爽やかな香りでそうめんや冷奴の薬味として人気の「大葉」。しそと呼ばれることもありますよね。しそには青じそと赤じそがありますが、実は大葉と呼ぶのは青じそだけなんです。
- 「大葉」と「しそ」は同じもの?
- 大葉は「青じその葉」のみを指す
- しそは総称
- 同じなのに別名なのはなぜ?
- しそと呼ぶ地域
- 近畿地方では大葉と呼ぶ割合が多い
- しその芽ってどこ?
- 使い方による呼び方の違いも
- ジュースやドレッシングは「しそ」
- 料理の素材なら「大葉」
- 赤と青で違う!しその種類
- 実は旬も違う?
- 保存方法
- 大葉に含まれる主な栄養素
- 大葉の栄養と効能
- 鶏ささみと大葉の生春巻き
- ほぐし焼きあじと大葉のおにぎり
- 大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【冷蔵】
- 大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【冷凍】
- 大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【乾燥】
- 大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【塩・醤油漬け】
「大葉」と「しそ」は同じもの?
しその一部が「大葉」であり、大葉としそは厳密には同じものではありません。大葉もしそも同じ葉の呼び名ですが、その葉を野菜として捉えるか、植物として捉えるかによって呼び名が変わります。
大葉は「青じその葉」のみを指す
大葉とは青じそを葉の形状のまま、香味野菜として使用する場合のみに使われる呼称です。食用の香味野菜として販売されるときは大葉と呼び、植物としての「青じそ」の葉を指すときには大葉と呼びません。
「青じそ」のように葉が緑色のしそには、縮れのある「チリメンアオジソ」や、葉の表面が緑色で裏面が紫色の「カタメンジソ」などの品種があります。大葉とは、縮れもなく両面緑色の「青じそ」の葉を指す言葉。つまり、大葉は「青じその葉」だけを指し、実や芽などの部位は含まず、青じそ以外の赤じそやエゴマなども含みません。しそは総称
また、「しそ」と言うと、葉だけでなく、実、芽、穂などさまざまな部位が含まれます。
同じなのに別名なのはなぜ?
しそと呼ぶ地域
近畿地方では大葉と呼ぶ割合が多い
しその芽ってどこ?
使い方による呼び方の違いも
ジュースやドレッシングは「しそ」
料理の素材なら「大葉」
赤と青で違う!しその種類
実は旬も違う?
保存方法
大葉に含まれる主な栄養素
大葉にはビタミンをはじめ、からだによい多くの栄養が豊富に含まれています。昔から、漢方やからだの不調をととのえる食材としても使われる大葉の主な栄養素をご紹介。
βカロチン
緑黄色野菜に多く含まれるβカロチンは、体内でビタミンAに変換され、全身の健康を保つはたらきが望めます。大葉に含まれるβカロチンは野菜のなかでもトップクラスであり、ほかの栄養素もまんべんなく含む優秀な野菜のひとつです。
βカロチンはからだに必要な多くのはたらきを担っていますが、なかでも皮膚と粘膜を正常に保ち、目の網膜を調整する期待効果が有名です。光の明暗を区別する物質にはビタミンAが必要であるため、不足すると暗いところで見えにくくなるという現象が生じることもあります。
βカロチンは油に溶ける脂溶性のビタミンであるため、油で炒めたり揚げ物に使うことで吸収率が高まります。
ビタミンB
ビタミンBはいくつかの種類に分類されますが、大葉にはビタミンB群がまんべんなく含まれています。口内炎や肌荒れの改善、成長の促進、造血作用、タンパク質の代謝など縁の下の力持ちとしてのはたらきが期待できるビタミンです。
ビタミンBは水溶性ビタミンであり、余分な量は体外に排出されるため、過剰症の心配はほとんどないとされています。まれに過剰による症状が出ることもあるようなので必要な摂取量を守りましょう。
ビタミンE
「からだのサビ」の原因となる活性酸素の害からからだを守る作用が期待できる栄養素です。
ビタミンEは、細胞膜に待機し酸化を阻止してくれる効果が望まれていますよ。毛細血管の血行を促進するはたらきもあるため、生活習慣病や冷え性への改善効果が出ることがあります。ナッツ類やひまわり油などの植物油ほどではありませんが、大葉にもビタミンEがしっかり含まれています。
からだにとってとても重要な役割のある酸素ですが、ときに悪さを起こすこともあり細胞などからだの組織の破壊してしまう可能性があります。酸化防止作用が見込めるビタミンEの摂取不足に注意しましょう。
食物繊維
大葉には、食物繊維のなかでも水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれています。
食物繊維と言えば、便秘予防や改善、大腸がんの予防にも効果が出ることがあると言われていますよね。急激な血糖値の上昇を抑えるはたらきにも効果が見込めるため、満腹感が得られ、食べ過ぎによる肥満の防止も望めます。同時に、水に溶ける水溶性の食物繊維も含んでいるため、コレステロール値を下げたり高血圧の予防に対しての効果も期待できます。
ペリルアルデヒド
あまり聞きなれない成分かと思いますが、大葉特有の香りを発する成分であるぺリルアルデヒドは、腸内環境の改善に作用する、と期待されはじめています。大葉はいくつかの香り成分を含有していますが、ぺリルアルデヒドが大半を占めています。
ぺリルアルデヒドの強い抗菌・防腐作用により、大葉は多くの料理の長期保存や殺菌を目的として使われるようになったのです。食欲増進効果や発汗解熱作用、抗炎症作用に加え整腸作用も期待できる成分であり、未だにはっきりと解明されない作用もあるとのことで注目されています。
大葉の栄養と効能
発汗を促す
生薬のひとつとして用いられることのある大葉は、葉や種子を乾燥させて漢方として使用されています。含有するカリウムのはたらきにより利尿作用に加えて穏やかな発汗作用が望めます。
胃の働きの回復
大葉には、弱った胃のはたらきを取り戻す効能が期待されています。その栄養素というのが、前述の香り成分であるペリルアルデヒド。ペリルアルデヒドは腸内環境の改善だけでなく、自律神経を刺激することで胃もたれを解消し、食欲増進などのはたらきが見込まれていますよ。
アレルギーの抑制
アレルギーの予防効果が期待できる栄養素といえば、脂肪酸の仲間であるαリノレン酸です。大葉を原料にしたしそ油にはαリノレン酸が含有されているため、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの抑制に期待できる食品です。
体内でIPA(エイコサペンタ塩酸)という物質に変化して血液をサラサラにするため、老化や心筋梗塞を防止する効果が出ることがあるといわれています。しそ油はあくまでも油なので、摂り過ぎには注意しましょう。また酸化しやすい性質もあるため、開封後は早めに使い切りましょう。
貧血予防
女性に多くみられる貧血改善に見込みのある、鉄分も含まれています。
鉄分には、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分となり、スムーズな血流を助けるはたらきが望めます。血液の循環を円滑にする効果が出た場合、貧血や動悸、めまいや疲れの改善につながることがあるので、積極的に摂取したい栄養素ですね。
大葉に含まれる鉄分は、非ヘム鉄と呼ばれる植物性食品に多い鉄分です。非ヘム鉄は吸収率が低いため、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率のアップを望むことができます。大葉には鉄分に加えビタミンCも含まれているので、ひとつで一石二鳥の頼もしい食品ですね。
吐き気をおさめる
胃腸のはたらきにも関連する大葉の成分は、弱った胃や腸にはたらきかけることで、古くから吐き気を抑制する効果が期待されています。妊娠中の症状であるつわりにも良いとされています。
身体を温める
からだの芯からあたためる温活が流行しはじめ、温活に効果のある食べ物が人気を集めています。大葉はからだを温める効果もあるとされているので、冷え性や風邪症状を軽減できる見込みがあります。温活に興味がある方には、ぜひ食べていただきたいおすすめの食材ですね。
防腐・殺菌効果
大葉が料理の薬味として使われるのには、彩りや風味だけではありません。防腐・殺菌作用が高いため、刺身のツマや海鮮丼などに添えられることが多いのです。食品の酸化を防止する抗酸化作用もあるので、生魚で発生することもある食中毒を防止する役目も果たしてくれています。
鶏ささみと大葉の生春巻き
まず紹介するのは、片手でも食べられる「鶏ささみと大葉の生春巻き」です。
【材料】(5本分)
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・鶏ささみ 2本
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・赤パプリカ 1/2個
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・黄パプリカ 1/2個
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・にんじん 1/4本
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・大葉 10枚
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・グリーンリーフ 5枚
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・ライスペーパー 5枚
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・塩 適量
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・すし酢 50ml
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・スイートチリソース 適量
【作り方】
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1. 耐熱容器に鶏ささみを並べ、塩を振ってラップをしましょう。2~3分電子レンジで加熱し、ラップをしたまま余熱で火を通します。
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2. 赤パプリカ、黄パプリカ、にんじんは細切りにしましょう。ポリ袋などに入れてすし酢を加えたら、全体を混ぜ合わせて15分ほど置いておきます。
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3. 鶏ささみの粗熱が取れたら、1cm角の棒状に切りましょう。
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4. 水で湿らせたライスペーパーを乾いたまな板の上に置きます。やや手前にグリーンリーフ1枚と大葉2枚、2・3を適量載せて、ややきつめに巻きましょう。これを5本作ります。
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5. 食べやすい大きさに4を切って皿に盛り付け、スイートチリソースを添えたら完成です。
ほぐし焼きあじと大葉のおにぎり
大葉の爽やかな風味とあじの相性が絶妙な「ほぐし焼きあじと大葉のおにぎり」です。
【材料】(2人分)
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・ごはん 400g
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・あじ 1尾
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・大葉 5枚
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・しょうゆ 小さじ1
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・おろししょうが 小さじ1
【作り方】
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1. あじの内臓とぜいごを取って水洗いし、水気を拭き取ったらこんがりとグリルで焼いて身をほぐします。
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2. 1、しょうゆ、おろししょうがを軽く和えましょう。
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3. 大葉3枚を細切りにします。
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4. 2と3をごはんに混ぜておにぎりにしましょう。残りの大葉を器に敷いて盛り付けたら完成です。
大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【冷蔵】
傷みやすい大葉は購入してから適正な保存をすれば長持ちしてくれます。
冷蔵保存の方法
水分の多い大葉は収穫後も水分を与えてあげると長持ちします。
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大葉を立てて入れられる瓶や容器を用意する
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大葉の軸の先端を1~2mm切り落としてから軸を下にして立てて容器に入れる
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根元が浸る程度の水を入れる
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保存容器にフタかラップをして密閉して野菜室に入れる
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2~3日毎に水を替える
葉の部分が水に浸らないようにしましょう。水に浸してしまうと痛みが早くなってしまいます。また低温障害による劣化を避けるため、冷蔵庫ではなく野菜室のほうがよいでしょう。冷蔵庫に入れる場合は直接冷気の当たらない場所に入れます。
瓶や容器がないときはタッパーや平たい容器でも代用できます。
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大葉全体を水で濡らしてから大葉を振って水を切る
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大葉の表側を上にしてふんわりと容器に重ねて入れる
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フタやラップで密閉しする
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重ねてある大葉の上下入れ替えをしながら上記の方法を毎日行う
容器に水がたまっていると、痛みが早くなるので注意してください。
保存期間の目安
水の入れ替えや適正な温度調整をこまめに行うことで、2週間ほど冷蔵保存が可能です。葉の部分が余分な水分に浸ってしまうといたみも早いので、気を付けてください!
大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【冷凍】
冷凍保存する方法
大葉は冷凍することにより長期間の保存が可能です。購入したままの状態で冷凍すると変色を起こしてしますので、正しい方法で保存することが必要です。
- 葉の表と裏の水分をしっかりと拭き取る
- 大葉が重ならない様に1枚ずつラップと交互に重ねていく
- 密封できる袋に空気をしっかり抜いて入れ、冷凍庫で保管する i葉の表と裏の水分をしっかりと拭き取る
天ぷらなどそのまま使うことも可能ですが、ラップの上から軽く揉むと葉が砕けるので和え物や薬味として使用できます。
あらかじめ千切りにするとよい
葉の表と裏の水分をしっかり拭き取り、千切りにして密封できる袋に入れ冷凍保存します。ラップを使用しなくても使いたい分だけ割って使うことができるのでとても便利。1枚ずつラップをする手間もいらないので保存も簡単です。
加熱して使うのがおすすめ
冷凍した大葉はもちろんそのまま自然解凍して使うことが可能ですが、解凍後は水っぽさが出てしまうため、パスタや揚げ物、炒め物などに使うとよいでしょう。
保存期間の目安
冷凍保存の場合は3ヶ月程度もちます。冷蔵保存に比べると持ちも良いのですが、新鮮な状態で使うよりは劣化を免れませんので、1ヶ月を目安に早めに使用しましょう。
大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【乾燥】
大葉は冷蔵や冷凍だけでなく乾燥して保存することもできます。乾燥した大葉は料理にも使いやすく、大量の大葉の保存には乾燥が向いています。
乾燥保存する方法
大葉の軸を取り、たっぷりの水でよく洗います。ザルにあげて水を切ったら、キッチンペーパーや布巾で葉の水気をしっかり拭き取ります。水分が残っていると仕上がりにムラや変色が起こるので注意してください。
天日干し
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平たいザルに大葉をできるだけ重ならないように広げる
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風通りのよい場所で日光に当てる
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様子を見ながら裏表を返し、完全に乾燥するまで干す
電子レンジ
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耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、大葉をできるだけ重ならないように広げる
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600Wで2分加熱し、水分がなくなるまで30秒ずつ延長する
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キッチンペーパーが塗れていたら交換して手でパリッと崩れる程度まで乾燥させる
鍋やみそ汁に使うのがおすすめ
生の大葉とは一味違う大葉を鍋やみそ汁に入れてみてはいかがですか。和風だしや味噌との相性も良いドライ大葉の独特の風味が、いつもの鍋料理やみそ汁を一段とおいしくしてくれます。パスタやおにぎりや和え物にも使える万能香辛料です。
保存期間の目安
冷蔵庫で1ヶ月程度保存できます。冷凍に比べるとやや保存期間が短いように思えますが、水分が除いてあるため料理によってはドライ大葉のほうが利用しやすいものもあります。
大葉の栄養を逃さず長期保存する方法【塩・醤油漬け】
こちらも大量消費の場合に役立つ漬け込みの保存です。ササっと簡単にできて保存も効きます。お弁当の彩りにも使えますので、ぜひ作ってみてください。
塩漬けの作り方
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大葉の軸を取り、たっぷりの水でよく洗う
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大葉の葉をお湯にくぐらせる
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大葉の水分をよく拭き取る
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密閉できるタッパーなどに大葉と塩を交互に重ねていく
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しっかり密閉して冷蔵庫に入れておく
醤油漬けの作り方
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大葉の軸を取り、たっぷりの水でよく洗う
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大葉の水分をよく拭き取る
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大葉10枚に対し、ごま油大さじ2・醤油大さじ1・白炒りごま小さじ2・おろしにんにく小さじ1を混ぜ合わせて醤油だれを作る
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密閉できるタッパーなどに大葉と醤油だれを交互に重ねていく
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しっかり密閉して冷蔵庫に入れておく
漬け込んだ大葉はご飯のお供やお弁当にも重宝します。
保存期間の目安
塩漬け・醤油漬けともに3週間程度は保存可能ですが、変色や風味の劣化を考慮して2週間程度で食べきるとよいでしょう。