様々な料理に使われる人気者の「あさり」ですが、調理方法や保存の仕方、塩抜きの仕方などを変えると味や摂れる栄養分が変わることをご存知ですか?
アサリはどんな貝
アサリは、ハマグリなどと同じ仲間(マルスダレガイ科)の二枚貝で、石器時代の貝塚からもたくさん出土しています。
アサリの主産地は、北海道から九州までの塩分濃度が比較的低い砂地(干潟)、それも水温の関係で日本海側より太平洋側となっています。日本以外では、朝鮮半島や中国の一部でもとれます。
アサリのおいしい時期
アサリは春と秋に太ります。これは、産卵期で産卵のため栄養をため込み、また卵などを作る生殖腺が大きくなるためです。特に水温が上昇してくる春はエサを食べてどんどん太るため、1年で一番おいしいアサリが食べられます。
オススメの食べ方
あさりは調理法が多い貝です。 例えば以下のような食べ方があります。
酒蒸し
炊き込みご飯
味噌汁
ボンゴレ
クラムチャウダー
トマト煮込み
栄養を効果的に摂取する調理法
加熱したときに出る汁にうま味成分と栄養素がたっぷり含まれているので、煮汁を一緒に摂れる調理法がオススメです。例えば栄養を無駄なく摂れる味噌汁やスープ、炊き込みご飯などがあります。
加熱のポイントは水から徐々に温めることです。すると旨味が汁によく出ます。
アサリの栄養成分と効果
アサリはミネラルが豊富で、鉄分、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどを含みます。また、タコやイカ等の軟体動物に多いタウリンや、アミノ酸の一種であるアルギニンなども含まれています。
アサリの特徴
三角形に近い楕円形をした二枚貝。貝殻上には、殻頂から放射状に広がる細い筋が多数走ります。貝殻は通常灰褐色を帯び、不規則で変化に富んだ模様がありますが、貝殻の内面は一様に白色。殻長は4cmほど。日本各地の沿岸と、沿海州、カラフトから東シナ海、フィリピンに分布し、東京では東京湾内の沿岸砂泥域でよく見られます。
腰巻き網などによって漁獲され、内湾における漁獲量は年間約200t。調理する際は、下ごしらえとして砂を吐かせることが必要で、2~3%の食塩水の中に1~3時間ほど漬けておきます。
主な調理方法は、酒蒸し、味噌汁、炊き込みご飯など。
あさりの栄養成分と効能効果
あさりにはたんぱく質、鉄分、亜鉛、カリウム、カルシウム、ビタミンB12、タウリンなど、私たちの体に欠かせない栄養成分が含まれています。
では、それぞれどのような働きをするのか見ていきましょう。
体を作る「たんぱく質」
たんぱく質は筋肉や皮膚を作ったり、酵素やホルモンの材料にもなるなど、糖質や脂質と並んで生きていくためには不可欠な栄養素です。そのため、たんぱく質が不足すると筋力が不足するだけでなく、抵抗力が弱くなり病気にかかりやすくなったりします。
あさりの体は90%が水分で出来ていますが、じつは残り10%のうち6割がたんぱく質なのです。
さらに、あさりを含む動物性たんぱく質のほうが、体内での利用効率が良いため「良質」と言われています。
あさりを味噌汁の具として使うと、無理なくたんぱく質を摂取できるので、手間なく使える水煮のあさりを常備しておくと便利ですよ。
貧血を予防する「鉄分」
鉄分の主な役割は、血液中に含まれる赤血球の成分となることです。そのため鉄分が不足すると貧血になります。
鉄分は日本人が不足しやすい栄養素といわれていますが、あさりにはその鉄分が豊富に含まれています。
一方で、あさりに含まれる鉄分は体に吸収されにくいものであることが、最新の研究から明らかになりました。そのため、鉄分を摂りたいならあさりと一緒にビタミンCを含む食材も食べると、鉄分が吸収しやすくなりオススメです。
味覚にかかわる「亜鉛」
亜鉛は発育や生命維持、そして味覚や免疫反応などにも幅広く関わっている重要な栄養素です。そのため、不足すると成長障害や味覚障害などになる可能性があります。一方で、サプリメントなどによる亜鉛の過剰摂取も、下痢や吐き気や免疫障害などの問題が起こります。
また、アルコールを多飲すると亜鉛の排出量が増えることが分かっているので注意が必要です。亜鉛は、あさりをはじめとする貝類全般に含まれているので、積極的に食べたい食品ですね。
高血圧を予防する「カリウム」
カリウムは摂りすぎたナトリウム(塩分)を体外へ出す働きがあるので、高血圧予防に役立つ栄養素です。また、細胞の内側と外側の水分バランスや、筋肉や心臓を動かす機能など、重要な働きも担っています。
カリウムは、さまざまな食品に含まれている成分なので不足することはほとんどありません。しかし、激しいおう吐や下痢のときは不足することもあるので注意が必要です。また、カリウムは水に溶けやすい成分なので、炊き込みごはんや汁物の具として使うと栄養素を無駄なく摂れてオススメですよ。
骨や歯を強くする「カルシウム」
あさりにはカルシウムも豊富に含まれています。
カルシウムは骨や歯の成分になるだけでなく、神経や筋肉、血液にとってもなくてはならない栄養素です。
さて、2019年の国民健康・栄養調査によると、カルシウムは全年代で推奨量には届いていません。カルシウムが不足すると骨が歯がもろくなり、成長不良や骨粗しょう症の原因となるので意識して摂りたい栄養素です。
血液を作る「ビタミンB12」
ビタミンB12はさまざまな働きを持つ栄養素ですが、その1つに、骨髄(※)で葉酸と一緒に血液を作る重要な役割があります。
そのためビタミンB12が不足すると、血液が上手く作れずに貧血になったり、知覚に異常が出たりします。さて、ビタミンB12は、動物性食品に幅広く含まれているため通常は不足しにくい栄養素です。
コレステロールを下げるタウリン
タウリンはアミノ酸の一種で、貝類をはじめイカ・タコ・甲殻類などに含まれる成分です。
さて、タウリンは血液中の中性脂肪やコレステロールを下げる作用が有名ですが、血圧低下作用、インスリンの分泌促進、視力回復などさまざまな働きも。
ところで、タウリンは疲労回復や滋養強壮の成分として栄養ドリンクなどに使われています。栄養ドリンクは糖質やカフェイン量が多い傾向があるので、できることなら普段の食事からタウリンを摂取するようにしましょう。
冷凍すると栄養素はどうなるか
あさりは冷凍保存できる食品です。冷蔵の場合は2日程度しか持ちませんが、冷凍することで3週間ほど保存できると言われています。
さらに、冷凍すると細胞が壊れるため、うま味成分が外に出やすくなるというのも嬉しいポイント。料理の際は凍った状態のまま鍋など入れればOKなので、すぐに使えて便利ですよ。