原価率は、飲食店経営を成功へと導く重要な指標です。
原価率を知ることは、利益率を確保することにつながります。もし原価率を理解せずにメニューの価格を決めてしまうと、赤字になって閉店なんていう結末も・・・?!
原価率の把握ができれば、適切な販売価格の値付けだけでなく、明確な売り上げ目標の設定も可能になります。
- 原価率とは?
- 原価率の計算方法
- 原価の設定が売上の行方を決める
- 飲食店の適正原価率
- 適正原価率は30%が目安!
- 飲食店のジャンルによって原価率も変わる
- 原価率が上がる原因
- 1、ロス率の増加
- 2、オーバーポーション
- 3、仕入れ価格の上昇
- 原価率の高さを改善する方法
- 1、オペレーションを見直す
- 2、売上貢献度の高い商品でメニュー構成を見直す
- 3.メニュー開発力をあげる
- 安定的な原価率を保つための運営ポイント
- 最適なタイミングで原価率をチェック
- 最後に
原価率とは?
原価率とは、売上に占める原価の割合のことです。言い換えると、商品を作るためにかかった材料費の合計が、販売した商品の価格のうち占める数値のことを指します。
原価率が分かると、粗利益額を知ることが可能です。粗利益額から人件費や広告費、家賃などの諸経費を引けば、売上目標の設定など経営戦略が立てやすくなります。
原価率は、人気店になるために欠かせない重要なマネジメント指標といえるのです。
原価率の計算方法
原価率の出し方は、「原価率=原価÷売上×100%」です。
■例えば■
ランチセットの原価・・・200円
販売価格・・・1500円
このケースでは、原価率は約13.3%(=原価200円÷販売価格1500円×100%)となります。
どの程度の販売量や原価を想定しているかによって、原価率は大きく変動します。
原価の設定が売上の行方を決める
原価とは、商品やサービスを生産するために必要となる費用のことです。飲食店の場合、原価としては食材費のみを考慮するのが一般的です。ただし、商品廃棄や商品の売れ残りがあると原価率が上昇して利益を圧迫するため注意が必要です。
全ての商品が完売すれば、計算した原価率をキープすることができます。しかし、オーダーミスによる商品の廃棄や想定をはるかに下回る売れ残りが発生すると、その原価分が上乗せされて原価率が上がってしまうのです。また、食材そのものの価格が高騰して、原価率の上昇を避けられない場合も。
このように、原価は大きな変動が想定される極めて難しい性質をもちます。売上を倍にするためには、原価もその分倍になるため、原価と売上はお互いに深く関わりあっているのです。
飲食店の適正原価率
原価率は、飲食店にとってお店の利益に大きく関わる重要な目安です。しかしながら、さまざまな要因から原価率を一定に保つことは非常に困難なことといえます。ただし、季節や条件によって波があっても、基準とすべき原価率があれば大幅な赤字を回避することができます。
飲食店が基準とするべき適切な原価率設定は、いったいどの程度なのか。
適正原価率は30%が目安!
原価率が高くなれば、それだけ良い商品をお客さまに提供できることにつながります。しかし、売上利益は食材の原価だけでなく、人件費や光熱費などの経費に充てられます。それをカバーできるほどの売上が出なかった場合、店舗経営自体が続かなくなる可能性が高くなるのです。
原価率30%が、こうした諸経費を加味した安定的な飲食店経営の基準として一般的となっています。(あくまでも一般的な話です)
飲食店のジャンルによって原価率も変わる
原価率の高さは、一概に経営状況の悪化を示す指標とはいえません。とはいえ、適正原価率を無視した経営方針は、利益の圧迫を招くリスクをはらんでいます。原価率を中心とした経営のバランスが、成功のカギを握るのです。
原価率が上がる原因
飲食店経営において、原価率が高くなる原因は主に以下の3点にあると考えられます。
1、ロス率の増加
ロス率とは、ロス高と売上高の差額を表す割合のことです。ロス率の計算方法は、ロス高÷売上高×100です。ロス高は、仕入れミスによる値下げロス、食材を廃棄することによる食材ロスなどによって発生する損失額を指します。ロス高は、販売額×廃棄した個数+値引き額×値引きした個数で算出することができます。
この場合のロス率の計算方法は、以下のようになります。
ロス率・・・3400円÷(1000円×20個-3400)×100=20.48%
2、オーバーポーション
「ポーション」とは各メニューで定められている食材の分量を指す飲食業界の専門用語のことで、規定以上の量の盛り付けをした状態をオーバーポーションというのです。オーバーポーションは原価が上昇する原因となり、積み重なると大きなロスとなって原価率を押し上げる要因となります。また、盛り付けの分量にばらつきがあると、顧客満足度を大きく下げる結果になる場合もあります。
オーバーポーションにならないようにあらかじめレシピをマニュアル化するなど、対策が必要です。
3、仕入れ価格の上昇
安いタイミングに多く仕入れたとしても、最終的に使い切れずにロスになってしまったり、在庫を確保していても使い切れなかったりすると原価率上昇の要因となり得ます。こうした仕入れ価格の変動をあらかじめ考慮した原価設定、仕入をして原価率を出す必要があるのです。
原価率の高さを改善する方法
原価率は常に変動するものですが、利益をできるだけ多く確保するためにも抑えたいものです。そこで、効果的に原価率の上昇を抑えるコツを3つご紹介します。
1、オペレーションを見直す
2、売上貢献度の高い商品でメニュー構成を見直す
3.メニュー開発力をあげる
安定的な原価率を保つための運営ポイント
最適なタイミングで原価率をチェック
2.原価や仕入価格に変更があったとき
3.月次の粗利益額の見込みを算出するとき
4.週単位で売上分析をするとき
これらのタイミングで、原価率を確認することが重要です。飲食店では、食材費の変動リスクと常に隣り合わせであるため、最低でも月に必ず1度以上は原価率チェックを行いましょう。また、同時にメニューごとの売上状況なども把握し、メニューの構成、見直しを検討しましょう。
最後に
慣れれば慣れるほど目分量になり、忙しくなればなるほど『測る』という行為を省いてしまう。実際にいちいち測っていると時間が多くかかり、提供時間にも問題が発生する。その点も考慮した原価計算をしましょう。