“食欲の秋”という言葉がありますが、秋はたくさんの美味しい食材が旬を迎えます。
旬の食材は、大地のエネルギーをたっぷり含み、栄養成分が豊富で、
その時期に合わせて、私たちの体調を整える働きがあります。秋の食材は、夏の暑さで弱った胃腸を回復し、体を温めてくれる効果があります。
なぜ旬の食材がいいのか
“旬”とは、その食材を最もおいしく食べられる時期のことを指します。
旬の時期は、味だけでなく栄養価が高くなる食材が多く、また、流通量が増えるため食材の値段が安価になりやすいという特徴があります。
秋が旬の食材と言えば、キノコ類やサツマイモが代表的です。
キノコ狩りや芋掘りはこの時期人気のイベントですね。
キノコは年間を通してスーパーで買うことができる食卓に欠かせない食材ですが、自然に生育するキノコの旬は主に秋です。
サツマイモは早いものでは8月ごろから収穫されますが、収穫直後は甘くないため1~2カ月程度熟成させた後、秋から冬にかけて売り場に並ぶことが多いようです。
秋が旬の食材に含まれる栄養と疲労への効果
秋に旬を迎えるキノコは多く、代表的なものを挙げるとマツタケ、シイタケ、シメジ、マイタケ、ナメコなどがあります。
また、キノコに含まれる栄養素にはビタミンB群やビタミンD、カリウムなどさまざまありますが、今回特に注目したいのはビタミンB群です。
ビタミンB群には、栄養素の代謝を助けるとともに、神経を正常に保ち健康維持を助ける働きがあり、疲労回復を促します。
同じく秋が旬のサツマイモの栄養素は、エネルギー源となる糖質が豊富です。
そのほかには食物繊維やビタミンCなどが含まれています。
ビタミンCは体内でさまざまな働きをする重要な栄養素です。
例えば抗ストレス作用をもつホルモンの合成や、鉄分の吸収にも関わっているため、疲れにくい体を作るために欠かせない栄養素といえます。
ビタミンCは熱に弱い栄養素ですが、サツマイモのビタミンCはでんぷんに守られているため、比較的熱に強いことがわかっています。
また、ビタミンB群やビタミンCなどの水溶性ビタミンは体の中にためておくことができないため、こまめに摂取する必要があります。毎日の食事のなかで、意識して継続的に摂取しましょう。
野菜
●根菜類
・さつまいも
食物繊維、ビタミンC、ビタミンEが豊富。特にいも類に含まれるビタミンCは、加熱しても壊れにくく、じっくり加熱することで甘みが増す。
子供も大好きなさつまいも。
ビタミンCが豊富で、皮には抗酸化作用のあるアントシアニンやがん予防の効果があるポリフェノールが含まれています。
じゃがいも同様、ビタミンCは水に溶けやすいという性質があるので、皮ごと食べる「焼いも」が効率よく栄養素を摂取できます。
・里いも
水分が多く、いも類の中では低カロリー。里いもの粘りは「ガラクタン」という成分によるもので、血中のコレステロールの付着を防ぎ、血圧を下げる効果があるとされている。
里いも特有のぬめりに栄養が豊富にあるため、ぬめりをおとさないように調理するのがポイント。
人参、かぼちゃ、大根、豆腐と里いもの組み合わせで作る「けんちん汁」は、便秘、高血圧、糖尿にも効果的な一品です。
・じゃがいも
春と秋の年2回収穫の時期を迎え、秋のじゃがいもはでんぷんの量が多くホクホクとした食感。「畑のりんご」と呼ばれるほどビタミンCを多く含む
余分な塩分を排出する作用があるカリウムや、腸の働きを活発にする食物繊維も豊富
●きのこ類
・しいたけ
日光に当てるとビタミンDに変化するエルゴステロールを多く含むので、調理前には天日干しするのがおすすめ
・しめじ
「香りまつたけ、味しめじ」といわれるように、旨みが強いのが特長です。
きのこの中でも特に、野菜や果物からの摂取が難しいビタミンD、疲労回復に効果的なビタミンB群が豊富
・まいたけ
免疫機能がアップするβ-グルカンが多く、ガンや高脂血症の予防効果でも注目されている
脂質をエネルギーに変えるビタミンB2はキノコの中でも特に多く含まれている
・なす
ほとんどが水分だが、抗酸化作用を持つアントシアニン(ポリフェノール)や食物繊維を多く含む
・かぼちゃ
リウム、カロテン、ビタミンCを豊富に含む。「冬至にかぼちゃを食べると風邪を引かない」といわれるほど、栄養価の高い
くだもの
・柿
1個で1日分のビタミンCが摂れるといわれているほど、ビタミンCが多く、みかんやレモン果汁よりも多く含まれている
二日酔いの予防にも効果があるといわれているが、飲酒の前に食べておく方が効果が高いともいわれている。実だけでなく葉にもビタミンCが多い
・梨
アスパラギン酸、クエン酸、リンゴ酸など疲労回復作用のある酸が豊富
・ぶどう
糖類の中でもっとも吸収のよいブドウ糖が主成分のため、疲労回復に最適な果物です。酸化作用のあるポリフェノールは、皮や種に多く含まれているので、皮ごと摂ることが理想的
種も栄養価が高いため、種を使ったグレープシードオイルを使うこともおすすめ
魚類
・鮭
消化・吸収のよい良質のたんぱく質やビタミン類を含む。身に含まれる赤の色素はアスタキサンチンと呼ばれ、ビタミンEの約1000倍という強い抗酸化力を持っている
・鯖
9~10月頃に獲れるものを「秋鯖」と呼び、脂がのった秋鯖は、DHAやEPAをより多く含んでいる
・秋刀魚
秋の食材の代表格。脂には動脈硬化や血栓予防、抗アレルギー効果、生活習慣病予防にも役立つDHAやEPAが多く含まれ、たんぱく質、ビタミンB12、カルシウム、鉄分など栄養バランスも優れている
木の実
・栗
栗の渋皮にはポリフェノールのタンニンが含まれ、ガン予防や動脈硬化予防に効果が期待されている
・ぎんなん
抗酸化作用があるβ‐カロテンやビタミンC、ビタミンEのほか、カリウムやマグネシウムなどのミネラルをバランスよく含む。
古くから滋養強壮に効果があるとされ、漢方薬にも使用されてきた。カリウムも多く含んでいて、血圧を正常にする働きがある。
食べ過ぎると中毒を起こす人もいるため1日5~10粒が目安
レンジで超簡単!キノコと秋鮭のバター蒸し
- 生鮭:2切れ
- マイタケ:1/2パック
- シメジ:1/2パック
- バター:10g
- 酒:大さじ1
- 塩:適量
- ポン酢:適量
1.マイタケとシメジは石づきを取り除き、ほぐしておく。
2.耐熱皿に、塩をふった生鮭と、①のマイタケとシメジを入れ、酒をかける。バターを入れてラップをかけ、電子レンジ600Wで5~6分加熱する。
3.②を皿に盛り付け、ポン酢をかける。
秋の朝食に!サツマイモの味噌汁
やさしい甘さのサツマイモが主役の、肌寒い朝にぴったりのお味噌汁。朝食で体を温め、活動的に1日を過ごしましょう。
材料:2人分
- サツマイモ:100g
- 油揚げ:1/2枚
- だし汁:400ml
- 味噌:大さじ1.5
作り方
1.サツマイモは一口大の乱切りにする。油揚げは油抜きし、短冊切りにする。
2.鍋にだし汁とサツマイモを入れて中火にかける。
3.サツマイモが柔らかくなったら、油揚げを加えて味噌をとく。