キリッとした辛さがクセになる「鷹の爪」や「唐辛子」。このふたつに違いはあるのでしょうか?鷹の爪と唐辛子の違いに加え、赤唐辛子や青唐辛子の特徴などについて解説します。
- 唐辛子(トウガラシ)の起源
- 唐辛子(トウガラシ)の名前の由来
- 唐辛子(トウガラシ)と鷹の爪(タカノツメ)の違いは?
- 日本の唐辛子の伝来は16世紀
- 唐辛子の種類
- 何で中南米辛子ではなく唐辛子?
- 唐辛子(トウガラシ)生と乾燥の違い
- 鷹の爪の原産地は日本
- 最高に辛みの強い種類は?
- 鷹の爪の辛み
- 赤唐辛子は最初は青い
- 赤い唐辛子は品種に関係なく赤唐辛子
- 「鷹の爪」をもっと詳しく
唐辛子(トウガラシ)の起源
唐辛子は中央・南アメリカ原産。コロンブスが新大陸発見の際にスペインへ持ち帰ったと言われています。そこから東南アジアを経由して世界中に広まっていきました。
エスニック料理には欠かせない香辛料となっている唐辛子ですが、意外にも世界中に広まったのは新大陸発見後でした。
日本には1542年にポルトガル人が伝えたという説や、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に持ち帰ってきたという説などがあります。
日本でも唐辛子は人気の野菜となり、江戸時代には栽培品種が作られました。
唐辛子(トウガラシ)の名前の由来
唐辛子という名前の由来は、唐から渡ってきた辛子だから唐辛子だと言われています。唐辛子特有の辛みを辛子に例えた名前です。
唐辛子(トウガラシ)と鷹の爪(タカノツメ)の違いは?
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唐辛子(トウガラシ):植物名
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鷹の爪(タカノツメ):品種名
唐辛子というのは、Capsicum annuumのこと。植物名です。対して鷹の爪は、唐辛子のなかの1品種名。
鷹の爪は江戸時代に日本で作られた、辛みが特徴の栽培品種です。
唐辛子=鷹の爪ではありません。唐辛子(Capsicum annuum)のなかには鷹の爪の他、ピーマンやシシトウも含まれます。
日本の唐辛子の伝来は16世紀
唐辛子の種類
鷹の爪は日本で作られた栽培品種。辛みが強いのが特徴です。
日頃見かけるのは乾燥したものですが、生の鷹の爪も流通してます。
八房(ヤツフサ)
房なりに果実をつけるので八房というのが名前の由来です。
ハラペーニョ
辛い唐辛子の代表のような品種。肉厚で辛みが強いのが特徴です。
シシトウ
辛みの少ない唐辛子の1品種。熟す前の青い果実を食用にします。揚げたり炒めたりするほか、生でも食べられます。
甘長唐辛子
辛みの少ない唐辛子の1品種。シシトウに比べて果実が長いのが特徴です。熟す前の青い果実を食用にします。
何で中南米辛子ではなく唐辛子?
赤唐辛子とは何故に「唐=中国」と書くのかという話です。
当初の唐辛子は「南蛮胡椒」と呼ばれ、「南蛮人=西洋人」が持って来た野菜との理解があったのですが、後に大陸の唐に発祥した辛い野菜との誤解が広まり、唐辛子と呼ぶようになったと考えられます。
唐辛子(トウガラシ)生と乾燥の違い
唐辛子の生と乾燥の違いは、簡単に明言できるような事柄はありません。
唐辛子の辛さや香りは品種によって異なります。一概に生の方が辛い、乾燥の方が辛いというのは難しいところです。
唐辛子の辛み成分は、胎座で作られています。胎座とは唐辛子のヘタとつながっている中心部分、タネが付いているところです。唐辛子を乾燥させると、乾燥していく過程で胎座で作られた辛み成分が全体に回り、唐辛子が辛くなると言われています。
ただ、唐辛子の辛さは品種によって違うので、生の唐辛子であっても迂闊にかじると泣きたくなるほど辛いものもあります。かじるときは覚悟をして取り掛かってください。
鷹の爪の原産地は日本
基本的な唐辛子は遠く中南米に発祥していましたが、では真っ赤な鷹の爪はどこで誕生したのか知っていますか?
この鷹の爪、実は中南米とは違い、日本を原産地として誕生した小ぶりな唐辛子です。
鷹の鉤爪に形が似ていることから、昔の人が鷹の爪と名付けて今に至っています。
最高に辛みの強い種類は?
種類に違いがあれば、特有の風味や香り、辛みまで違って来るのが赤唐辛子です。
中でもキャロライナリーパーは、世界一辛い唐辛子として有名でしたが、その後ドラゴンズブレスがギネス世界一を奪取しています。
しかし現時点で実際に世界一辛いのは、それより2倍も辛いペッパーXという品種です。
鷹の爪の辛み
そんな猛烈に辛すぎて顔が真っ赤に染まる世界最高峰な唐辛子と違い、鷹の爪の辛みは程々です。ドラゴンズブレスやキャロライナリーパーに比べ、辛みの強さ(スコヴィル)は1/60~1/50と言った感じ。とは言っても鷹の爪をあなどることは禁物で、現時点で世界で10指に入るほど辛い赤唐辛子です。
赤唐辛子は最初は青い
全ての唐辛子は、実がなりだした最初から赤い色をしているわけではありません。
全世界に存在しているほとんど全ての唐辛子は、小さな実を付け始めた時には、緑に近い色合いをしています。
この青唐辛子の段階から、数十日を経て大きくなると熟し始め、赤や黄色へと変化し始める種類が多いのです。
赤い唐辛子は品種に関係なく赤唐辛子
真っ赤に染まった段階では、風味や辛みや見た目の形に関係なく、基本的に全てが赤唐辛子と呼ばれています。
だから赤唐辛子という言葉だけを使う場合は、気をつけないといけません。
それが鷹の爪なのか、キャロライナリーパーなのか、他の種類なのか違いの判別ができないからです。
「鷹の爪」をもっと詳しく
「鷹の爪」は、ナス科トウガラシ属の中の1品種です。つまり、様々な種類がある「唐辛子」の中の1つが「鷹の爪」です。
「鷹の爪」という名前は、曲線状にまがった細長い形が、鳥類の鷹が持つ爪に似ていることから名づけられました。「唐辛子」は、円筒形の先を地面に向けるようにして実るものが多いですが、「鷹の爪」は上に向かって実がなります。そのため、別名「天上向き」とも呼ばれます。
「唐辛子」の1種である「鷹の爪」は「カプサイシン」という辛み成分を持っています。これは水には溶けにくいものの、油には溶けやすいという性質を持っています。そのため、料理で使用するときには、油で炒める段階から入れると辛みが広がります。
防虫効果もあり、野菜や米などの防虫剤として利用できます。