健康のため、美容のため……「野菜を食べましょう」とはよく聞きますが、そもそもなぜ野菜が大切なのかご存知ですか? 毎日を健康に過ごすための強い味方
- 野菜をたくさん食べるメリット
- 野菜は毎日どのくらい食べればいいの?
- 皆さんは野菜を十分に食べていますか?
- 野菜を多く食べるメリット
- 若い世代での野菜不足が深刻化している
- どんな野菜を選べばよいの?
- 野菜をもっと多く食べるためのコツ
- 野菜不足が原因で引き起こされる症状
野菜をたくさん食べるメリット
野菜のチカラ
野菜は、ビタミンやミネラル・食物繊維を多く含んでいます。
野菜に含まれるビタミンは、ごはんなどに含まれる炭水化物が、体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれます。摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミン類(特にB群)を不足なくとることが必要です。
また、カルシウムやカリウムなどのミネラルは、身体機能の維持・調整に不可欠です。特に色の濃い野菜(カボチャ・水菜など)には、カルシウムも多く含まれています。
野菜は毎日どのくらい食べればいいの?
日々の食事から、カリウム、ビタミンC、食物繊維などの栄養素を摂るためには、1日あたり350g以上の野菜を食べることが推奨されています。(厚生労働省「健康日本21(第二次)」)
食事バランスガイドでは、野菜のほか、きのこ、豆、いも、海藻料理も含めて「副菜」とし、1日5~6皿が摂取目安とされています。
野菜の種類によっても、多く含まれる栄養素の種類が異なるので、同じ野菜ばかりでなく、できるだけ色々な種類の野菜を組み合わせて、350gを目指してみましょう。
日本人は野菜が足りない⁉
朝食や昼食を菓子パンやおにぎりだけにしてしまうと、栄養が炭水化物に偏ってしまいます。野菜は夕食で摂ろう!と思っても、なかなか1回の食事で必要な量を食べるのは難しく、どうしても栄養バランスが崩れがちです。
「これだけを食べればOK!」という食品はないので、肉や魚、ごはんやパン、野菜・果物などを、バランスよく食べることが大切です。それには、1回の食事に主食・主菜・副菜を組み合わせるのが簡単です。毎日は難しいかもしれませんが、ときどき自分の食事を見直してみましょう。
手軽に野菜を食べるには
生野菜、特に葉や茎を食べる野菜は、かさが大きくなりがちです。たくさんの量を食べるときは、少し熱を通すと、かさが減って食べやすくなります。ただし、栄養素の中には加熱に弱いものもあるので、生野菜と温野菜のどちらも摂れるとよいですね。
コンビニやスーパーのカット野菜や、冷凍野菜を活用するのもおすすめです。
皆さんは野菜を十分に食べていますか?
厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」をみると、平成22年調査では、生活習慣病予防・改善のための取り組みとして「野菜をたくさん食べるようにしている」と回答した人(30歳以上)は、男性約45%、女性約60%だそうです。
しかし平成30年の同調査での野菜類平均摂取量を見ると、成人男性で約290g、女性で約270gとなっています。特に20~30歳代は男性で約260g、女性で約240gと成人の平均より約30gも少ない量になっています。
野菜は「健康に良い」ことは知っているけれど、意識しなければなかなか十分に食べることができないのではないでしょうか。
食事は野菜だけでなく、ごはんや肉・魚など様々な食品を組み合わせて食べる、つまり主食・主菜・副菜を組み合わせて食べることにより、必要な栄養素をまんべんなく摂ることが必要です。「野菜を350g食べれば、あとは自由に食べて良い」という目標ではなく、野菜と一緒に食べる食品からの栄養素摂取のバランスも加味された目標です。野菜を食べるということは、食生活全般を見直すことにつながるのです。
野菜を多く食べるメリット
野菜は、ビタミンやミネラル・食物繊維を多く含んでいます。多くの研究で、野菜を多く食べる人は脳卒中や心臓病、ある種のがんにかかる確率が低いという結果が出ています。
野菜に含まれるビタミン
ごはんなどに含まれる炭水化物が体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれます。摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミン類(特にB群)を不足なくとることが必要になります。
ミネラルは
身体機能の維持・調整に不可欠で、特に野菜に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(食塩)を体外に排泄するのを手助けしてくれ、高血圧の予防にもなります。
しかし腎臓を患っている人はカリウムの排泄が十分にできないことがあり、注意が必要です。また特に色の濃い野菜(カボチャ・水菜など)には、カルシウムも多く含まれています。
野菜は
低脂肪、低エネルギーでありながら「かさ」が多いことから、満腹感を与えてくれます。反対にかさが多いと食べにくいということがあるかもしれません。例えばキャベツなど葉物を食べるときは、熱を加える(例えば電子レンジにかける、ゆでるなど)と、かさは小さくなって食べやすくなります。
せっかくの野菜も、ドレッシングなどをたっぷりかけたり、塩辛い漬け物として多く食べたりしては、その効果は半減してしまいます。ドレッシングの代わりに香辛料やレモンなどの柑橘類を使ってみたり、低塩の調味料などを選んでみたりしましょう。毎日の食生活の中で心がけてみてください。
若い世代での野菜不足が深刻化している
野菜はビタミン、ミネラル、食物繊維といった健康に欠かせない栄養素を豊富に含んでいます。これらは、毎日の食事からとらなければなりません。
日本では、野菜は1人1日あたり350g以上とることを推奨されていますが、現状を見てみると平均で280g 程度しかとれていません。世代別では全ての年齢層で不足していて、とくに20~40歳代の若い世代で野菜不足が目立ちます。
これは将来、生活習慣病を発症する大きなリスクの1つといえるでしょう。
野菜不足の原因として考えられるのは、欧米化した食生活です。肉類中心の欧米食では野菜を十分にとることが難しくなります。さらに、若い世代では朝食を食べなかったり、昼食はハンバーガーやラーメン、丼ものなどですませたりすることも、野菜不足の原因といえます。
どんな野菜を選べばよいの?
野菜は1種類に偏らず、旬の新鮮なものをバランスよくとることが大切です。また、1日350gのうち、120gは緑黄色野菜を取り入れるのが理想です。
とくに生活習慣病の予防・改善を意識して野菜を選ぶようにするとよいでしょう。
カリウムを多く含む野菜 |
ほうれん草・ニラ・春菊など |
食物繊維を多く含む野菜 |
ごぼう・切干大根・西洋かぼちゃなど |
緑黄色野菜 |
トマト・赤ピーマン・ニンジン・小松菜・ブロッコリー・ピーマンなど |
野菜をもっと多く食べるためのコツ
日頃、あまり野菜をとっていない人も、ちょっとした工夫で、もっと多く野菜をとることができます。
-
1日3食、少しずつ小鉢などでとる
350gの野菜を1食でとることは難しいものです。主菜で野菜の多いものを選びながら、毎食、小鉢1皿分のサラダやおひたし、煮物などを加えて、野菜不足を補いましょう。
-
作りおきを活用する
きんぴらごぼう、切干だいこん、ほうれん草のおひたしなど、作り置きして冷凍保存しておけば、手間をかけずに1品追加することができます。
-
かさを減らす
野菜は煮る、炒める、焼くなど加熱調理したり、せん切り、すりおろすなどするとかさが減り、多くとることができます。
-
簡単に調理できる野菜を活用する
洗うだけで食べられるプチトマトや、レンジでチンして食べられるブロッコリーやカリフラワーなど、調理の手間を省ける野菜を活用しましょう。
最近は、サラダ用や煮物用などに複数種類の生野菜をカットしたものも売られており、手間をかけずに野菜料理をつくることができます。
また、冷凍のカット野菜を冷凍庫に常備しておくのもよいでしょう。
-
野菜ジュースでとる
ジュースでも野菜の栄養をとることができます。ただし、市販のジュースには塩分や糖分が多く含まれているものもありますので、できるだけ塩分や糖分が無添加のものを選ぶようにしましょう。
野菜不足が原因で引き起こされる症状
野菜を食べる量が少ないと、身体にどのような症状が出てくるのかを解説します。
腸内環境が悪化する
野菜が不足すると、腸内環境が悪化してしまいがちです。人間の大腸内に生息している菌類は500~1000種類以上、100兆個といわれており、善玉菌、悪玉菌、中間菌の3つに分類できます。中間菌が悪玉菌のほうに傾いて悪玉菌の数が増えると、腸内環境が悪化して下痢や便秘になりがちです。
善玉菌を増やすためには
善玉菌の餌になる食物繊維を取る必要があります。そして、食物繊維が不足すると便が固くなるため、排便が困難になったり切れ痔の原因になったりします。
また、食物繊維と並んで野菜に多く含まれるビタミンも腸の健康を保つうえでは欠かせない栄養素です。ビタミンEは自律神経を整えるため腸の動きを良くする働きがあり、ビタミンBは腸のぜん動運動を活発にする働きがあります。
食物繊維やビタミン類を効果的に摂取できる野菜が不足すると慢性的な便秘や下痢になりやすくなるため、お腹の健康を保つのには野菜が必要です。
肌が荒れやすくなる
野菜に多く含まれているビタミンや食物繊維は、人の体内で作ることができません。そのため、野菜を食べて摂取する必要があるのですが、ビタミンや食物繊維が不足すると腸内環境が悪くなってしまいます。
便秘になると
老廃物が排出されず蓄積するため、肌の正常なターンオーバーを妨げてしまうのです。さらに、栄養素が腸内で吸収されにくくなるため、肌にも栄養が行き届かなくなってしまいます。肌の健康を保つといわれているビタミンCやA、B群が不足すると肌荒れを起こしがちです。
ビタミンは、コラーゲンの生成や皮膚の健康を維持するためにも欠かせないため、不足すると肌荒れが起こりやすくなります。肌荒れはニキビや湿疹など顔に出るだけではなく、頭皮のかゆみやフケなどの原因にもなるのです。
疲れやすくなる
野菜から摂取できるビタミンは、代謝を良くしたりエネルギーの生成をしたりするのに欠かすことができません。ビタミンが不足してしまうと、エネルギーの原料である糖質や脂質、たんぱく質が体内にあったとしても十分に機能させることが難しくなります。
そのため、身体を動かすのにエネルギーが不足している状態になり、疲れやすくなってしまうのです。
ビタミンBは疲労回復にも効果がある
不足すると疲れがなかなか取れない、身体がだるいなどの症状が出てしまうことも少なくありません。エネルギーを生み出す手助けをするのはビタミンB以外にパントテン酸もありますが、これもブロッコリーやモロヘイヤなどの野菜に含まれている成分です。
なんとなく身体が不調だと感じたときは、野菜不足が原因の可能性があります。
免疫力の低下を招く
人間の体内では、酸素を利用してエネルギーを作る際に活性酸素が生み出されます。活性酸素は年齢を重ねると共に増えてきますが、他にも紫外線や喫煙、ストレスなど多くの原因で増えてしまいがちです。
活性酸素は細胞を傷つけるため、老化やガンをはじめとしたさまざまな生活習慣病を引き起こす原因となってしまいます。野菜に含まれるビタミンには抗酸化作用があるため、体内の活性酸素を除去して細胞が酸化するのを防ぎ、免疫力を高めてくれるのです。
また、ビタミンは血行を良くして身体の不調を修復する働きがあります。さらに、野菜に含まれているミネラルも、免疫細胞を作るために欠かすことができません。そのため、野菜が不足してしまうと免疫力が低下して風邪などを引きやすくなり、治りにくくなってしまいます。
生活習慣病の要因となる
糖尿病やガン、心臓病、脳卒中などの生活習慣病は、加齢だけが原因で起こるわけではありません。食生活や運動、喫煙、飲酒など普段の生活習慣が病気の大きな要因となっています。特に、食生活の乱れによって成人型糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、循環器病、大腸がんなどが発症しやすくなるのです。
高血圧になると動脈硬化を進行させ、それが引き金となって生活習慣病を発症する可能性が高くなります。野菜に多く含まれているカリウムは血圧を下げ、食物繊維は血糖値を上昇させにくくする働きがあるため、生活習慣病予防にとても効果的です。
また、緑黄色野菜に含まれている色素成分は抗酸化作用が強く、悪玉コレステロールが酸化するのを防ぎ、動脈硬化の予防に有効です。ビタミンA、C、E、ポリフェノールは活性酸素を除去し、ビタミンCやβカロテンは発がん物質の発生を防ぐことに効果的です。
体臭がでやすくなる
加齢臭などの体臭は、年齢を重ねたからという理由だけで出るわけではありません。体臭がきつくなる原因のひとつに食生活があります。加齢臭に限らず、おならや汗、便、わきがなどの気になる臭いは、活性酸素が原因です。
野菜が不足すると活性酸素が増えることによって体内の脂が酸化して、ノネナールという臭いを発生させる物質を増やしてしまいます。体臭を薄くしたいのであれば、抗酸化作用のあるビタミンCやE、ポリフェノールを摂取することが効果的です。これらの成分は、緑黄色野菜に多く含まれています。