牛肉を買おうとパッケージを手に取った際に、「国産」と表記された商品と「和牛」と表記された商品があることに気づいたことはありますか?和牛も国産のはずですが、「国産牛」との違いを正確にご存知の方は少ないのではないでしょうか。
- 和牛=国産牛ではないのか?
- 和牛とは?
- 国産牛にはどんな種類がある?
- 和牛の種類
- 「黒毛和牛」だけじゃない!知られざる和牛の種類
- 銘柄、購入時の注意点!
- 世界で唯一の血統管理「黒毛和種」の特徴
- それぞれのブランドの基準
和牛=国産牛ではないのか?
日本国内で流通している牛肉は、「輸入牛」と「国産牛」、そして「和牛」に分けられます。「国産牛と和牛は同じようなものじゃないの?」と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが、実はそうではありません。
和牛とは?
国産牛はその名前の通り、「日本国内で生産された牛」のことです。国内で3ケ月を超える期間肥育されている牛や、これまでの飼育期間の内、国内で肥育されている期間が最も長い牛は、すべて国産牛となります。国産牛の判断は肥育場所と肥育期間のみですので、牛の品種や出生地などについては一切問いません。そのため、乳が出なくなった乳牛用の老いたホルスタインも、食用の国産牛となります。
和牛は!
簡単にご説明します
輸入牛は、外国で加工し、輸入した肉を指します。
国産牛は基本的に、日本で飼育・加工された牛を指します。しかし、外国で飼育した牛を輸入し、日本で飼育した後に加工した場合も国産牛として表示することが可能です。
和牛は、日本の在来種をもとに作られた食肉専用の牛を指します。品種を指して和牛と呼ぶため、必ずしも国産牛であるとは限りません。しかし農林水産省の指導や業界の自粛により、一般的には「外国産和牛」という表示はされていません。
国産牛にはどんな種類がある?
国産牛のほとんどを占める種類は「ホルスタイン種」ですが、他にも「交雑種」や「アンガス種」、「ヘレホード種」などがあります。ホルスタイン種は乳用種と呼ばれ、メスは乳牛、オスの子牛は食用として飼育されます。交雑種は和牛とホルスタイン種を掛け合わせた品種です。アンガス種やヘレホード種は牛肉の世界三大品種の一つです。アンガス種やヘレホード種は海外で多く飼育されているため、輸入牛の銘柄として考えている方も多いかもしれません。しかし前に述べた通り、日本で飼育した牛であればアンガス種やヘレホード種であっても国産牛となります。国産牛と一口に言っても複数の品種があるため、気になる方は品種を意識して牛肉を購入しましょう。
和牛の種類
和牛の称号が与えられる「黒毛和牛」・「褐毛和牛」・「無角和牛」・「日本短角種」の4種類は、それぞれに特徴があります。
・黒毛和牛
・褐毛和牛
・無角和牛
・日本短角種
「黒毛和牛」だけじゃない!知られざる和牛の種類
「和牛」と呼ばれる品種は、「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」の4種類のみです。この他の品種の牛は「和牛」と表示することはできません。 4種類いる和牛ですが、全体のおよそ90%を占めるのは黒毛和種、いわゆる「黒毛和牛」です。黒毛和種はその名の通り黒い毛色の牛で、遺伝的に脂肪交雑が入りやすい食用として大変優れた素質を持っています。主だった産地はなく、全国的に広く飼育されています。
黒毛和種の有名な銘柄牛は「松阪牛」「米沢牛」「但馬牛」「近江牛」「前沢牛」などです。
褐毛和種
日本短角種は褐毛和種よりやや濃い茶色の毛で、主な産地は岩手県と北海道です。「いわて短角和牛」「えりも短角牛」などの銘柄牛があります。
無角和種は黒色の毛で、主に山口県で飼育されています。決まった銘柄はなく、市場では「無角和牛肉」として流通しています。
銘柄、購入時の注意点!
和牛の中にもたくさんの銘柄牛があります。それぞれの銘柄牛が、全て別の品種であるわけではありません。
例えば「松阪牛」や「米沢牛」といった銘柄牛も固有の品種ではなく、もとは同じ黒毛和種です。しかし飼育地や飼育方法、飼料が異なるため、結果的には異なる特徴を持った和牛となります。
なお、精肉コーナーで「黒牛」や「黒毛牛」という表記を見掛けた時は注意してください。黒毛和種のことを指しているのだろうとつい手が伸びてしまいそうになりますが、和牛であれば「黒毛和種」や「黒毛和牛」のように必ず「和」の文字が入るはずです。本物の和牛をしっかりと見極めましょう。
このように、いかにも和牛であるかのような表記の商品は多数出回っています。購入の際にはよく表記を確認し、少しでも疑問に感じた場合は、お店の方に尋ねてみてください。ちなみに、法律的には和牛を「国産牛」と表記することも可能です。
しかし、和牛は牛肉の中で品質が特に優れているため、わざわざ国産牛と表記することは通常ありえません。
世界で唯一の血統管理「黒毛和種」の特徴
ただ、スーパーで売られている牛肉のパックのシールを見ると、さらに深掘りできることがある。品種の他に表示されている産地だ。「○○牛」などといったさらに詳しい産地などのシールを貼付されているものがあることに気付く。こうした産地を基軸にし、肩書きや付加価値がつけられた牛肉は「ブランド牛」と呼ばれる。
牛は
生まれてから生体になるまで、一般的には繁殖農家(仔牛専門)と肥育農家を経て出荷されるが、肥育農家は全国どこの繁殖農家からでも仔牛を買い付ける事ができる。一部の「ブランド」を除いて、産地の名前を冠されたブランド牛でも必ずしもその土地で生まれた牛だとは限らず、その牛が屠畜されるまで、一番長く育った土地の「ブランド」を背負うこととなるの。
それぞれのブランドの基準
肥育農家によっても各「ブランド」の定義はさまざまだ。以下に書くのは、全国4大ブランドとその定義である。
・神戸牛
兵庫県の「但馬牛」を素牛として、生まれ、育ち、出荷が兵庫県であり、認定された肥育生産者の下、未経産牛でBMS値6(等級4)以上、歩留まりA、B等級、枝肉重量がメス牛は230~470キロ、去勢牛は260~470キロ。
・松阪牛
松阪牛は、生産区域が「旧22市町村(市町村数は2004年11月1日現在)で対象牛は「生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に導入され、松阪牛個体識別管理システムに登録された黒毛和種、未経産の雌牛」。肥育期間は「生産区域でのみ肥育され生産区域での肥育期間が最長・最終」などのシステムの条件を満たし出荷されたものと定められている(松阪牛協議会)。
・近江牛
滋賀県内で肥育された期間が最も長い黒毛和種でメス牛またはオスの去勢牛。中でも
1.「近江牛」の中でも、枝肉格付がA4、B4等級以上のもの
2. 協議会の構成団体の会員が生産したもの
3. 滋賀食肉センターまたは東京都立芝浦と畜場で屠畜・枝肉格付されたもの
上記のものを近江牛生産・流通推進協議会より「認証 近江牛」として認定する制度がある。
・米沢牛
飼育者は、置賜3市5町に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定した者で、登録された牛舎での飼育期間が最も長いものとする。肉牛の種類は、黒毛和種の未経産雌牛とする。
1. 米沢牛枝肉市場若しくは東京食肉中央卸売市場に上場されたもの又は米沢市食肉センターで屠畜され、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉とする。但し、米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いとする。また、輸出用は米沢牛銘柄推進協議会が認めたと畜場とする
2. 生後月齢32カ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れている枝肉とする
3. 山形県の放射性物質全頭検査において放射性物質が「不検出」であるものとする(米沢牛銘柄推進協議会)