ひと口に「塩」と言っても、世界中にはさまざまな種類の塩があります。しかし大きくは「精製塩」と、いわゆる「自然塩(天然塩)」とに分けられます。「塩」は料理の味の決め手になる重要な調味料。 おいしい塩を使うことでワンランクアップのおいしさに仕上がります。
- 塩の歴史は、まさに人類の歴史
- 2種類ある塩
- 塩の違いは「原料」にもあり
- 種類豊富な自然塩の数々
- 風味がついている「藻塩」、「ハーブソルト」「フレーバーソルト」
- 和食や野菜料理には天日塩
- 肉料理やエスニック料理には岩塩
- 魚料理にはにがりの多い塩
塩の歴史は、まさに人類の歴史
人間が生きていくうえで欠かせない塩。日本史上で塩が登場するのは、縄文時代後期から弥生時代初期と言われています。世界を見わたしてみると、メソポタミア文明やエジプト文明といった古代文明発祥の頃には、すでに塩産業があったようです。
それらの地域に共通するのは、すべて川が近いということ。さらに、塩の生産地が存在していたということです。死海などの塩湖があった地域では、古代オリエント文明が栄え、ヨーロッパ文明の礎になったともいわれています。
2種類ある塩
ひと口に「塩」と言っても、世界中にはさまざまな種類の塩があります。しかし大きくは「精製塩」と、いわゆる「自然塩(天然塩)」とに分けられます。
後者は精製されていないので、ミネラルなどが豊富で旨みやコク、甘みをより感じやすいとされています。
塩の違いは「原料」にもあり
すべての塩が海水を原料としていれば、シンプルに「塩の違いは製法にあり」となるのですが、塩の原料は海水だけではなく、塩によっては「天日塩」や「岩塩」などの塩、また「ニガリ(苦汁)」を原料とする場合もあります。
「天日塩」や「ニガリ」はどちらも人間が海水から作ったもの、また「岩塩」は海水から出来たもの。つまり海水以外の「原料」は、海水がそれらになるまでの「製法」や「出来方」を内包している「原料」なのです。
したがって、それら海水由来の「原料」は、海水のパーツ(部分的なもの)であり、海水とは異なるため、海水とは区別されます。異なる「原料」から作れば、もちろんそれなりに出来上がりも異なってきます。
このサイトでは、しばしば「製法と原料」という言葉が使われています。
多くの場合は「最初に原料ありき」でその後に「製法」ですから、「原料と製法」の順序になりますが、塩の場合、「原料」自体にも「製法」や「出来方」があるため、あえて「製法と原料」という順序にして、「製法」を強調した表現になっています。
種類豊富な自然塩の数々
塩気がまろやか、旨みのある「海水塩」
四方を海に囲まれた日本で生産されている塩は、ほとんどがこの海水塩です。
塩分の強さ、あと味、旨みなどは産地や製法によって異なりますが、ミネラルが豊富でまろやかな味わいのものが多いので、食材本来の持ち味をじんわりと引き出すのに適しています(なお、とくに粒が粗めで「にがり」を多く含むものは「あら塩」という名前で販売されていることが多いようです)。
シャープな塩気とキレ、パンチのある「岩塩」
むかし海だった場所が隆起するなどして海水が閉じ込められ、何らかの形で結晶化したものがこの岩塩。
ドイツやオーストリア、イタリア、アメリカ、南米アンデス、モンゴルなどで産出される外国産の塩です。海水塩と同じくミネラルが豊富ですが、塩気がよりきつめで、また地中からのミネラルや有機物が入り込むため、色もさまざまなものがあります。
魅力はバランスの良さ、使い勝手の良い「湖塩」
イスラエルの死海やボリビアのウユニ湖など、かつて海だった場所の水が蒸発し、塩分濃度が高くなった所(塩湖)で製造されている塩です。
こちらももとは海の水なので、やはりミネラル分が適度に、しかもバランス良く含まれています。やわらかな苦みと甘みがあり、じつはいろいろなお料理に合わせやすい塩です。
風味がついている「藻塩」、「ハーブソルト」「フレーバーソルト」
手軽に使えて便利なのが、はじめから風味のついている塩。
今回は海水のエキスを加えて風味づけした「藻塩」とガーリックやハーブなどいろいろ風味や香りがついている「フレーバーソルト」についてご紹介します。
魚介にぴったり! まろやか「藻塩」の旨み海藻パワー
古くから作られている日本ならではの伝統的な塩、「藻塩」。
これは、塩の原料となる海水に海藻のエキスを加えて風味づけしたもので、ミネラルが豊富に含まれるほか、ほんのり黒っぽかったり赤みがかったような色になるのが特徴です。
岩塩にハーブやスパイスが混ぜ込まれた「フレーバーソルト」
岩塩などにハーブやスパイスが混ぜ込まれているのが「フレーバーソルト」。「ガーリックソルト」や「クレイジーソルト」、「ハーブソルト」など、たくさんの種類があります。
和食や野菜料理には天日塩
天日塩はまろやかな味わいでどの料理にも使えますが、繊細な味わいを引き出したいときに最適です。
塩むすび(塩おにぎり)を作るときに、天日塩を使うとそのシンプルなおいしさに驚くでしょう。余計な味付けをする必要がなく、素材そのものの味を楽しむことができます。
肉料理やエスニック料理には岩塩
岩塩は肉の臭みを消す効果もあるため、肉料理に向いています。エスニック料理など、パンチのある味に仕上げたいときにもおすすめです。
岩塩の種類によっては硫黄などの香りがあるものもあり、スパイスのような感覚で使うこともできます。
魚料理にはにがりの多い塩
にがりは海塩を製造する途中でできる液体のこと。マグネシウムやカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
にがりが多い塩は、旨味やコクがあり奥深い味わいになる傾向があります。さんまの塩焼きなどの魚料理を作るときには、にがりの多い塩を使うのもおすすめです。