見た目はほぼ同じ黄色いペースト状で、ピリッとした辛味を加えたいときに使う調味料の「からし」と「マスタード」。「和からし」や「洋からし」といった呼び方も耳にしますね。なんとなく和食では「からし」、洋食では「マスタード」をよく見かける印象がありますが、その違いはどこにあるのでしょうか?
からし
「和からし」とも呼ばれます。アブラナ科「からし菜」の種子をすり潰した「粉からし」を水で溶いて練ったものをからし(練からし)と言います。
水で溶く際、40℃くらいのぬるま湯で溶くと、辛味成分がよく出るそうです。
マスタード
「洋からし」とも呼ばれます。からしと同じアブラナ科「からし菜」の種子に、酢や砂糖、ワインなどを加えて造られます。種をすり潰して練ったものや、すり潰さず粒状のまま作られるものなど、さまざまな種類があります。
原材料が違う
からしとマスタードは、どちらもアブラナ科の「からし菜」という植物からできており、どちらもからし菜の種を使います。しかし、からしとマスタードでは、使用する種の種類が違います。
からしの原材料
主に、オリエンタルマスタードという種類のからし菜の種。
マスタードの原材料
主にイエローマスタードという種類のからし菜の種が使われています。
ほかにも、ホワイトマスタード、ブラックマスタードなどがあり、製品によって使用されている種が異なります。
作り方が違う
からしとマスタードは、作り方が違います。
からしの製造方法
まず、オリエンタルマスタードの種を絞り、油を取り除きます。油を取り除いた種を乾燥させ、すりつぶして粉にします。この粉にぬるま湯か水を足して練ったものがからし(練りからし)です。
マスタードの製造方法
マスタードは、からし菜の種にお酢や砂糖といった調味料や、ワインなどを混ぜて作ります。使用する種と調味料の組み合わせで、さまざまな味わいのマスタードができます。タネをすりつぶしたり、そのまま使用したり、加工方法も製品によって異なる点が特徴です。
はちみつを加えたハニーマスタードや、タネの粒が残ったままの粒マスタードなどが人気です。
マスタードは、家庭で作ることもできます。乾燥した状態でスパイスとして売られている粒マスタードを水で戻し、好みの調味料を加えれば自家製マスタードになりますよ。
マスタードとは
マスタードとは一般的には洋からしを指し、欧米を中心に作られています。和からしと同じからし菜の種子から作られますが、品種は「ホワイト(イエロー)マスタード」「ブラウンマスタード」「ブラックマスタード」などを主に用いています。
和からしの練りがらしに混ぜられることもありますが、基本的には「マスタード」という名前で売られていることが多いです。
マスタードはペーストや粒などの状態の違いがあり、さらに使われる材料によって種類があります。
【ペースト】マスタード
まずはペーストマスタードについて、その特徴や使用例などをご紹介します。
■特徴
主に粉マスタードにビネガーなどの酢・塩・砂糖を加え、練ってペースト状にして作られます。
酸味や辛みが際立ち、料理のアクセントとして使用しやすいです。
■向いている料理
ペースト状で塗りやすいため、サンドイッチなどと相性抜群です。また、他のソースやマヨネーズと混ぜて、肉や魚、野菜などのソースとしても使用されます。
【粒】マスタード
次に粒マスタードについて、その特徴や使用例などをご紹介します。
■特徴
マスタードシードをそのまま、または粗挽きにして使用しているためその食感を楽しむことができます。
■作り方は、マスタードシードを水に浸しふやかした後、好みの粗さにつぶし、ビネガーなどの酢・塩・砂糖を加えて混ぜて完成です。
■向いている料理
粒の食感が楽しめるため、ソーセージやハンバーグなどにディップするのがおすすめです。
からしとは
一般的には、からしは「和からし」を指します。アブラナ科の「からし菜」の種子を原料として作られ、そのなかでも和からしは「オリエンタルマスタード」という種類を主に使用しています。
オリエンタルマスタードは鼻につんとくる刺激があり、洋からしに比べて辛味が強いのが特徴です。
和からしは、練りがらしがチューブなどに入れられたものや、粉からしなど粉末状になったものへ加工され、スーパーなどで売られています。
マスタードの使い方
マスタードは、からしよりも硬さがなくお酢や砂糖など、調味料を混ぜて作られているためマイルドな風味が特徴です。そのため、マスタードは和食よりもハンバーガー、ホットドッグなどの洋食に使われることが多いです。肉・魚料理のソースにも使用されます。
イギリスマスタード
イギリスでもマスタードはメジャーな調味料です。イギリスでは、サンドイッチやローストビーフ、ステーキなど様々なものにかけて使われています。特徴は、ターメリックを加えているため、黄色が鮮やかあり辛味が強いところです。
サンドイッチにマスタードを取り入れる場合、軽く焼いたパンの片面にバター、マスタードを塗り重ねて、お好みの具材を挟みます。マスタードを加えることで本格的な味わいに仕上がります。
アメリカマスタード
アメリカマスタードも、ターメリックによって黄色く着色され、酢や砂糖によってマイルドになっているマスタードです。
その作り方から、辛味が少なくやや酸味があり、辛いものが苦手な方でも食べやすい味わいで、ホットドッグやハンバーガーなどのジャンクフードには欠かせない存在です。
ディジョンマスタード
ディジョンマスタードのディジョンはフランスの地名からきており、主にフランスで人気のマスタードです。
一般的なマスタードが酢を使うのに対し、ディジョンマスタードでは「ヴェルジュ」と呼ばれるブドウ果汁を使って作られます。そのため、フルーティーな酸味があり、上品な味のディジョンマスタードはドレッシングにも使えます。また、基本のフレンチドレッシングに少し足すと一気にフレンチ料理らしさが増して食卓が華やかになるでしょう。