にがり、使ったことはありますか?私はありませんが!
豆腐作りなどで必須のにがりですが、そもそもにがりって何なのか詳しく知らない方も多いと思います。今回はにがりの気になる成分や効能、どうやってにがりは作られているのか、について!
- にがりとは
- にがりの歴史
- 生命に重要なミネラル(マグネシウム)
- にがりに含まれる栄養素
- にがりの使い方
- 味噌汁に加える
- 入浴剤に
- 健康食品のように継続摂取にふさわしいものではない
- 健康・ダイエットブームに便乗したが、その根拠なし
- にがりの製造方法
にがりとは
にがりとは、海水から塩を抽出する時にできる液体のことです。
海水煮詰めていくと、水分が蒸発し塩が固体となります。
この塩を取り除いたあとのドロドロとした透明の液体が「にがり」 です。
海水から食塩を除いた苦味たっぷりの液体。
ここには塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム、塩化カリウムなどのミネラルが内包されています。
にがりの歴史
豆腐は漢の時代、淮南王劉安(BC179~BC122)の発明だといわれています。
中国から日本に伝えたのは、「いんげん豆」の名前が残る禅宗黄檗宗・隠元和尚(1654年渡日)で、同行した百一人の弟子は、書道絵画などで一芸に優れ、隠元和尚は、唐式点心である胡麻豆腐・隠元豆腐など、明・清風味の料理や精進料理を伝えました。
別に豊臣秀吉の時代、兵糧奉行の岡部次郎右衛門が韓半島より豆腐技術を持ち帰り、豆腐が「おかべ」とよばれる地域もあります。また長曾部元親も多数の韓国人技術者を連れて帰った際、そのなかの朴好仁が高知城下で豆腐製造をはじめ、高知・鹿児島・石川などは、堅い韓国式豆腐が残りました。
豆腐
仏教寺院との関係も深く、韓国では陵墓のそばに、造泡寺という豆腐工房を建て、供え物の豆腐を製造しました。当時から豆腐作りの際、泡が出ることが知られていたことが判ります。
日本では、昔はすべて海水中の塩化マグネシウムの強い凝固力を利用したニガリ豆腐・油揚げでした。
アメリカのベストセラー「TOFUの本」にも、日本の豆腐屋に「天皇陛下に捧げる豆腐を造れといわれたらどうするか」と聞くと、どの豆腐屋も少し考えたのち、「ニガリと堅いマキを使う」と答えると書いてあります。
ニガリの湯豆腐も煮立って浮き上がる寸前を食べると、ツルリとして最高の味で、スキヤキにしても味が良くシミ込み、油揚にしても皮が軟らかくコガネ色で、自然の大豆の甘味を引き出す最高の凝固剤です。
生命に重要なミネラル(マグネシウム)
にがりに含まれる栄養素
さらにカルシウム、鉄、 亜鉛などからだの機能維持に不可欠なミネラル(微量鉄分)もタップリとふくまれています。
にがりには血漿中の成分比に近いバランスでミネラルが含まれているのが特徴です。
これらのミネラルは、他の食品やサプリメントからも摂取できますが、手軽でシンプル、バランスよく摂取するのにはにがりが最適と言えるでしょう。
にがりと言えば豆腐を固める際の使用が有名ですが、それ以外にも調味料として料理に使ったり、
健康維持の為にそのまま飲んだり、お風呂に入れたりと多様な使い方ができます。
にがりの使い方
にがりは以下の様に活用すれば、いつもの料理をより美味しくできるでしょう。
-ビーフシチュー、ビーフカレー、肉じゃが、しゃぶしゃぶなどの肉料理に-
にがりの成分マグネシウムには肉の浸透を促進する効果があります。
肉を煮込む際に、にがりを少量いれると、肉をより柔らかくできます。 また、肉のアクをしっかりと抜く事ができます。
毎日のミネラル補給
ペットボトル(500ml)の水に、にがりを3~4滴加えて飲みます。現代人に不足しがちなカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルを手軽に摂取することができます。
料理の風味が増します
パスタを茹でるとき、肉や野菜を下茹でするときににがりを数滴加えますと、素材に味がしみ込みやすくなり、料理の風味が増します。
ごはんをふっくら炊き上げます
お米3合に対して、3~4滴のにがりを加えて炊いてください。ごはんがツヤよく、ふっくらと炊き上がります。
肉を柔らかくします
カレーやシチューなどの煮込み料理には、煮汁に3~4滴加えます。唐揚げや生姜焼きでは下味の調味料に数滴加えますと肉がふっくらとやわらかく仕上がります。
野菜の煮崩れを防ぎます
肉じゃがなど野菜の煮込み料理の際に数滴加えますと、野菜の煮崩れを防ぎ、野菜の甘味が増します。
入浴剤として
200リットルのお風呂に小さじ1杯程度のにがりを入れて入浴します。
ガーデニングに
土壌改良に使うときには、約100倍に薄めて、種まき、植え付けの前の土壌に加えて撹拌します。
味噌汁に加える
・ 水4カップ(800cc)4人分 ・ にがり0.5cc(10滴)
ご飯や味噌汁、漬物、煮物などに数滴加えるとひと味ちがうコクとまろやかさが出ます。素材の持つ旨みや甘味を引き立ててくれます。具と同時ににがりを入れるのがポイントです。
入浴剤に
・にがりコップ一杯くらい
にがりの主成分であるマグネシウムは天然の保湿成分です。 お風呂にコップ一杯のにがりを入れておくとお風呂上りの肌を乾燥から防いでくれ、お風呂を出た後も肌がしっとりしています。
*にがりは浴槽や風呂釜を傷める危険があるので、入浴にしようした後は水道水で充分に洗って下さい。
健康食品のように継続摂取にふさわしいものではない
『粗製海水塩化ナトリウム』、つまり、にがりは海水から塩を除去したあとの副産物で、豆腐を固めるための添加物であって、栄養補助の食品として作られたものではありません。
成分バランス、メーカーにより製品のばらつきが多く健康食品的なイメージで摂るものではありません。中には良質の商品もあるかもしれませんが、大半は、豆腐を固めるためのマグネシウムを主成分とする液体。
海水から塩分(塩化ナトリウム等)のほとんどを除去したマグネシウム液のことを指します。(海水中圧倒的に多いのが塩化ナトリウムで次がマグネシウム)
塩化ナトリウムを除いた「にがり」の主成分はマグネシウムであるべきなのに、主成分が「塩化ナトリウム」のにがり商品もあります。おかしな話ですが「本当のにがり」ではない、ということですね。ご自宅ににがりの買い置きがあるりましたら裏ラベルの表記を見て確認してみてください。
健康・ダイエットブームに便乗したが、その根拠なし
どの世界にも便乗商法というのはあるが、これに関しては命に関わる重大なこと。
“にがりブーム”に乗って、海水を濃縮して塩分濃度を高めただけの母液(塩の結晶が出始める液)を「にがり」と称して販売され、容器の底に塩が固まって沈殿しているひどいものさえあります。
塩分の濃いだけの商品を水で薄め、“魔法のにがりダイエット”などの謳い文句に乗って飲んでいた女性が、体ががむくんできた、肝臓・腎臓を悪くした、指摘された症状を改善しようと「にがり」を始めて逆に悪化した、などの事例が多々発生し、で死亡したお年寄りもいたようです。
製品のグレードにもよりますが、にがりを健康飲料目的でおススメしたくない顕著な理由です。
にがりの製造方法
にがりの製造は大きく分けて3つあります。
天日干
昔ながらの製法で、塩田に海水をくみ上げ、日に干した塩を作る際に塩と同時にできるにがりです。
天日干しで作られたにがりは硫酸マグネシウムが多く含まれており、苦味が強いのが特徴です。
釜茹
海水をくみ上げ、大きな釜などで煮詰めて作ります。
日本で作られているにがりのほとんどが、この製法で作られています。
逆浸透膜
海洋深層水などを作る際に使用する製法です。 海水を淡水化するときに逆浸透膜と言うフィルターを使います。
このフィルターを通ると、海水のあらゆる不純物を取り除くことができますが、同時にミネラル成分も取り除いてしまいますので逆浸透幕で作られた水は真水に近い状態になります。
そこで逆浸透膜で取れたにがりをこの真水に入れて海洋深層水を作っているのです。
つまり、にがり水なのです。但し、逆浸透膜で取れたにがりは海水を凝縮しているだけですので、塩分濃度(ナトリウム)の濃度が高く、にがりと言うよりも海水濃縮液、濃い塩水と言えます。