勉強するとき、テストのときなど「集中したい!」ときがありますよね。集中力を発揮するには脳の働きに関連する栄養素が必須となります。
実は食事に配慮することでも勉強効率を高めることができることはご存知でしたか。
食べ物に含まれている栄養分を正しく摂取することで、勉強の質を高め、効率よく学習を進めることができるのです。
- 集中するって、どういう状態?
- どうして集中は切れてしまうのか
- 効率的な勉強をするために糖質の摂取は避ける
- くるみなどのナッツ類が勉強効率UP
- 勉強効率を高めるにはタンパク質の摂取がおすすめ
- 集中力を高める食べ物とは?
- 効果が期待できる食材、栄養素
- 記憶力アップが期待できる食べ物とは?
- 記憶力アップ効果のある食べ物を摂るタイミングは?
- チョコレートが脳に効く理由
- どんなチョコレートが効果的?
集中するって、どういう状態?
「集中する」とは、ある物事や気持ちに意識や注意を集めて取り組む状態のことです。集中することで短時間で学習や仕事の能率を上げられる一方、多くのエネルギーも消費します。そのため、人間の脳は3つのネットワークを使って脳に余分な情報を入れないようにしていると言われています。
・デフォルトモード・ネットワーク
特定の何かを意識していない状態の脳の回路です。「ぼーっとしている」状態と言われ入浴中、散歩中などリラックスしている状態に働きます。意識的に何かを考えていない(脳が休んでいる)間は、体験や記憶が整理されています。
・セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク
積極的に思考を駆使し、何かに意識や注意を向けている状態の脳の回路です。
・サリエンス・ネットワーク
上記のふたつのネットワークの切り替えをしていると言われる脳の回路です。
脳のネットワークが働くときには多くのエネルギーが必要です。さらに子どもの脳が集中力を発揮するためには十分な睡眠、食事、運動(体を動かす遊び)が確保されていることが必須となります。
どうして集中は切れてしまうのか
人間はずっと集中することはできません。集中力が切れてしまう原因が、脳のエネルギー不足です。脳が働くのに必要な栄養素が不足すると、脳内物質がうまく生成や放出されなくなったり、脳の一部の器官が鈍ったりしてきます。その結果「眠い」「頭がぼーっとする」などの体の状態として現れ、集中力が続かない、すぐ切れてしまう原因となるのです。
効率的な勉強をするために糖質の摂取は避ける
ご飯やパンなどには炭水化物が含まれています。炭水化物を摂取して糖に分解されると血糖値が上がるのですが、消化が進んだ後に血糖値が下がることで眠気を生じやすくなるため注意が必要です。
そのため昼食に炭水化物を多く摂取してしまうと、午後からの勉強で眠気を感じてしまうことが多くなります。集中力を保ち続けたいのであれば、できるだけ昼食時に炭水化物の摂取は抑えるようにしておきましょう。
また、同様の理由で清涼飲料水など、糖分が多量に含まれている飲料も選ばない方が得策です。
糖分が大量に含まれているため、摂取後は頭が冴えた感覚になりますが、血糖値が下がり始めると眠気を感じやすくなるため控えるようにしましょう。
くるみなどのナッツ類が勉強効率UP
ナッツ類は勉強中の集中力向上に適した食べ物の1つです。
中でも「くるみ」はポリフェノールを多く含んでおり、脳に与えるストレスを抑える役割を持っています。認知能力の向上につながるため、毎日の勉強効率を高める際には摂取しておきたい食べ物です。
またナッツ類の食べ物には炭水化物はほとんど含まれておらず、タンパク質が多く含まれている点も注目すべきポイントです。そのため血糖値の低下を抑えることもできるため、間食としてもおすすめです。
資格試験を成功させるために勉強を続けていると、どうしても集中力が持たないときが出てきます。そういった時間を極力減らせるように、日々の食生活から見直していくことが大切です。
今回紹介した内容を踏まえて、成績アップを目指しましょう。
勉強効率を高めるにはタンパク質の摂取がおすすめ
夕食までの時間までに小腹が空いた際には、チーズやゆで卵などのタンパク質の摂取が集中力向上につながります。午後からの時間を高い集中力で勉強に充てることができれば、学習効率も高まるため成績に直結してきます。
午後からの勉強時に集中力低下を感じている方は、タンパク質を中心にした食生活に調整してみましょう。
集中力を高める食べ物とは?
集中力を発揮するためには、脳に必要な栄養素を食べ物から摂取するのが重要です。良く「集中力を高める」と言われている食べ物をまとめました。
・チョコレート・ココア ・バナナ
・ラムネ ・ガム
・青魚(サバなど) ・ナッツ類
・納豆 ・豚肉
・ニンニク ・卵
・コーヒー・紅茶 ・ペパーミントティー
・水
効果が期待できる食材、栄養素
脳の集中力を高める効果が期待できる栄養素を、摂取できる食材とともに解説します。
・糖質(ブドウ糖など)
糖質は摂取するとブドウ糖などに分解され、脳のエネルギー源として使用されます。
バナナ、ラムネなどに含まれています。
・ビタミンB群
(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、
葉酸、パントテン酸、ビオチン)
ビタミンB群は、脳のエネルギー生成や認知機能の発達、脳や体の働きを万全にする栄養素です。
豚肉、ニンニクなどに含まれています。
・カフェイン
眠気覚まし効果があるとされるカフェインには、神経の興奮を鎮める「アデノシン」の働きを阻害する効果を持っています。
コーヒー・紅茶に含まれていますが、過剰摂取をすると急性中毒を引き起こすため適度な量を守りましょう。
・メントール
ミントに含まれる成分で、清涼感を得ることでリフレッシュや頭を切り替えるといった効果が得られます。
ガムやペパーミントティーに含まれています。
・フラバノール
ストレスの軽減や認知機能の改善効果があると言われている成分です。
カカオを原料とするチョコレートやココアに含まれています。
・チロシン
アミノ酸の一種であるチロシンは、注意や記憶、学習に大きく影響する神経伝達物質「ノルアドレナリン」の合成に必要な物質です。
ナッツ類や納豆に多く含まれています。
・DHA
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳を構成する脂質のひとつです。理解・判断・論理などの認知機能に大きく影響しています。
サバなどの青魚に多く含まれています。
・レシチン
レシチンとはリン脂質という脂質の一種です。体内でアセチルコリンという物質に変わり、神経の刺激伝達物質として働きます。新陳代謝促進や動脈硬化予防効果もあります。
「卵黄レシチン」として卵、「大豆レシチン」として大豆製品に含まれています。
・水
水を飲むと、ホルモンバランスが整えられると言われています。イギリスの大学の研究では知的作業に入る前に500mlの水を飲んだ人と飲まなかった人とでは脳の反応時間が14%も早くなったという結果も出ています。
記憶力アップが期待できる食べ物とは?
脳の記憶力をアップさせるには、脳に必要な「糖分」はもちろんのこと、糖の代謝を促す「ビタミンB1・B6」などを含む食べ物を意識することが大切です。
また、「DHA」「EPA」などの脂肪酸は脳の記憶力・学習能力を向上させる効果があります。
以下の食べ物には、記憶力アップ効果のある栄養素が豊富に含まれています。食事の際に意識して摂るようにしてみましょう。
サバ・イワシ・サンマなどの青魚
背の青い魚には、記憶力アップが期待できるDHA・EPAが豊富に含まれています。
煮つけや塩焼きなどもいいですが、おすすめは「缶詰」。青魚は煮炊きしたり焼いたりする過程でDHA・EPAが失われて減ります。しかし缶詰の場合、調理過程の関係で成分が壊れにくいため、より多くのDHA・EPAを摂取できるのです。缶詰なら調理の手間も省けますし、保存がきくので一石二鳥ですね。
バナナ
バナナは「ブドウ糖」「ショ糖」「果糖」の3つの糖分を含んでいます。この糖類はそれぞれエネルギーに代わるまでの時間が異なるので、長い時間脳にエネルギー補給し続けられるのです。
ブドウ糖は“脳のごはん”ともいえる存在で、不足すると記憶をつかさどる海馬の働きも鈍くなります。手軽に食べられるバナナでしっかりと糖分補給をしましょう。
豚肉、大豆、サケ、ゴマ
脳にはブドウ糖が必要不可欠ですが、ブドウ糖をエネルギーへと変えるにはビタミンB1が欠かせません。また、でんぷんをブドウ糖へ分解する際にはビタミンB6が必要です。
ビタミンB1は豚肉や大豆などに含まれており、ビタミンB6はサケなどの魚介類、ゴマに含まれています。
食事のメニューに上手く取り入れてみましょう。
チョコレート
2014年、菓子メーカーの「明治」と愛知学院大学が実施した共同研究で『チョコレートには脳の成長に欠かせないBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加する効果がある』ということが判明しました。
このBDNFが増加することで、脳の記憶をつかさどる海馬(かいば)の働きが良くなり、記憶力がアップするのです。
また別の研究では、チョコレートに含まれるポリフェノール(カカオフラバノール)に記憶力・認知機能アップ効果があるという結果も。
チョコレートは脳のエネルギー源である糖分も補給してくれるので、勉強にピッタリの食べ物といっても過言ではないでしょう。
記憶力アップ効果のある食べ物を摂るタイミングは?
食べ物で記憶力アップ効果を期待する場合は、朝に食べるのがおすすめです。
朝からしっかりと栄養を摂取した状態で勉強をスタートすることで、脳の働きが活性化しやすくなります。
ただし、効果があるからといって特定の食べ物を食べ続けると、糖分過多やアレルギーなどの弊害が起きることがあります。くれぐれも過剰摂取しないように注意しましょう。
1日当たりの摂取目安は、サバなら1切れ、バナナなら1本。チョコレートは板チョコ2/3程度、ごまは大さじ1~2杯が適量です。
チョコレートが脳に効く理由
チョコレートが脳に効く理由は主に3つ。
1つ目
チョコレートにブドウ糖が多く含まれている点。脳のエネルギー源として必要になるブドウ糖、なかでも菓子類に含まれる精白された糖分は吸収が早30分ほどで脳に届くといわれています。
2つ目
チョコレートにはビタミンEやナイアシンといったビタミン類や、カルシウム、マグネシウム、亜鉛といったミネラルなどの栄養分がバランスよく含まれている点。
これらの栄養素は脳の活動に不可欠なだけでなく、チョコレートに含まれるカフェインの仲間であるテオブロミンには記憶力や集中力を高めたりやる気を出したりする効果が、ギャバには精神を安定させる効果が期待できます。
3つ目
チョコレート特有の甘い香りには集中力を高める働きがあることが確認されています。
これらのことからチョコレートは、他の食品より脳を活性化させる作用が大きいといえるのです。
脳をフル回転させる勉強中には、うってつけの食べ物となるでしょう。
どんなチョコレートが効果的?
チョコレートには、ミルクチョコレートからカカオの比率が高いビターチョコレート、ナッツやクッキーなどが含まれているものまでさまざまです。
脳のエネルギーであるブドウ糖を補いたいなら、ミルクチョコレートが向いていますが、カロリーが気になる場合は、砂糖は控えめでカカオの含有量が多いビターチョコレートがおすすめ。
ビターチョコレートは、ブドウ糖よりも脳の働きを活性化させるカテキンやポリフェノールを補うといったイメージですね。
他には、精神安定に効果があるギャバを多く含んだチョコレートや、ブドウ糖の含有量を高めたチョコレートもあります。
どのような効果が欲しいのかで、チョコレートを選ぶのも良いでしょう。