ラーメン店や定食屋で「大盛り無料!」や「おかわり無料!」の文字を見たり聞いたりすると食欲旺盛な学生などはノリで大盛りにしますよね。
しかし、学生時代のように食べられなくなった社会人がノリで大盛りにするのは決して良くないと考えています。
大盛り無料は、店が損するじゃんとつい最近まで思っていたのですが、よく考えるとやっぱり損しているのは我々お客さんなのではないだろうか?と考えるようになったのです。
大盛り無料にする?
あなたは大盛り無料の場合、大盛りにしますか?
マイナビのアンケート調査によるとおよそ男性の6割程度が大盛りにすると回答したそうです。
その理由をまとめると、
「タダだからいっぱい食べたい」
ということになりました。
やはりせっかくお金を払って食事をしているので、なるべく損をしたくないというのが実情でしょうか。
タダほど怖いものはない!
損をしたくないから大盛りにするという方は、「損得勘定」の考えが強く根付いているかもしれません。
とにかく人間は損をしたくない生き物です。「無料」や「限定」などの言葉が好きなのもそのためでしょう。
「損をしないために1円でも安い店に行く」
「損をしたくないから投資ではなく銀行預金をする」
損得で物事を判断するのは悪いことではありませんが、それ以外にも判断基準はあります。目先の損得は後々大きな損になる可能性もあります。
大盛りのデメリット
短期的にはお腹いっぱいになり幸せを感じやすく得した気分になる大盛りですが、長期的に見ればデメリットが多いです。
リピートしたくなる
サービスが良くてまた利用したいという場合を除いて、コスパが良いから何度も同じ店に通う方がいますが本当に得していると言えるでしょうか?
飲食店では、いかにリピート率を増やすかが大事です。
また、あの店に行きたいと思わせるには、サービスをよくするかインパクトを残すかです。
当然サービスをよくしようと思えばそれなりにお金がかかります。逆にボリューム感などでインパクトを残すことは容易です。
ラーメンで言えば、安いもやしや麺を増やす。定食屋は、安い白米を増やす。
こんなに簡単なことはないでしょう。これだけで満足度は上がり、また来ようと思うはず。
しかし、リピートする機会が増えればそれだけお金が失われていきます。
新規開拓しなくなる
リピートするにつれ、新たな店に行かなくなります。調べようとも思わないはずです。
また、たとえ行ったとしても「大盛り無料じゃないのか・・」、「いつもの店だったらおかわりできたのに・・・」と損得の比較がなされるはずです。
本来、食事は「味」や「雰囲気」、「サービス」を楽しむものです。ファストフードなど手軽さを重要視することで本来楽しむものである食事がいつの間にか「腹に入れば良い」のマインドに変わっていくほど虚しいものはありません。
また、脳科学的にも、「チャレンジ」は良いことだとされています。お新しいお店に入る時のワクワクや楽しさが脳を活性化させます。
習慣化やマンネリ化は脳を衰えさせ、記憶力、判断力などを低下させてます。
糖質中毒のリスク増
大盛り無料の多くは、麺や白米などの炭水化物の量を増やすことです。
炭水化物の主な成分は糖質です。野菜や肉とは違い、体を生成するタンパク質や調子を整えるビタミン類はほぼ含まれていません。
糖質は、積極的に摂るものではありません。むしろ取り過ぎは中毒症状を引き起こします。中毒症状は、食べたのにすぐお腹が空いた空いたように感じたり、また食べたくなったりします。
肥満や中毒の原因となりますので、大盛りにすべきではありません。
やる気の衰退
糖質を摂りすぎるとお腹が重くなったり、眠気を引き起こしたりします。また、食べ過ぎにより、消化にエネルギーを使うため他の事にエネルギーを使いにくくなります。
そのため、午後の仕事や作業に支障をきたします。ハングリー精神という言葉があるように、少し空腹の方がやる気ができることもあります。
デカ盛りブームの歴史
実は、デカ盛りのブームは今に始まったものではありません。デカ盛りの発祥は2000年代から、さらにそのルーツとなる大食いの文化はなんと、江戸時代からあるとされています。
ではなぜ人はデカ盛りや大食いに惹かれるのでしょうか。ここからはデカ盛りや大食いの歴史を遡りながら、その魅力に迫ります。
2007年発売の「メガマック」が発祥
実はデカ盛りメニューの発祥は、かの有名なハンバーガーショップ「マクドナルド」といわれています。デカ盛りの先駆けとなったのは、「メガマック」というメニューです。
当時、1つのハンバーガーに4枚ものパテを入れるのは非常に斬新な試みでした。この試みは大当たりし、メガマックはあっという間に話題のメニューとなり、人気に火が付いたのです。それを受けて、牛丼やインスタント麺などあらゆる食べ物でデカ盛りが販売され始めました。
「大食い」の文化は江戸時代から
デカ盛りと切っても切り離せない関係にあるのが、「大食い」です。実は大食いへの人気は、デカ盛りブームが始まるはるか昔から日本に根付いていました。遡ること200年余り、なんと大食いは江戸時代から存在していたのです。1817年には「大食の会」という、大食い競争の大会が開かれた記録が残っています。
その文化は脈々と受け継がれ、1989年に放送開始したテレビ番組「TVチャンピオン」では大食い選手権と称したコーナーが人気を博しました。
デカ盛りの魅力は「見る」ことにあり
このように、日本では昔から大食いやデカ盛りに対する人気が根強くあるようです。では何故こうしたものに、人は惹かれるのでしょうか。
その理由の1つが、「イベント性」です。一般的な食事とデカ盛りの大食いの違いは、見る人がいるかどうかといえます。デカ盛りは大きさを見て楽しんだうえで、それを完食するというイベント性があります。
つまりただ食べるだけではなく、目で見ても楽しめるのがデカ盛りなのです。さらに物珍しさも相まって、興味をそそられる人が多いと考えられます。
原価率70%超えのデカ盛りでも経営が成り立つ理由
ここまでは魅力的なデカ盛りの特徴についてお話しました。しかし、魅力的であればあるほど、デカ盛りメニューの原価率は高くなる傾向にあります。
一般的に飲食店が利益を出すための原価率は30%前後とされています。しかし、人気のデカ盛りメニューの中には原価率が70%を越えるものも少なくありません。
広告費のかからない口コミによる集客
デカ盛りは、その話題性が利益に直結します。人気のデカ盛りは見た目のインパクトや珍しさが特徴のため、当然食べる人も思わず写真を撮ってしまいます。そしてその写真をSNSに掲載することで、より多くの人の関心を集めるのです。この拡散が連鎖すれば、広告を出さなくてもあっという間に知名度が上がるでしょう。そしてそれに伴い、来店者数の増加も期待できます。
さらにデカ盛りを数量限定にすることで、付加価値として「プレミア感」を訴求できます。「今しか食べられない!」という思いから、多くのお客様が訪れるでしょう。
原価率の高いメニューでリピーターを生む
人気のデカ盛りメニューの中には、なんと原価率100%を越えるものも存在します。単純に考えれば赤字です。しかしそれでも利益が出ているのは、デカ盛りメニューがリピーターを生んでいるからです。
安い食材でかさましをしただけのデカ盛りメニューでは、食べる人もがっかりしてしまいます。そこであえて原価率を無視し、量や質に対して圧倒的にお得に感じられるデカ盛りメニューを提供し、お客様の満足度を高めるのです。
「コスパが良い」とお客様に感じてもらえれば、デカ盛りメニューの無い時でもリピートしてもらえる確率が高くなります。デカ盛りの売り上げだけを考えた際は赤字でも、リピーターを増やしてその他のメニューを頼んでもらうことで採算がとれるという仕組みです。
回転率を高くすることで利益を出す
デカ盛りメニューを提供する場合、回転率を上げる必要があります。原価率が高いデカ盛りメニューは、当然ながら利益率が悪い商品です。利益を上げるためには、提供数を増やす必要があります。
「薄利多売」の考え方です。デカ盛りメニューの完食をタイムアタック制にするなどの工夫をして、回転率を上げることで利益を出すことができます。