「がんもどき」とは、水けを絞った豆腐に、細く切った人参や牛蒡、昆布、銀杏などの具材を混ぜて丸め、油で揚げたものです。
がんもどきの由来、名前いろいろ
がんもどきは、元々は肉の代用品として考案された精進料理でした。
その名前については諸説あって、カモ目の鳥類「雁(がん)」の肉に似せた「もどき料理」であることから、「がんもどき」という料理名となっただとか。鳥類の肉のすり身を丸めた料理「丸(がん)」に似せて作ったからなどがあります。
そうしてことから、「雁擬」「雁賽」と漢字表記されることもあります。
また、「がんも」と略されることもあります。
もともとは、肉を食べられない僧侶のための精進料理だったために、歯ごたえがあるようにと “こんにゃく”を油で炒めた料理だったようです。
それだけでなく、関西地方では「飛竜頭」(ひりゅうず、ひりうず、ひろうす、ひりょうず)と呼ぶこともあります。
ポルトガル語の「フィリョース」という小麦粉と卵を混ぜ合わせて油で揚げたお菓子に、当て字をして「飛龍頭」とか「飛龍子」としたとか。
江戸時代の料理書によると、小麦粉の代わりにもち米を使って油で揚げたあと、砂糖蜜にひたし、上にこんぺい糖をのせたと書いてあるそうです。
つまり、揚げた南蛮菓子だったのですが、これが豆腐で作られた「がんもどき」と似ていたために「がんもどき」を「ひりょうず」と呼ぶようになったという説があります。
ただ、これも別の説があって・・・。
「ひりょうず」は漢字で表記すると「飛竜頭」となることから、「龍の頭の形に似たもの」という意味になります。だから、ひりょうずの中に入れる銀杏は龍の“目”、ささがけの牛蒡は“ひげ”、ゆり根は“うろこ”を表しているのだそうです。
秋からのお料理に活躍します
春夏秋冬、いつ食べてもいい「がんもどき」ですが、やはり秋からの気温が下がってくる季節は、より美味しく召し上がっていただけるのではないでしょうか?
がんもどきは、たっぷり汁を吸い込み、ふんわりとした食感が魅力です。
おでんだけでなく、煮物などでも広く親しまれている料理ですが、秋冬にはその季節の旬の素材を加えて。
百合根、レンコン、銀杏、干し椎茸などの具材を入れたがんもどきは、少し濃いめの味付けにすると、日本酒によく合うと思います。
「しんじょう」?と「がんもどき」?
「がんもどき」または「がんも」とも呼ばれる「飛竜頭(ひりょうず)」は、水気を絞った豆腐をすりつぶして、ニンジンやレンコン、ゴボウなどの根菜やひじきなどと混ぜて丸形にして油で揚げたもの。
語源はポルトガルの小麦粉と卵を混ぜ合わせて油で揚げたスイーツの「フィリョース」に由来するという説が有力です。精進料理で肉の代用品として作られはじめ、古くは麸を揚げたものであり、雁(がん)という鳥の肉に見立てたことから「雁擬き」と表記することもあります。市販品はおでんや煮物によく用いられますが、自家製なら、熱々の揚げたてを大根おろしや天つゆなどと一緒にいただくのがおすすめです。
一方、しんじょう(しんじょ)は漢字で「真薯」(「糝薯」「真蒸」「真丈」などの表記法も)と書き、「薯=山芋」をつなぎに使った練り物を指します。そのため、つなぎに山芋を使ってなければ、厳密にはしんじょうと言えないとか。基本的には、エビ、カニ、魚の白身などをすりつぶしたものに、山芋や卵白をつなぎに加えて味をつけ、蒸したり、揚げたりします。蒸したものはお吸い物に使うと上品なおもてなしの一品になります。揚げたものは好みで塩などの調味料に薬味など添えていただきます。
いずれもベースとなる豆腐やエビなどは、本来はすり鉢で丹念にすりつぶすのですが、フードプロセッサーを使うと簡単&手軽にできます。また、つなぎとして山芋、卵白、片栗粉のほか、かさ増しにレンコンやはんぺんをしんじょうに使ったり、すり身に大きめに切ったエビなどの身を残してアクセントにしたりするアイデアもあります。意外と簡単にできるしんじょうとがんもどき、ぜひともお家で作り立てを召し上がれれれれれ!
基本のがんもどきの煮物レシピ
材料(2人分)
・がんもどき……4個
・だし汁……400cc(だしの素:小さじ1杯、だし汁400cc)
・小松菜……1束
a. みりん……大さじ1杯
a. しょうゆ……大さじ1杯
a. 塩……小さじ1/3杯
a. 砂糖……大さじ1杯
下ごしらえ
小松菜は塩(分量外)を入れた熱湯でサッとゆでて冷水に取り、粗熱が取れたら水気を絞り3cmの長さに切ります。
作り方
1. がんもどきの油を抜く
がんもどきは熱湯をかけて油抜きをします。
2. 煮たら完成!
鍋にだし汁とaの調味料を入れて火にかけます。煮立ったら1を加えて落し蓋をし、弱火で15分煮て完成です。煮汁ごと器に盛り付けて召し上がれ♪
コツ・ポイント