土用の丑の日ってなあに?
土用の丑の日、という言葉。誰しも一度は耳にしたことがありますよね。でも本来の意味をご存じでしょうか?土用の丑と、切っても切り離せないのがうなぎ。
- 土用の丑の日っていつ?
- 土用の丑の日に鰻を食べるのはなぜ?
- 元々は広告のキャッチコピーだった!
- なぜ「夏の土用の丑の日」だけ鰻を食べるようになったの?
- 2022年の土用の丑の日はいつ?
- うなぎ以外に食べるとよいものとは?
- しじみ
- 土用にしていいことと、良くないことがある!
蒸し暑~い日本の夏。
冷たい飲み物や食べ物ばかりだと夏バテが心配ですよね。ちょうどそんな頃にやってくるのが「土用の丑の日」。その日にうなぎを食べると夏バテせずに夏を乗り切れる、ということを聞いたことはありませんか?
そもそもなぜ夏バテに鰻がいいの?
土用ってなに?(土曜じゃない!)
丑の日っていつのこと?!
土用の丑の日っていつ?
土用とは、二十四節気のうちの四立と言われる「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前18日間(または19日間)のことをさします。
現代では立秋の土用(夏の土用)が最も有名ですが、実は一年に4回もあったんですね。
では、続いて「丑の日」とはいつのことなのでしょうか?
丑(うし)とは、十二支の「子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、兎(う)・・・」の丑のこと。十二支は「今年の干支(えと)」というように年を数えるときに使われるのが一般的ですが、 実は方角や月、日にちを数えるのにも使われるのです。
つまり、「土用の丑の日」とは約18日間の土用の期間のうち、 12日周期で割り当てられている十二支が「丑の日」にあたる日のことを「土用の丑の日」と呼びます。土用の期間中に一日ないし二日あることもあります。春夏秋冬、すべてに「土用の丑の日」は存在していることに驚いた人もいるのではないでしょうか。
土用の丑の日に鰻を食べるのはなぜ?
1年に4回ある土用のうち、鰻が食べられるのは「夏の土用の丑の日」だけです。なぜでしょうか?
諸説ありますが、一番有名なのは平賀源内が広めたという説です。
江戸時代、夏場に鰻が売れなくて困っていた鰻屋の主人が、学者である平賀源内に相談したところ「本日、土用丑の日」と書いた貼り紙を店に貼り出すことをすすめました。すると、その鰻屋は大繁盛。それを聞いた他の鰻屋もまねるようになり、次第に土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着したといわれています。
また、丑の日にちなんで、頭に「う」のつく食べ物を食べると夏負けしない、という風習がもともとあったことも鰻(うなぎ)がよりヒットした理由なのだとか。
鰻以外に、うどん、梅干し、瓜(うり)、牛肉(うし)、馬肉(うま)など頭に「う」のつく食べ物を食する習慣もあったと言われていますが、現代では一部の地域で残っている習わしのようです。
元々は広告のキャッチコピーだった!
起源には諸説ありますが、もっとも有名なのは、江戸時代の蘭学者・平賀源内(1728~1779)が考案したという説です。
今でこそ、夏の味覚として「うなぎ」が食されていますが、当時は味の濃い「うなぎ」の蒲焼きは、暑い夏にはあまり売れませんでした。
そこで、夏に売上が落ち込んでいた知人のうなぎ屋のために、平賀源内が「本日、土用の丑の日」と書いて、店頭に貼り紙を出したところ、大繁盛。それをほかのうなぎ屋も真似ていったそうです。実は古くから、夏バテ防止に、夏の土用の期間中には「う」の付くもの、例えば梅干しやうどんなどを食べるのが良いとも言われていました。平賀源内はそれを参考にしたとも言われています。
エレキテルで有名な平賀源内ですが、コピーライターとしても非常に優れていたのですね。
なぜ「夏の土用の丑の日」だけ鰻を食べるようになったの?
本来、天然の鰻の旬は冬。冬眠に備えて身に養分をたくわえる晩秋から初冬にかけてが、最もおいしいといわれています。つまり、旬ではない夏の鰻は味が落ちるため売れなかったのです。そのため夏の鰻を食べる風習を根付かせようとした、という説が有名です。しかし、現代では養殖の鰻が年中食べられるため、いつでもおいしい鰻を楽しめるようになりました。
2022年の土用の丑の日はいつ?
土用の丑の日の起源や「うなぎ」を食べる由来を振り返りましたが、今年(2022年)の土用の丑の日はいつでしょうか!
2022年の土用の丑の日は!
7月23日(土)と8月4日(木)の2回
うなぎ以外に食べるとよいものとは?
土用の時期に食べるとよいとされる食材がいくつかあるのをご存じでしょうか?「土用しじみ、土用餅、土用卵」はそれにあたります。
しじみ
夏と冬の2回、旬があるといわれています。夏のしじみは、産卵期を迎えて栄養価も高いため、夏バテ防止に適した食材。そのため、夏に「土用しじみ」として食べられるようになったそうです。ちなみに、冬に食べるしじみは「寒しじみ」と呼ばれ、こちらも寒さに耐えられるようエネルギーを蓄えているため栄養豊富といわれています。
土用に食べるあんころ餅のことを「土用餅」といい、
関西や北陸地方で今も残っている風習のひとつ。
その昔、宮中でガガイモの葉を煮出した汁で餅米の粉を練り、丸めた餅を味噌汁に入れたものを土用の入りに食べるという風習がありました。それが、江戸時代になると餅を小豆餡で包んだあんころ餅に変わったのが土用餅の始まりです。餅は「力持ち(力餅)」に通じ、小豆は厄除けになると信じられてきたため、土用餅を食べると暑さに負けず無病息災で過ごせるといわれています。
「土用卵」とは土用の間に産み落とされた卵のこと。卵は昔から滋養食として重宝されていたため、うなぎと同様に精がつく食べ物として土用に食べられるようになりました。
いずれの食べ物も、食が細くなりがちな暑い夏の時期を乗り切るために、先人が考えた風習と考えられます。
土用にしていいことと、良くないことがある!
夏の土用の時期に、カビや虫の害から守るため、衣類や書物を陰干しすることを「土用の虫干し」といいます。また、土用には湯船に薬草をいれた「丑湯(うしゆ)」に入るのもおすすめ。江戸時代には、桃の葉を入れたお風呂を「丑湯」と呼んでいたそうです。毎日お風呂に入る風習がない時代に、丑の日に薬湯に入ることは格別だったに違いありません。
ほか、梅干しの天日干しなども土用の時期に行うのが良いとされています。
土用の時期にやると良くないと言われているのが、土をいじること。
土をつかさどる「土公神(どくしん・どくじん)」という神が土を支配するため、この時期は土を動かしてはいけないとされてきました。なので、家を建築するための基礎工事や農作業などは、この期間を外すことが多いようです。土用は季節の変わり目にあたるため、農作業などで体調を崩さないようにしようという戒めも込められていると考えられます。
ほか、旅行や結婚なども土用の間はあまり好ましくないといわれています。