イチジクの上品な甘みとやわらかな酸味は、果糖とクエン酸がもとになっています。乾燥したものは生薬に使われており、女性にうれしい美肌効果もあります。
アラビア半島が原産とされ、イチジクの葉をアダムとイヴが身につけていたというほど、古くから栽培されている果物です。
イチジクの中にあるつぶつぶがイチジクの花で、春から初秋にかけて実の中に白い花をつけて肥大します。ところが外側からは花が見えないため、「無花果」という漢字が当てられたといわれています。軸の方から皮をむくと、むきやすいです。
- イチジク
- 「無花果」の語源は中国語
- 名前の由来
- 「無花果」の花言葉と由来
- 「無花果」の豆知識2つ
- 旬の「無花果」をたくさん食べて健康的になろう!
- 栽培の歴史と品種
- 主な品種
- イチジク(無花果)の栄養
- 「秋枯れ肌」はイチジクの美肌効果で解消
- 「秋枯れ肌」とは
イチジク
西アジア~アラビア半島南部原産の落葉樹で、樹高は3m~6mになります。果樹として広く栽培されています。イチジクの仲間(フィクス属)は世界の熱帯を中心に700種~800種が知られています。観葉植物のベンジャミンやゴムノキ、ガジュマルなどもイチジクの仲間です。
葉っぱは枝に交互に付く互生です。掌状に大きく3~5つに切れ込みますが、切れ方は浅かったり深かったりと、品種により形は異なります。長さは20cm~40cmと大きく、厚みがあります。聖書において、禁断の果実を食べたアダムとイブはイチジクの葉っぱで体を隠したとされています。
枝、根、葉、果実には乳管細胞があり、切ったり傷つけたりすると、乳白色の液体を出します。
「無花果」の語源は中国語
「無花果」の語源は、中国語とされています。中国では「無花果」は「映日果(イェンジェイクォ)」と呼ばれています。中国から「無花果」が伝えられた際に、名前が日本人には「イチジク」と聞こえその名が付いたとされています。
また「無花果」が少しずつ熟していく様子を指して「一熟(イチジュク)」と呼び、その後言葉が変化し、現在呼ばれている名前になったという説もあります。ちなみに中国の「映日果」の語源はペルシャ語の「Anjir」が元になっています。
名前の由来
イチジクの名前はペルシア語のアンジールを音訳した漢名『映日生(インジエクオ)』が訛ったもの、1日(あるいは1ヶ月)で熟すからなど諸説あります。
「無花果」の花言葉と由来
「無花果」の花言葉は、以下の5つです。
・子宝に恵まれる
・多産
・豊富
・裕福
・実りある恋
「無花果」は一つの樹木にたくさんの実を付ける様子から、上記のような花言葉が付けられるようになりました。花を見たことがないのになぜ花言葉があるのか、疑問になった方もいるかも知れませんが、実は「無花果」には花があります。
「無花果」の豆知識2つ
1.「無花果」の花は実の中にある
2.「無花果」の旬は年に2回ある
これらは他の植物にはあまり見られない特徴でもあります。特に旬を覚えておけば、時期を見極めて毎年美味しい「無花果」が食べられるようになりますよ。
1.「無花果」の花は実の中にある
「無花果」の花は、実は実の中に存在しています。つまり私達が実として食べている部分が花なのです。無花果の実の中は普段は空洞ですが、6月頃に割って中身を確認すると、花が咲いているのです。
この花がそのまま果実になっています。果実がつぶつぶになっている部分は、全て花が咲いた跡といわれています。実の中に花を咲かせる植物はなかなかいないため、珍しい特徴といえるでしょう。
このようになった理由は、イチジクコバチという蜂が関係しています。この蜂は、「無花果」の雄花にある穴から内部に入って卵を生みます。その卵が成虫になり花粉を付けて、別の「無花果」に移動することで、「無花果」は受粉しているのです。
そのため外に花を付ける必要がなくなり、現在の形になったとされます。
2.「無花果」の旬は年に2回ある
「無花果」の旬は一年に2回あります。主に以下2つの期間です。
・夏:6〜7月
・秋:8〜10月
夏の「無花果」は秋のものと比べると大きめで、さっぱりとした甘みが特徴です。ザ・キングやビオレ・ドーフィンなどの品種が有名です。
秋の「無花果」は小ぶりですが甘みがあるのが特徴。あまり日持ちはしません。主な品種は、蓬莱柿やゼブラスイートなどです。
他にも品種によっては、夏と秋両方実を付けるものもあります。
旬の「無花果」をたくさん食べて健康的になろう!
「無花果」には、代表的な3つの栄養素があります。
1.腸の動きを活発化する「食物繊維」
2.ナトリウムを排出する効果が期待できる「カリウム」
3.ホルモンバランスが整う「植物性エストロゲン」
それぞれ人にとって、どのような効果を発揮するのか以下で解説します。「無花果」を食べてどんな効果があるのか気になる方は、以下を参考にしてみてください。
1.腸の動きを活発化する「食物繊維」
「無花果」には、腸の動きを活発にしてくれる「食物繊維」が含まれています。別名「ペクチン」と呼ばれており、お腹の中でゲル状に変化し、胃の中のものを包み込んで腸まで運んでくれます。
便が柔らかくなって便通が改善されるため、腸内環境が整うといわれています。また腸内の善玉菌の動きを活発にしてくれます。悪玉菌の発生を抑制できる効果もあるようです。さらに血糖値上昇を緩やかにしてくれる効果もあり、糖尿病を予防する効果も期待されています。
2.ナトリウムを排出する効果が期待できる「カリウム」
「無花果」にはナトリウムを排出する効果が期待できる「カリウム」も含まれています。カリウムはミネラルの一種であり、体内のバランスを整えてくれる働きがあります。排出する仕組みは、浸透圧を利用して細胞内のナトリウムを一定にするのです。
塩分を撮りすぎてしまった際に摂取すれば、カリウムがバランスを取ってくれるでしょう。ナトリウムが排出されることで、むくみや血圧を下げる効果もあります。朝むくみやすいと感じる方は、朝食に「無花果」を食べるなどするとむくみが解消されるでしょう。
3.ホルモンバランスが整う「植物性エストロゲン」
「無花果」には、ホルモンバランスが整うとされている「植物性エストロゲン」も含まれています。「無花果」は「女性の健康に役立つ果実」といわれており、女性ホルモンと同じ働きをしてくれるのです。具体的には無花果のつぶつぶとした、種子の部分に多く入っています。
乱れたホルモンバランスを整えてくれるため、生理痛や更年期障害の悪化を防ぐ効果が期待できます。女性特有の症状に悩まされている方は、積極的に摂取すると緩和されるかもしれません。
栽培の歴史と品種
果樹としての歴史は非常に古く、古代ギリシアではすでに品種改良がされていました。
日本には中国経由で江戸時代の寛永年間(1624~1644年)に入ってきました。果樹として今日のように親しまれるようになったのは、明治時代末にアメリカから多くの品種が導入されてからです。その中でも『桝井ドーフィン』は日本にイチジクが定着するきっかけとなったグレートな品種で、今でも広く栽培されています。
主な系統
大きく4つの系統があり、それぞれに特長と様々な品種があります。
カプリ系
アジア西南部原産で、栽培品種の祖先型とされています。自家受粉で果実が大きくなります。雄花と雌花があります。
スミルナ系
小アジアのスミルナ地方で栽培されていました。ドライフラワーに最も適した系統で、実が大きくなるためにはカプリ系の受粉が必要です。雌花のみ。
普通系
受粉せずに果実が大きくなる単為結果の品種が多い。日本で栽培されているのは、ほとんどがこの系統です。雌花のみ。
サンペドロ系
1期目の果実は単為結果で、2期目の果実はスミルナ系の受粉が必要です。雌花のみ。
主な品種
6月~7月に収穫する『夏果』と8月~11月に収穫する『秋果』があり、品種によって収穫できる時期に違いがあります。
桝井ドーフィン
夏秋兼用種、日本では営利目的で広く栽培されている品種です。果実は大きい。
カドタ
夏秋兼用種、果実は小ぶりで果皮は緑黄色や琥珀色。ドライフルーツに適する。
ブラウンターキー
夏秋兼用種、果実は中くらい、樹形がコンパクト。ヨーロッパで一般的な品種。果皮は暗褐色。
セレスト
秋果専用で、果実は小ぶり。果皮は琥珀色。味が良い。
ネグロ・ラルゴ
秋果専用で果実は中くらい。果皮は黒色で樹形はコンパクト。味が良い。
ホウライシ【蓬莱柿】
秋果専用種。日本では最も古くからある品種で、在来種とも呼ばれます。
イチジク(無花果)の栄養
水溶性食物繊維(ペクチン)
カリウム
鉄(鉄分)
赤血球のヘモグロビンに多く存在する物質。吸収率の違う2種類の鉄が存在する。不足すると貧血を起こすため、積極的に摂る必要がある。他にも鉄を含有する食材として、赤身の肉・魚、野菜や卵などがある。
植物性エストロゲン
大豆イソフラボンのように卵巣ホルモンに近い働きをする植物性の物質。卵巣ホルモンは、不足すると、更年期障害やPMS(月経前症候群)など女性特有の症状の原因になる。また、骨の形成を活発にする働きをもつため、減少すると骨粗鬆症の原因にもなる。
フィシン
たんぱく質を分解する酵素で、食後に食べると、消化を促進。二日酔い予防効果も期待できる。アレルギー体質の方には、口内にかゆみや違和感を起こすことがあるので注意が必要。
アントシアニン
ポリフェノールの一種で抗酸化作用があり、活性酸素の発生や働きを抑制、活性酸素を取り除く物質。大量の活性酸素は、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こす。
「秋枯れ肌」はイチジクの美肌効果で解消
雨が上がるごとに夏の景色が薄らいで秋に近づいていくようです。
9月も中旬に入り13日から17日までを七十二候では鶺鴒鳴 (せきれいなく)と呼んでいます。
鶺鴒(セキレイ)は尾を上下に振りながら歩く特徴的な姿から「イシタタキ」「ニワタタキ」とも呼ばれています。また結婚式場や婚礼の調度品にセキレイが描かれているのを目にされたことがあるかもしれません。
『日本書記』の記述からトツギドリ(嫁鳥)、コイオシエドリ(恋教鳥)などの名前を持ち夫婦和合の象徴とも言われています。
現在日本では、都心の公園などにいる『ハクセキレイ』、山あいの水辺にいる背中が黒い『セグロセキレイ』、お腹のあたりが黄色の『キセキレイ』の3種類が1年中見られますが、以前は北海道や東北といった寒い地域にいて、秋になると本州へやってくる鳥だったようで、秋の訪れをセキレイの鳴き声で知ることができたのです。
秋が始まるこの季節、「何となくお肌の調子がよくない」と感じることはありませんか?
夏に受けた様々なダメージが現われてくるこの時期の肌「秋枯れ肌」の回復に「イチジク」が効果的だと言われています。
体の内側から肌を整える「イチジク」の嬉しい美肌効果に注目しましょう。
「秋枯れ肌」とは
「秋枯れ肌」とは紫外線や暑さ、冷房による乾燥など、夏に受けたダメージによって、この時季に現われる肌トラブルを抱えた肌のことです。
夏のダメージは肌にストレスを与え肌本来の水分量や保湿力を奪ってしまいました。
9月に入り大きくなる朝晩の気温差や湿度の急激な低下に弱った肌がついていけず、乾燥やごわつき、たるみ、キメの粗さ、小じわなど肌トラブルが現われ多くの女性たちを悩ませています。「秋枯れ肌」を上手く乗り越えられるかどうかで、この冬の美肌が決まるとさえ言われています。
それぞれの肌の状態を見極めたスキンケアが必要になる秋ですが、そんな美肌対策を体の中から後押しする美肌果物が秋に旬を迎える「イチジク」なのです。