防にも効果が期待できます。なめこのおろし和えにちりめんじゃこやしらすを加えるもの手軽でおすすめです。
・おつまみに食べて二日酔い予防
アルコールの分解に欠かせないナイアシンが豊富に含まれているので、二日酔い予防にも効果が期待できます。なめこのおろし和えやなめこの和え物、なめこのあんかけなどをおつまみに取り入れてみてはいかがでしょうか。
こんな方におすすめ
○免疫力を向上させたい方
○生活習慣病を予防したい方
○胃の健康を保ちたい方
○ドライアイでお悩みの方
○腸内環境を整えたい方
○便秘でお悩みの方