現場では、教える(ティーチング)→引き出す(コーチング)→また教えるみたいなサイクルが自然です。特に育成やマネジメントの場では、「どっちか」ではなく「どうバランスを取るか」がカギになります。
項目 | ティーチング(Teaching) | コーチング(Coaching) |
---|---|---|
主な目的 | 知識やスキルを伝える(教える) | 相手の中にある答えや可能性を引き出す |
主体 | 教える側(ティーチャー)が主導 | 相手(クライアント)が主導 |
コミュニケーション | 一方向(ティーチャー→相手) | 双方向(対話を通じて進行) |
アプローチ | 指示・説明・講義形式が多い | 質問・傾聴・気づきを促す |
想定される状況 | 未経験者へのスキル伝授、教育の場など | 自発的な成長、目標達成支援、キャリア形成など |
相手の状態 | 知識がない、または少ない状態 | ある程度の経験や知識がある状態 |
飲食店
「コーチング」と「ティーチング」の使い分けは、スタッフの育成・マネジメントにおいてめちゃくちゃ重要です。
現場が忙しいからこそ、「ただ教える」だけじゃ回らないし、「気づくの待つ」だけでも育ちません。
飲食店におけるティーチング(Teaching)
活用シーン
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新人スタッフへのマニュアル教育
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オペレーションの標準手順(接客・レジ・ドリンクの作り方)
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食品衛生や安全管理などの知識共有
特徴
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明確な手順を短時間で伝える
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「再現性」が求められる業務に適している
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現場では「即戦力化」が目的になることも多い
✔ 例文
「お客様が入店されたら、まず笑顔で“いらっしゃいませ”って声を出してね。そのあと案内するんだよ」
飲食店におけるコーチング(Coaching)
活用シーン
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スタッフが自分で考えて動く力をつけたいとき
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接客対応に「自分らしさ」や応用力が求められるとき
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店長やリーダー育成(中堅メンバーの成長支援)
特徴
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相手の考えを引き出し、内側のモチベーションに火をつける
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課題解決力や応用力の育成につながる
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「なぜそれをするのか?」を自分の言葉で理解させる
例文
「さっきのお客様、どう感じた?次はどうしたらもっと喜んでもらえると思う?」
使い分けイメージ:新人 vs ベテラン
スタッフ | ティーチング重視 | コーチング重視 |
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新人スタッフ | 基本の型を教える・まず覚えさせる | 少し慣れてきたら「なぜその対応か」を問う |
中堅リーダー | 後輩への教え方を教える | 自分の強み・課題に気づかせる |
店長やオーナーの視点で大事なのは…
✅ 型を渡したら、意味を考えさせる
✅ 自分で判断できるスタッフに育てる
仕事の手順を教える時は
仕事の手順を教える時は基本的に「ティーチング」が主軸になります。ただし、コーチングの要素を入れることで、理解度が深まり、応用力も育ちます。
仕事の手順を教えるときの流れ(ハイブリッド型)
ステップ | アプローチ | 内容 |
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① 見せる (ティーチング) |
「これが正しいやり方だよ」→ 実演を交えて教える |
「この料理はこうやって盛り付けてね。まずこうして…」 |
② やらせる(ティーチング) | 「じゃあやってみようか」→ 一緒に確認しながら実践 |
「手順どおりにやってみて。困ったら止めて聞いてOK」 |
③ 振り返らせる(コーチング) | 「やってみてどうだった?」→ 気づきや改善点を引き出す |
「どの手順がやりやすかった?逆に難しかったとこは?」 |
④ 応用を促す(コーチング) | 「もし混雑時だったらどうする?」→ 状況に応じた判断を育てる | 「忙しいときにこの作業を効率よくするには?」 |
教えっぱなしで終わらせない!
仕事の手順って、ただ覚えさせるだけだと“こなすだけの作業”になりがち。
だけど、その中に「なぜこの順番?」「お客様にとって何が大事?」みたいな目的や意味づけをコーチングで引き出すと、スタッフの理解度・定着率がグッと上がるんです。
ドリンクの提供手順を教えるとき
ティーチング
「まず氷を入れて、次にドリンクを注ぐ。その後グラスの外を拭いて、お客様の右手側から提供してね」
コーチング
「お客様が一番気持ちよく感じるタイミングや渡し方って、どういうのだと思う?」
手順教育にコーチングをちょっと混ぜるだけで、「ただのマニュアル」から「考えるスタッフ」へ育ちます!
現場でよくある仕事だったら、場面ごとのコツも出せる!!