飲食店などでよく使われる「千客万来」とは、ひっきりなしにお客様が訪れる様子を表す、商売人にとって縁起がいい言葉です。お守りや熊手などでもよく見かけますよね。
- 「千客万来」の読み方と意味、成り立ち
- 「千客万来」の読み方は2つある
- 「千客万来」の意味は多くの客が訪れること
- 「千客万来」の成り立ちは「千客」と「万来」
- 「千客万来」の類義語と対義語
- 類義語は「門前成市」「満員御礼」
- 英語訳
- 対義語は「門前雀羅(もんぜんじゃくら)」
- 「千客万来」3つの使い方
- 商いが成功しているお店を指して使う
- 普段より客が多い様子を指して使う
- 来客が絶えない様子を指して使う
「千客万来」の読み方と意味、成り立ち
「千客万来」は、読んで字のごとく千人、万人といった大勢のお客さんが来ることを意味します。商売においては、とても有難く縁起の良い言葉です。
「千客万来」の読み方や意味など。
・「千客万来」の2通りの読み方は「せんきゃくばんらい」「せんかくばんらい」
・「千客万来」は飲食店で多く使われる
・「千客万来」の成り立ちは「千客」と「万来」
「千客万来」の読み方は2つある
「千客万来」の読み方は2通りあり、「せんきゃくばんらい」と「せんかくばんらい」です。どちらを使っても意味の差はありません。
デジタル大辞泉の記載では、先に「せんきゃくばんらい」が登場しますが、説明文内に「せんかくばんらい」の表記も確認できます。
「千客万来」の意味は多くの客が訪れること
「千客万来」は、大勢の人が押し寄せている様子やお店が繁盛している様子を表す言葉です。特にお店の成功を祈願して使われることも多いようです。
お客さんが多いのはお店にとってもとても嬉しいことですよね。「千客万来」は縁起の良い言葉として、商売を営む人々にとっては親しみ深い言葉でしょう。
「千客万来」の成り立ちは「千客」と「万来」
「千客万来」は「千客」と「万来」という2つの言葉を組み合わせて誕生した言葉です。「千客」は「千人の客」ですから多くのお客さんを意味します。
一方の「万来」は、たくさんの人が来る様子を表した言葉です。「先客」と「万来」、どちらも多くの人が集まっていることを意味するため、「千客万来」は多くのお客さんが溢れかえっている状況が強調された表現であるといえるでしょう。
「千客万来」の類義語と対義語
お店にお客さんが多く、活気のある様子を表す「千客万来」には、似たようなシーンで使える類義語が存在します。類似表現を知っておくと、少し言い換えたいと思った時に役立ちますよ。
類義語は「門前成市」「満員御礼」
「千客万来」の類義語として、次の2つの言葉をご紹介します。
・門前成市(もんぜんせいし):多くの人が出入りし賑わっている様子
・満員御礼(まんいんおんれい):定員に達すること、余地がないほど人がたくさんいる様子
どちらの表現も、多くの人でごった返している様子がイメージできます。「満員御礼」は、相撲の観客が一定数に達した場合に掲げる言葉であるため、テレビで見かけた方もいらっしゃるかもしれませんね。
英語訳
be thronged with visitors (たくさんの来訪者に押しかけられる)、
doing a roaring business(活気のある商売をする)など
対義語は「門前雀羅(もんぜんじゃくら)」
「千客万来」とは反対で、人気が無い様子を表す言葉として「門前雀羅」をご紹介します。
・門前雀羅(もんぜんじゃくら):訪問者もなくひっそりしていること
「門前雀羅」は読み方の難易度が高い言葉で「もんぜんじゃくら」と読みます。この機会に覚えておくとよいでしょう。「門前雀」羅は、中国の詩人である白居易の残した『寓意』に「門前雀羅を張る」という表現で登場しています。
「千客万来」3つの使い方
「千客万来」は多くのお客さんがいる様子を指して使いますが、次にご紹介する3つのポイントを押さえることでより自然に使いこなせるようになります。
【千客万来の3つの使い方】
1.商いが成功しているお店を指して使う
2.普段より客が多い様子を指して使う
3.来客が絶えない様子を指して使う
商いが成功しているお店を指して使う
「千客万来」は、多くのお客さんが訪れる人気店を指して使えます。例えば、いつも開店と同時に長い行列ができるようなお店は、「千客万来」のお店と表現できるでしょう。
カウンターと数席しかない小さいお店の場合には千人のお客さんは収容できませんが、店内がお客さんでいっぱいで繁盛しているお店の様子も、「千客万来」といえますね。
普段より客が多い様子を指して使う
「千客万来」の2つ目の使い方は、普段と比較してお客さんの入りがよい時です。例を挙げると、「千客万来」を使ってセールなどで特別お客さんの数が多い様子を描写できます。
期間限定でおこなわれるキャンペーンやセールは、同じタイミングで多くのお客さんが訪れるイベントですよね。普段の営業日よりもお客さんが多く、活気にあふれている様子を指して使うとよいでしょう。
来客が絶えない様子を指して使う
実は「千客万来」は、お店のみに使う表現ではありません。商売をしていなくても、家にたくさんの来客があることを指して使えます。
例えば、地域のために貢献した人物のところに、取材や挨拶に訪れる人が絶えない様子なども、「千客万来」で表現できます。「千客万来」は商売との関連が強いですが、他のシーンでも使えることを知っておくと、いざという時に使えるかもしれませんね。