そのままおつまみにしたり、料理に加えたりと常備しておくと何かと便利な「コンビーフ」。どのような材料で作られているかご存知ですか?コンビーフとコンミートの違いや栄養、保存方法、使い方について
- コンビーフとは
- コンビーフとコンミートの違い
- コンビーフの保存方法
- コンビーフの語源・由来
- コンビーフの歴史
- コンビーフ缶詰の形
- コンビーフの栄養
- コンビーフの色といえば赤! 生のように見えるけど・・・?
- コンビーフは体に悪い?
- 【コンビーフポテト】
コンビーフとは
コーンビーフは英語では「Corned Beef」表記され、直訳すると「塩漬けの牛肉」という意味です。その名の通り、牛赤身肉を塩せきしてから高温高圧で加熱し、繊維をほぐして牛脂や香辛料、調味料などを加えて作られます。
すでに加熱調理されていて味もついているのでそのまま食べることもでき、常備しておくと何かと便利な食品です。また、賞味期限が約3年と長く、常温で保存可能なことから防災グッズや登山用の食事などにも活用されています。
コンビーフとコンミートの違い
「コンビーフ」とよく似た缶詰に「コンミート」がありますが、この違いをご存知ですか?違いは材料にあります。コンビーフは牛肉100%で作られていますが、コンミートは牛肉以外に馬肉などの畜産肉も使用されています。
どちらも製造工程は同じですが、牛肉100%のコンビーフよりもコンミートの方が値段は安くなります。どちらも味がついているのでそのまま食べることができますし、料理にアレンジすることも可能。お好みで使い分けてみるのもいいですね。
コンビーフの保存方法
未開封の状態では長期保存が可能ですが、開封後はその日のうちに食べ切るのがおすすめです。一度に食べきれない時は容器から取り出して保存容器に移し、冷蔵庫で保存しましょう。3〜4日を目安になるべく早めに食べ切るのがおすすめです。
また食べやすい大きさにカットしてラップで包み冷凍用の保存袋に入れて冷凍保存することも可能です。使用する場合は冷蔵庫で自然解凍してから調理します。1ヶ月ほどを目安に使い切るようにしましょう。
コンビーフの語源・由来
コンビーフは、英語「corned beef」からの外来語。
「corned beef」の「corned」は、名詞「corn(コーン)」を動詞化した語。
とうもろこしなどの穀類が使われていないコンビーフに「corn」が含まれているのは、「corn」が元々は「穀粒」を意味するためである。
「穀粒」の「粒」から「塩粒」、そして「塩漬け」といった連想が加わり、「塩漬け」を表す動詞「corned」が生まれた。
そのため、麦やとうもろこしとは無関係だが、コンビーフに「corn」が含まれているのである。
コンビーフの歴史
コンビーフはイギリス海軍が保存食として作ったものが始まりといわれています。日本へは第二次世界大戦後、進駐軍によって持ち込まれました。戦後間もない1948年(昭和23年)、野崎産業(現在の川商フーズ株式会社)から初めて国産のコンビーフが発売されました。
当初はコップ型のガラス瓶にブリキのふたをした「アンカー瓶」と呼ばれる容器に入って販売されていました。十分な設備のない時代、製造工程には多くの苦労があったため、当時としては高価な食品でしたが、すでに馴染みの味であったコンビーフは庶民にも受け入れられました。
1950年に枕缶と呼ばれる台形の缶に詰めた缶詰のコンビーフが誕生し、高度経済成長と食生活の変化によって人気商品となり、1978年(昭和53年)には年間生産数は3000万缶を超える生産数となりました。
コンビーフ缶詰の形
コンビーフ缶詰に特有の台形の缶は枕缶(まくらかん)といい、鍵状の専用道具で缶の側面を巻きとるように開封するのが特徴で、1875年アメリカの会社が特許をとっています。缶を台形の形にすることで、中身を詰めるときにすき間や空洞部分ができにくく、缶にふたをするときに空気が抜けやすいので、品質保持のために有効な形状といわれています。
しかし現在は、缶詰の加工技術が進歩して缶が台形である必要性はなくなっており、コストのかかる枕缶ではなく、プラスチックカップに詰めた商品が販売されるようになっています。コンビーフの国内主要メーカーでも、2020年3月で枕缶のコンビーフ商品の製造を中止しており、枕缶の商品は希少となっていくと思われます。
コンビーフの栄養
糖質の代謝を助ける!ビタミンB1
ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝にかかわっており、疲労回復を助ける効果があります。また、脳と神経を正常に保つ働きもしています。水に溶けやすいので、煮汁も一緒にとれる料理にすると効果的に摂取できます。
脂質の代謝をサポートする!ビタミンB2
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えるのに欠かせないビタミンです。脂質が新しい細胞を作る手助けをすることで、皮膚や粘膜などを健康に保つことができます。子どもや胎児の発育を助ける働きがあることから「成長ビタミン」とも呼ばれています。
貧血予防に効果的!鉄
鉄は酸素を全身に運ぶ赤血球を作るために欠かせないミネラルです。また、筋肉内に酸素を取り込む働きもあり、不足すると酸素を上手く取り込めずに筋力低下や疲労を起こす原因にもなります。
体内で吸収されにくい栄養素のひとつですが、ビタミンCを含む食材と一緒にとることで吸収率がアップします。
味覚を正常に保つ!亜鉛
亜鉛には細胞を作り成長を促す働きがあり、美しい肌や髪を保つためにも欠かせない栄養素です。また、インスリンや性ホルモンの合成にも関わっています。さらに、亜鉛は舌の表面の味蕾にある味を感じる細胞を作る働きがあり、不足すると味覚異常の原因になります。
ナイアシン
ナイアシンは水溶性のビタミンでビタミンB群の仲間です。細胞でのエネルギー産生にかかわる酵素を助けるために必要です。皮膚や粘膜の健康を維持するためにも必要で、不足すると発疹や皮膚炎の原因となることがあります。
ビタミンB12
ビタミンB12は葉酸と協力して、赤血球中のヘモグロビンの生成を助けています。不足すると巨赤芽球性貧血という悪性貧血の原因となることがあります。また、脳からの指令を伝える神経の働きを正常に保つためにも必要です。
薬膳の効果
コンビーフの原料である牛肉は、骨や筋肉を強くして腰や膝に力をつける作用があるといわれます。体を温める性質があるので、冷えが原因の下痢や食欲不振に効果があります。また胃腸を丈夫にするので食欲が増進し、虚弱体質や無気力、疲労感の改善に役立ちます。
髪や肌細胞の再生
コンビーフに含まれるビタミンB2には、 髪や肌の再生をサポートする働き があるので、食べ過ぎなければ美容効果を期待することができます。髪や皮膚の再生は年齢と共にスピードが落ちてくるので、アンチエイジングとしても注目できる栄養素です。
貧血予防
コンビーフに含まれるヘム鉄には、 貧血を予防したり改善する働き があります。「鉄分=値を作る栄養素」なのはお馴染みですよね。体力を回復させる効果もあるので、、疲れている時にもオススメです。
コンビーフの色といえば赤! 生のように見えるけど・・・?
コンビーフの色と言えば何色のイメージですか? 生肉っぽいような鮮やかな赤色のイメージがありますよね。「コンビーフって加熱しないと食べられないと思っていた」という人も少なくないのでは?
でも、上述した通り、コンビーフはすでに加熱調理が済んだ状態です。缶を開けてそのまま食すことができます。きれいな赤色は発色剤や着色料を使用していることによります。
※メーカーによっては使用している成分は異なります。詳しくは各商品の成分表示をご確認ください。
なお、「無塩せき」と呼ばれる発色剤不使用のコンビーフも販売されています。
コンビーフは体に悪い?
塩分
1つ目は「塩分」です。コンビーフにはしっかり味が付いていて、塩が沢山使用されています。1缶(100g)あたりの塩分量は約1.7gと言われており、高めの数値です。
というのも、 コンビーフは牛肉を塩漬けしたもの で、塩漬けすることによって長期保存が可能な食品となっています。原料自体が塩分多めなので、調理して更に味付けを加えると塩分過多となります。
トランス脂肪酸
2つ目は「トランス脂肪酸」です。コンビーフには100gあたり約15gもの脂質が含まれていて、その中にトランス脂肪酸があります。トランス脂肪酸とは、脂肪酸の一種で、油脂を精製・加工する際にできるものです。
トランス脂肪酸には、下記のような健康被害があると言われています。
- トランス脂肪酸には体に良い善玉菌を減らして悪玉菌を増やす働きがある
- 免疫機能を低下させる
- 発がんリスクを上げる
- アレルギー疾患のリスクを上げる
- 認知症や糖尿病のリスクを上げる
悪玉菌が増えると血中コレステロール値が高くなり、循環器系の疾患を起こすリスクが高まります。 命に関わる生活習慣病を引き起こす原因となるトランス脂肪酸を日常的に食べるのは、非常に危険 なのです。
【コンビーフポテト】
【材料】(作りやすい分量)
・じゃがいも 250g
・コンビーフ 80g
・オリーブオイル 小さじ2
・にんにく 1片
・塩 適量
・こしょう 適量
・パセリ粉 あれば適量
【作り方】
1.じゃがいもは洗って皮をむき、芽をとり除きます。厚さ1~1.5㎝くらいのくし切り、または棒状に切り、耐熱のボールに入れます。
2.500Wの電子レンジで2分加熱します。いったん取り出し、加熱むらができないように全体を混ぜ、さらに1分加熱します。つまようじを刺してみて、やや硬い程度に加熱します。硬すぎるときは、様子をみながら追加で加熱してください。
3.フライパンにオリーブオイル入れて火をつけ、じゃがいもを入れて炒めます。じゃがいもを転がしながら表面を焼くようにします。じゃがいもに焼き色がついてきたら、フライパンの中心部分を開けて、にんにくとコンビーフを入れます。
4.中心でコンビーフをくずすように炒めてから、全体を混ぜ合わせます。
5.塩、こしょうで味を整えてできあがりです。器に盛り付け、お好みでパセリ粉をトッピングしましょう。