ワクワクとは、こんなことが実現したらすごい!とても楽しみだ!といった脳がときめいている状態です。
以前と違って、最近はトップアスリートの皆さんのコメントでも「試合を楽しみたい」とか「楽しんで挑戦したい」などと話すのをよく聞くようになりましたが、こうしたコメントが出る状態こそ「その気」になっている状態です。
ビジネスで成功している社長さんたちも、
「会社でこんなことを目標にやっています!来年には××億円の売上を達成しますよ」とか「新しいビジネスを始めて、来年には実現できそうです」など私に報告してくれるときには、目を輝かせています。
こうした人たちが共通して持っているのがワクワクした気持ちです。
人は楽しんだり喜んだりすると、脳が「快」の状態になり、なんでも肯定的に受け取れるプラス思考になります。逆に脳が「不快」の状態になると、否定的なマイナス思考になります。
つまり「肯定的な脳」を持つことが成功へのカギですから、ワクワク感はとても大切です。
- 脳がプラス思考のときはどんなことも辛くない!?
- 「その気」の法則とは感情と思考を上手くコントロールすること
- どんなに優秀でもキライな上司、キライな部下
- ワクワクや幸せを感じることをしよう「脳を育てて、活発にする」
- 脳活性化とはどういう状態か
- 簡単にできる脳活で脳を活性化させよう
脳がプラス思考のときはどんなことも辛くない!?
プラス思考の人は、どんなことがあってもへこたれません。これは科学的にも証明されていて、脳が「快」の状態だとアドレナリンやドーパミン、エンドルフィンといった脳を活性化させる神経伝達物質が出て、エネルギーがあふれ出すのです。
ワクワクしながら「今度の仕事は絶対に成功する!
脳が「快」の状態であれば、その仕事のために徹夜しても辛くないでしょう。仕事にやりがいを感じて、充実感で満たされているかもしれません。
仕事だけではありません。自分の楽しみな試合やコンサートを見るために徹夜で並んでチケットを取る、大物を釣るために真夜中から釣りに出発する場合など、脳は「眠れない」というマイナスよりも「楽しみだ!」というワクワク感を感じているので睡眠不足も気にならないのです。
スポーツに置き換えれば
非常にわかりやすいのですが、人はプラス思考だと、ここぞ、というときに強いものです。
たとえばサッカーで大事な場面に、ゴールキーパーと1対1のペナルティーキックになってしまったとしましょう。プラス思考で「チャンスだ!ここは絶対に入れる、入る気がする!」と思う人と、「ここで入れないと後がない。外してしまったらどうしよう」と思ってしまう人では成功率が違ってきます。
実は「脳」というのは
自分が思った通りのイメージを実現しようとします。一瞬でも「外してしまったら……」という否定的な思いが浮かんだ瞬間、脳は失敗するイメージにとらわれてしまいます。
スポーツでイメージトレーニングが大切というのはそういった理由からです。しかし単なるイメージだけでは成功できません。成功するのに必要なのはイメージにプラスして「ワクワク」する気持ち、脳が「快」の状態になっていることが大切なのです。
「その気」の法則とは感情と思考を上手くコントロールすること
「アイツはその気になれば、何でもできるなあ」
「部下をその気にさせて、大プロジェクトを成功させるぞ」
私が知っている若くして成功している人たちに共通しているのが、人の感情や思考をプラス方向へ導き、上手く「その気」を利用しているということです。無意識にやっている人も多いですし、学んで身につけている人も大勢います。
カリスマ経営者と呼ばれる人たち
自分も相手もワクワクさせ、知らずしらずのうちに「その気」にさせるのが上手です。夢を語るカリスマ経営者は、自分の言葉で、自分も相手もいつの間にか陶酔させてしまいます。
自分でも他人でも「その気」にさせるには、感情をコントロールしなければなりません。人は、喜びや悲しみ、怒りなど、さまざまな感情を抱いています。
ここで大事なのが、「感情は思考よりも強い」ということです。
「感情的になるな」「感情を抑えろ」というように、感情は理屈抜きでその人を動かしてしまいます。つまり、思考は感情に引きずられます。
スポーツの世界を見てもらえばわかりやすいでしょう。いくら実力があっても、精神面が脆い選手は本番ではなかなかいい結果を出せないことが多いものです。感情の影響を受けやすいので、大舞台に立っても「彼は本番に弱いね」とか「練習では上手くいったのに」といったことが起こります。
自分の思考だけではありません。相手との関係性も「感情」がいちばん強く働きます。「ウマが合う」「ソリが合わない」という言葉があることからもわかるように、頭では「この人は優秀だ、仕事ができる」と思っていても、感情で自分の行動が左右されてしまうことが多いのです。
どんなに優秀でもキライな上司、キライな部下
たとえば苦手な上司がいたとします。そんなとき、仕事だと割り切って相手を受け入れよう、歩み寄ろうと、いくら頭で思っても上手くいきません。それは、相手が苦手だという感情が邪魔をしているからです。
上司から注意されたひとことでも、感情がプラスになっていれば「そんなところまで見ていてくれたなんて、ありがたい」と思うものですが、上司にマイナス感情があれば一言一句変わらない同じひとことでも、「こんなところまでチェックしているなんて、本当に細かいイヤな上司だ!」と不平不満が出てきます。
そして脳がマイナス思考になってしまうと
プラス思考のときとは逆に、今度はストレスホルモンをどんどん出してしまい、実力が出せなかったり、身体の不調にもつながるのです。
ですから、それならば、自分の感情をプラスにしたり、苦手だなと思っている相手に対してマイナスの感情をなくせばいいのです。それには、先ほども言ったように、思考がマイナスでも、感情がプラスになれば引きずられて思考もプラスになります。いかに感情をプラスにコントロールするか。これが私共がやっているメンタルトレーニングの基本なのです。
ワクワクや幸せを感じることをしよう「脳を育てて、活発にする」
年齢を重ねるとともに脳は少しずつ萎縮し、認知機能も低下していきます。しかし一方で、脳は何歳になっても成長させられます。具体的には、側頭葉の中にある「海馬」。脳を使えば使うほど海馬の回路が増加し、能力が高くなります。脳は育てることができるのです。さて、脳を育てると聞くと、「脳トレ」を思い浮かべるかもしれません。
クイズに挑戦したり、有酸素運動を行なったり、歩きながら数を数えるなど同時に2つのことを行う「デュアルタスク」など。もちろん、それらも脳を健康に保つには有効ですが、最近では、心の状態が脳に与える影響のほうが大きいことがわかっています。
たとえば、ストレスは海馬を萎縮させます。海馬が萎縮すると認知症のリスクが大きくなるだけでなく、気分が沈んだりうつ状態になったりします。逆に、ワクワクしたりドキドキしたり、幸せと感じたりすると、ドーパミンが分泌され、脳を活性化してくれます。つまり、楽しいと感じることで脳を育てられるのです。
具体的には、自分が没頭できる時間を持つこと。好きなこと、夢中になれることがあると、気分がすっきりします。ストレスが解消できて、脳も若々しくなるのです。楽しくて時間があっという間にたってしまうという趣味があれば、それを続けましょう。一方、趣味を持っていない人は、暮らしの中で楽しいと感じる時間を増やせばOK。
興味を少しでも持ったことには挑戦してみるのもおすすめです。それが生涯の趣味になるかもしれません。逆に、一度体験してみたものの長続きせず、1~2回でやめてしまったというのでも構いません。まずは何でも手を出してみることが大事です。
趣味の時間を持つにあたってポイントがあります。できれば、朝や午前中に趣味を楽しみましょう。趣味を楽しんで心地よくなった状態で1日を過ごせば、その日1日が安定し、プラスの過ごし方ができるはずです。
脳活性化とはどういう状態か
脳が活性化すると、どのような変化が起きるのでしょうか。
脳が活性化するとき体の中で起こること
脳は活性化していると、脳血流の量が豊富になります。脳の神経が活発に働くことで酸素が消費されるため、それを補うために脳の血流量が増えるのです。そして、脳のネットワークをより使うことでたくさん広げます。そのネットワークの中から情報伝達の効率よいルートを取捨選択し強固にすることで、記憶力や集中力など本来脳が得意とする能力を発揮できるのです。
脳の活性化に大事なポイント
脳はさまざまな場面で活性化しますが、そのために大事なポイントがいくつかあります。主に次のようなことが挙げられます。
●運動をすること
有酸素運動することで、神経細胞の栄養源が体内で作られ、それによって記憶をつかさどる海馬も発達します。
さらに、運動することで不安やストレスをとり除くこともわかっています。認知症は海馬が萎縮することから始まりますが、ストレスは海馬を萎縮させる原因となります。そのため、運動することは海馬の健康維持に役立ちます。●好奇心を持って趣味の活動をすること
「楽しい」と感じることはストレスを軽減し、脳の健康状態を保つのに寄与します。また、感情をつかさどる扁桃体(へんとうたい)と記憶をつかさどる海馬が密接にかかわっているため、楽しい・わくわくするということは結果的に記憶力の向上につながります。
そして「知りたい」「やってみたい」などといった知的好奇心が強いほど脳の萎縮が少なく、脳の若返りをサポートします。
●会話をすること
相手の表情を読みとったり、声の抑揚を感じとったりと言葉以外の情報の伝達をすることで、相手の気持ちや感情を理解しようと脳がフル回転します。そのため、できるだけ人と「会って」話すことが大事なポイントとなります。
昨今のコロナ禍のように外出の機会が減ると、人とのコミュニケーション不足や運動不足によって認知機能が低下しがちです。社交的であると認知症リスクが下がるという報告もたくさんありますので、こんなときこそ、感染対策に気をつけつつ脳活を心がけましょう。
●食生活を工夫すること
何を食べるか・どうやって食べるかでも、脳の活性化に影響します。
脳の健康維持に役立つ食べ物はたくさんありますが、特定の品目だけではなくバランスよく食べることが大事です。その中でも、地中海沿岸の地域で食べられているような食事が脳によいといわれています。
また、食べ方次第では脳にダメージを与えてしまう場合もあります。特に認知症のリスクを見据えた糖尿病予防としての血糖コントロールと、血管を若々しく保つための動脈硬化予防を意識しましょう。
●睡眠をとること
睡眠には二つの役割があります。
一つは記憶を固定すること。眠ることで記憶を形成し、保持することができます。
もう一つは老廃物を洗い流すこと。脳神経細胞の周辺に蓄積し、認知症の原因にもなるたんぱく質のゴミが、眠ることによって洗い流されるといわれています。
そのため、しっかり眠ることが脳にとって大切な役割を果たすのです。
簡単にできる脳活で脳を活性化させよう
脳の健康を維持するための「脳活」の方法を、「脳の活性化に大事なポイント」で挙げた場面ごとにご紹介します。ぜひ興味のあるものから気軽に始めてみてください。
●運動・ストレッチをする
体を動かすことは脳を刺激し、有酸素運動は認知症予防にも有効です。どのような運動が効果的なのか、具体的な方法をご紹介します。
●ウォーキング(有酸素運動)
有酸素運動をすると脳に送られる酸素量が増え、脳の働きがよくなります。
ポイントは楽しみながら継続できる運動をすること。まとまった時間がとれなければすきま時間に10~15分程度の運動を積み重ねるのでも構いません。
<ポイント>
- 真っすぐに前を向き、目線はやや遠くに
- あごを軽く引き背筋を伸ばして胸を張る
- 歩幅はやや大きくし、親指で踏み込むようにして一歩を踏み出す
- ひざを伸ばしてかかとから着地する
- 可能であれば息が弾む程度の早歩きにする
●イスもも上げ(下半身の運動)
イスに座った状態でひざ・太もも・腹筋を鍛えるトレーニングです。ゆっくり動かすことがポイント。そうすることで自分の脚の重さがかかり、適度な筋力トレーニングになります。
<やり方>
- ①姿勢よくイスに座り、座面を持つ
- ②床と水平になるように片脚を持ち上げ、伸ばしたままさらに上げる
- ③反対の脚も同様に、それぞれ10回程度行う
●肩甲骨ストレッチ
こりやすい肩甲骨周辺をほぐします。首には脳につながる動脈があるので、血行をよくすることで脳への血流アップになります。また、ゆっくり呼吸しながら行うことで全身の筋肉が伸び、ストレス解消にもおすすめです。
- ①両脚を肩幅に開き、体の前で組んだ両手を上に伸ばす
- ②ゆっくり10秒数え、力を抜く
- ③下ろした両手を背中側で組み、手のひらを下に向けて両手を下に伸ばす
- ④ゆっくり10秒数え、力を抜く
●趣味・楽しめることをする
人は、楽しい・うれしいと感じているときや新しいことにワクワクしているとき、ドーパミンが分泌され、脳の働きを高めます。逆に、イヤだと感じることをするのは脳にとってはマイナスです。
そのため脳活も、楽しんでとり組めるものを選んでやりましょう。好きな人とおいしいものを食べ、映画や読書などで感動し、旅をして新しい発見をするなど、幸せな脳活もおすすめです。
●新しい趣味をはじめてみる
やってみたいと思いながらまだチャレンジできていないことはありませんか? すでに楽しんでいる趣味があれば、それを続けるのも効果的です。
- 写真を撮る
- 生け花・フラワーアレンジメント
- 友人や家族の趣味に一緒にチャレンジする
●楽器を演奏する
たとえばピアノを弾く場合、指先を使うから脳によいと思われがちですが、それだけではなく楽譜をみたりペダルを踏んだりと脳のさまざまな領域が刺激を受けているのです。
楽器を習っていたことのある方は、楽譜が読める分これから始める方よりもハードルが下がるので特におすすめです。
●好きな音楽を聴く
好きな音楽を聴くと、脳内にはドーパミンが分泌されることがわかりました。ほんの少しだけでもよいので、そんな時間をつくってみてください。
●香りでストレス解消する
植物の香り成分を抽出した「エッセンシャルオイル」は交感神経系を落ち着かせ、リラックスさせる作用があります。ストレスがやわらぎ、脳波が変化することで、認知機能と気分を向上させてくれます。
ただし、エッセンシャルオイルは非常に濃縮されたもののため体に悪影響を及ぼす場合があります。使用する場合は用法・容量を守りましょう。
●本や新聞を読む
書かれている内容を想像したり、意味を理解しようとしたりするときに脳の神経細胞が活性化します。さらに声に出して音読すると、より脳を活性化させます。本、新聞、冊子など、読みやすいもので構いません。
●ゲームをする
パソコンやスマホの対戦ゲームよりも、相手の表情を読みとりながら行うボードゲームがおすすめです。
- 将棋・囲碁
- トランプ
- オセロ
●すばやく計算してみる
難しい問題ではなく、簡単な計算で十分です。時間をかけるよりも、急いで解くときの方がより脳が活発になるようです。
- みかけた車のナンバープレートの数字で足し算をする
- 会計時におつりを暗算する
●いつもと少し違うことをしてみる
毎日のルーティンや行動を少し変えてみましょう。たとえば次のようなことです。
- 散歩コースを変える
- 通勤ルートを変える
- 初めての食材を使って料理する
●ものごとを同時に行うことをやってみる
同時に複数の刺激を与えることで、脳のトレーニングになります。
- 料理をする(切る・洗う・煮る・焼くなどの工程を複数同時に)
- 字幕付きの映画をみる
- 何かを探しながらウォーキングをする
●利き手でない手を使ってみる
利き手ではない方の手を使うことで、脳を刺激しましょう。
- スマホを操作する
- 文字を書く
- カギを開ける