お米を洗ったあと、お米に水を吸わせる『浸水』と呼ばれる工程があります。これを怠った場合、米粒の中に水がいきわたる前に米の表面が糊化し、お米の芯まで、熱と水が通り切らなくなります。
- 浸水時間の目安は?
- お米の浸水時間、基本は30分〜1時間
- お米の状態によっても浸水時間を変えるとよい
- なぜお米を浸水させた方が美味しいの?
- お米の浸水に使う水はどんなものがいい?
- お米を浸水させるときの注意点はある?
浸水時間の目安は?
水浸時間の目安は、春と秋が45分、夏は30分、冬は1時間以上が目安となっております。これは水温によって吸水率が変わってくるからです。
2時間で飽和状態になりますため長く浸け置く必要はありません。
人にもよりますが、硬めが好きなかたは水浸時間なしで炊いたものが美味しいと評価される方もおります。ぜひ一度水浸時間を変えてみてはいかがでしょうか?
*炊飯器によっては水浸時間があらかじめプログラミングされているものもありますのでご注意ください。
お米の浸水時間、基本は30分〜1時間
「浸漬(しんせき)」とも呼ばれるお米に浸水させる過程は、基本的に30分〜1時間がよいとされています。
これは、最初の30分で約8割程度が吸水されることが原因です。
浸水のスピードは水温が高いと速くなり、水温が低いと遅くなる傾向にあるので、夏場は短めに、冬場は長めに設定しましょう。
<目安>
夏場 : 20分〜30分
冬場 : 60分〜90分
春・秋: 45分
基本的には上記の浸水時間を参考に、炊きあがったごはんが柔らかいと感じる場合は短めに、硬いと感じる場合は長めに時間をとって微調整し、好みの炊きあがりを探してみましょう。
炊いた後に保温を長めに行う場合や、お弁当に持っていく場合は長めに浸水させておくと、パサついたり味が落ちたりしにくいです。
雑菌の繁殖を防ぐため、冷蔵庫で浸水する場合であっても、最長で9時間程度とすると安心です。また、最初から長時間浸水させることがわかっている場合は、ひとつまみの塩を入れておくと雑菌の繁殖を抑えられます。
お米の状態によっても浸水時間を変えるとよい
浸水時間は季節だけでなく、お米の状態(新米かどうかなど)によって変えるのもおすすめですが、一概に決められるものではありません。
新米は表面がつるつるしていて浸水しにくいのですが、前年度に収穫された古米などは表面が乾燥しているため浸水しやすいという特徴があります。
新米は、みずみずしく柔らかさを感じやすいものです。
炊いてみて柔らかすぎると感じるようなら、浸水時間や水分量を減らすと良いでしょう。
また、最近の品種はコシヒカリ系が多く、コシヒカリ系はどちらかというと米粒の芯までたっぷり水を吸わせ、柔らかく甘みを出すように炊きあげた方が美味しいことからも、新米でもしっかり浸水させるのがおすすめです。
なぜお米を浸水させた方が美味しいの?
お米は水に浸けて炊くとでんぷんが分解されて糖ができ、粘り気が出てふっくらとしたごはんに炊きあがります。
水に浸けた状態で加熱すると、お米は吸水して次第に膨張し、最終的にはでんぷんの粒が崩壊し、ゲル状に変化(糊化)して粘りのある状態になるのですが、これが「ごはんを炊く」ということです。
つまり、美味しいごはんに炊きあげるためには、この「糊化(アルファ化)」の過程が欠かせません。そのため、お米にしっかり浸水させると、お米の中心部分まで熱が通りやすくなり、でんぷんが熱で十分糊化されやすいのです。
反対に、お米をといだ後にすぐ炊くとお米の表面だけがアルファ化してしまい、芯まで熱が届かないため、芯が残るごはんになりやすいという特徴があります。
お米の浸水に使う水はどんなものがいい?
お米の浸水に使う水は水道水でも構いませんが、できれば浄水器を通した水や一度沸騰させた水のような、塩素やミネラルをあまり含まない水がおすすめです。
もちろん水道水でも良いのですが、お米を研ぐときの水や、浸水の水にこだわることでごはんの味や食感に違いが出てきます。
より美味しいごはんにこだわるなら、水にもこだわってみると良いでしょう。特に浸水に使う水は、ごはんになる水なので大切です。
お米を浸水させるときの注意点はある?
浸水後に正確に水分量を計るため、ザル上げしたくなるかもしれませんが、ザル上げはお米がひび割れやすいため、電気炊飯器の場合は必要ありません。
だし汁などを入れて炊くときや、土鍋やフライパンなどを使って炊くときなど、水の量を正確に計りたいときは、ザル上げが必要になることもあります。
その場合は、ザルの中にあるお米が外気でひび割れないよう、濡らした布巾でザルを覆っておくと良いでしょう。
必要以上に圧力をかけたり、 洗米をやりすぎると、お米が割れ、口当たりがべちゃっとしたご飯になってしまう 原因になります。
洗米時間も、分程度を目安に手早く行うことで、うまみ成分まで洗い流すことを防ぐことができます。